見出し画像

【超要約・1分で説明する】サウジアラビアとイランの関係、そしてイスラエル


7年前に国交を断絶し、激しく対立してきたサウジアラビアとイラン
両国は、2023年、”国交を正常化させることで合意した”というニュースで国際社会に大きな驚きを与えた。
そもそもサウジアラビアとイランの対立の背景には中東の覇権争いがある。

両国とも中東のイスラム大国であるが、サウジアラビアはスンニ派のアラブ人(親米)、イランはシーア派のペルシア人(反米)という違いがある。
両国は事あるごとに対立してきた。(イスラム教の約90%はスンニ派)


サウジアラビアとイランの代理戦争となったのがアラブ最貧国とまでいわれたイエメンでの内戦である。
2011年、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の波がイエメンを襲う。当時のイエメンではサレハ大統領が30年以上にわたり独裁を続けており、不満をためた国民は反政府デモで政権を崩壊させた。
ただ、民主化への移行がうまく進まず国内が混乱に包まれると2015年に反政府武装組織フーシ(※フーシ派)が制圧したのである。これに対しハディ大統領率いる暫定政権はフーシと対立。内戦へと突入したのである。

※フーシ派はイランと同じイスラム教シーア派の流れをくむ組織


暫定政権のハディ大統領はサウジアラビアに支援を求め、一方フーシはイランの支援を受けて対抗したため次第にイエメン内戦は代理戦争の色合いが濃くなっていった。
多くの一般市民が犠牲になり飢餓が蔓延し全人口の8割にあたる2400万人が人道支援を必要とする状態に陥った。そんな最中にコロナウィルスの感染が拡大し、これにより停戦が決まった。


イランには激しく対立している国がまだある、それがイスラエル。両国はまさに犬猿の仲だ。
ただ、かつて両国は同盟国であった。1948年のイスラエル建国後にイランはイスラム圏で2番目にイスラエルと国交を樹立し、中東戦争にも参戦しなかった。当時イランはイスラエルを最大の同盟国としていたのである。

その関係性が一転したきっかけは1979年に起こったイラン革命だった。この革命により最高位のイスラム法学者が全権を掌握する神権国家となったイランは、革命以前の独裁政権を支えていたアメリカと断交。アメリカと親密なイスラエルとも国交を絶った。

そしてイスラエルの隣国で勃発したレバノン内戦でイスラエルはレバノンのキリスト教徒を支援し、イランはレバノンの”シーア派”を集めて武装組織ヒズボラをつくりイスラエルと戦わせた。
さらにパレスチナのガザ地区でイスラエルに抵抗を続けるハマスもイランが支援している。ハマスはイランから援助されている武器や資金でイスラエルを攻撃しているのだ。


2020年以降イスラエルは「自分たちを脅かす共通の敵をもつ」という名目の下、サウジアラビアと和解に向けて動いてきた(両国ともアメリカの同盟国であるが本来は不仲)。
そんな最中、冒頭で言った通り中国が仲介しサウジアラビアとイランが国交を正常化するというニュースが国際社会に流れた。
そして2023年現在、ハマスがイスラエルに奇襲攻撃をし報復としてイスラエルがガザ地区に地上侵攻している。レバノンとの国境付近でもヒズボラ(シーア派)と一触即発の状態である。

いろいろな思惑が交差する中で、各国が今後どのように動いていくのか今後も注視していく必要がある。




最後にイランの"国是"(国の大部分の政策の方向性を決定付ける、国民の支持を得た方針のこと)を書いておこう。


”イスラム革命の輸出と大悪魔アメリカとの戦い、そしてイスラエルの殲滅”




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?