コンサルティングにおける「業務系」とはなにか
コンサルティングの種類として「戦略」や「IT」は想像つきやすいのですが、弊社が得意とする「業務」はいまいち分かりづらいと思います。
ですので一度「業務系コンサルティング」というものをかみ砕いて理解してみようと思います。解釈の1つなので、参考程度にお読みください。リグリットのマネージャー、くろかわがお届けします。
なぜ「ITシステムの導入」と呼ばないのか?
案件内容としてはITシステムの導入を行うケースもたくさんあります。しかし私たちは「システム導入案件」とは呼ばず、「業務系の案件」と捉えます。なぜでしょうか?ここには私たちの抱く考えが影響しています。
ところで、システム導入が上手くいかなかったケースは、大きく2つに分類されると思います。
・導入自体がうまく進まず頓挫した
・導入自体は行えたが、導入後に業務の改善効果を感じられなかった
前者はシステム構築プロセスにおける問題なので割愛し、触れたいのは後者です。個人的にですが、「コンサルは使えない」と言われる由縁の1つは、後者の事象を発生させてしまうケースがあるからではないかと考えています。
ではなぜ改善効果を感じられないのかですが、よくある話しとしては「システム導入が手段になりきっていなかった」というケースがあります。言い換えると、「解決すべき業務課題がずれていた」といえます。
つまり、実態がシステム導入であっても、解決すべき課題はあくまでも「業務上の課題である」といえるかと思います。
そのため私たちはこの類の案件を「業務系の案件」と捉えるようにしています。
業務改善とはなにが違うのか?
「業務上の課題を解決する」とのことですが、その「業務上の課題」とはなんでしょうか。
考える上で、「業務改善」と「業務改革」の違いを考えてみようと思います。なにが異なるのでしょう?
ちなみに、コンサルが行うと「改革」で、企業自身が行うのは「改善」など、言葉尻の話しをしたいわけではありません笑。
結論をいうと、定義の問題であって、明確な違いはないです。ただそれだと話しが進まないので、仮にその定義をあえてすると一例は以下になると思います。
業務改善:今の業務を前提に目の前の問題の改善をおこなう
業務改革:今の業務を前提にしない、より根本的な課題の解決に取り組む
この定義に沿って考えた時に、クライアントにとって取り組みやすいのは「業務改善」でしょう。普段の業務における不満は大抵どの現場でもあると思います。それはつまり問題発見が容易いということです。
一方、業務改革の観点だと、クライアント企業にとっては簡単ではありません。今の業務を前提に考えないのですから、通常その発想すらなくても不思議ではありませんね。
極端な例ではありますが、上記の「業務上の課題」というときには「業務改革観点で捉える上での課題」を指している事が多いです。
つまり「業務を行う上での根本課題の解決に取り組むのが業務系のコンサルティングだ」といえるかもしれませんね。
コンサルティング支援は本当に必要なのか?
しかし1つ疑問が残るのは、「コンサルに頼む必要あるのか?」ということです。
例えば、根本課題とやらをクライアント自身で発見することが出来るなら、コンサルティングファームに支援依頼する必要は・・・なさそうですよね。
それでも企業がコンサルファームに依頼を行うのは、端的にいうと「何かのリソースが足りないから」だと思います。例えば、
・考える時間が足りない
・考えられる人が足りない
・社内を説得できるだけの客観性が足りない etc.
などなど。もちろん、「課題っぽいものが多過ぎて真因が分からない」というケースもありえます。
業務系案件は内容も多岐に渡るのですが、実は依頼に至った背景もさまざまなパターンがありうるということです。
ということで、「コンサルが必要かどうか」の1つの解としては、解決したい課題と、足りないリソースの組合せ次第で、「コンサルティングファームになんとかしてもらいたい」と思うクライアントがいてもおかしくないということです。
業務系コンサルティングとはなにか?ここまでの流れをまとめます。
・ITが関連するとしても、業務上の課題解決を目的とする案件は業務系案件と呼ぶことがある
・業務上の課題とは、今の業務を前提としない根本的な課題を指すという解釈があり、この種のアプローチを業務改革と呼んだ
・業務改革はクライアント自身でも実行できるが、各種のリソース不足から企業がコンサルファームへ支援を依頼するため案件が成り立っている
もちろん、様々な解釈の余地のある話しなので、異なる捉え方がいくつもあると思います。あくまでもわたしの頭の整理だと割り切って頂けると幸いです…
世の中には「戦略コン」や「ITコン」の他に、「業務コン」もあるんだ!と思って頂けたらうれしいです。ここまでお読みいただきありがとうございました。