祝🎊　カバー(株)　上場承認！

始めに

皆さんこんにちは、あらさーです。
今日の東京は春の陽気に包まれており、少し歩くと汗ばんでしまうほどでした。2月も後半に入り、ようやく過ごしやすくなってきましたね。

見出しの写真はバーチャルYoutuber(以下Vtuber)のさくらみこさんと鳴門鯛焼本舗さんのコラボ商品、さくら餡です。私も一つ頂きましたが、さくら餡の塩気が絶妙で牛乳とよく合いそうだなと感じました。その名の通り桜餅ではなくさくら餡なので餅は(たぶん)入っていませんが、入っていたらさらにおいしいかもと思いました。

さて今回は題名の通り、Vtuberタレント事業hololiveを運営するカバー株式会社がグロース市場への上場承認されたことに関する記事になります。
Vtuberは10代~20代くらいの世代なら誰でも知っているというくらいに認知度は高いですが、30代以上となるとあまり詳しくないという方も多いのではないかと思います。本記事は主にそういった、Vtuber業界をあまり知らない投資家に向けたものになります。

hololiveって？

hololiveはカバー株式会社が2018年6月に立ち上げた女性Vtuberグループの名称です(筆者は2019年末から見ています)。一般のYoutuberが顔出しで動画投稿をする一方で、Vtuberは顔パーツや手足の動きをキャプチャーしてアニメ風のアバターで配信を行います。Youtuberが動画を主戦場とするのに対し、Vtuberは生放送をメインとすることが多いです。カバーはhololiveの他、インドネシアにおける「hololive Indonesia」、英語圏における「hololive English」、男性Vtuberグループの「HOLOSTARS」、英語圏の男性グループ「HOLOSTARS English」を立ち上げています。なお、Youtube登録者数やライブの同時接続数から、収益の多くは女性メンバーの配信収入(SuperChat、メンバー登録)とグッズ売り上げによるものと考えられます。

競合他社との比較 / hololiveの今後

Vtuberグループを運営する企業は数多ありますが、事業規模を鑑みれば現状カバー(hololive)とANYCOLOR(にじさんじ)の二強体制です。また、この体制は一方が大きく崩れない限り今後も続くと思われます(第三勢力がこの2社を脅かすことは考えにくい)。ANYCOLORは昨年一足早く同じく東証グロースに上場していますので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。
この2社を比較した際のhololiveの強みは、大きく以下の3点あると考えています。

1.  ライバー一人当たりの収益率の高さ

2.  男性ライバーの成長余地が残っている

3.  企業案件やコラボの多さ、Youtube事業以外への先行投資

1は特に言及不要かと思いますが、hololiveは同社の倍以上のライバーを抱えるにじさんじと遜色ない売上高を計上しています。

2については現状は弱点ではありますが、にじさんじに男性ライバーの認知度・収益ともに後塵を拝しています。これは自社の女性ライバーとのコラボを行っていないことも影響しています。(会社としてのルールではありませんが、実質的にhololiveはアイドル売りをしているため、男性ライバーとのコラボをしない方が大半です)。hololiveが完全に男性向けコンテンツになっているため視聴者層はほぼ男性になっており、いわゆる推しがコラボするわけでもないのにわざわざ男性ライバーを見に行かない、という構図です。
これはなかなか難しくて、アイドル売りしている女性ライバーが同社のライバーとはいえ異性とコラボすることを嫌う視聴者は多く、それによる収益低下の方が大きいとみているようです。いずれにせよ、男性ライバーの収益改善が同社のさらなる成長には必要だと思います。

3についても特に説明不要かと思いますが、企業案件の頻度や規模はhololiveの大きな強みであり、今後もIPライセンス関連の収益は安定すると思われます。また、Youtubeという単一プラットフォームへの依存度を下げるための投資は継続して行っており、最近ではメタバース関連の事業に力を入れています。これが上手く結実するかが一つの大きな鍵になると思われます。

逆に、hololiveの懸念事項は以下の通りです。

1.  ライバー個人への依存度が高い

2.  黄金期は過ぎている

3.  海外展開の手詰まり感

1について、「hololiveの強み」の1と関連しますが、ライバー一人当たりの売り上げが大きいため、例えば一人メンバーが脱退するだけで収益機会損失はかなりの額になります。また、にじさんじと比較して箱売り(hololiveというグループ全体を応援してもらうということ)感が強いため、脱退・不祥事の影響は波及しやすいです。

2について、上場申請のための有価証券報告書をご覧になった方はご存じかと思いますが、カバー株式会社の一番の黄金期は2020~2021年です。私は2019年末からhololiveを見てきましたが、有価証券報告書の数字は概ね当時の勢いをそのまま反映していると思います。そしてこの急成長期を築いたのがhololive4期生の桐生ココです。急成長期を支えた、ではなく築いたという言葉を使ったのは、まさしく彼女が今のhololiveのポジションを確立したからです。2019年12月にデビューした彼女は、毎朝前日のホロライブメンバーの生放送の内容をメインとしたまとめ動画のようなスタイルの配信を行い、今の箱推しの源流となりました。また、彼女自身が英語を話せたため、hololiveに関するネットミームを紹介するなどして、海外からの視聴者も獲得していきました。彼女はデビューして1年でYoutubeのスーパーチャット(投げ銭)を1.5億円稼ぎだし、2020年の全Youtuberでトップとなりました。また翌年は7/1に卒業するまでの半年間で1.7億を稼ぎ、2021年1年間で見ても世界No.2となりました(これはグッズ販売等を含んでいません)。彼女が在籍した期間のhololive全体の急成長は目を見張るものがありましたが、残念ながらその桐生ココは卒業済みです。さらに2021年の世界No.1となった同じくhololiveの潤羽るしあも契約解除となっており、いわば現在のhololiveは稼ぎ頭2人を失った状態です。

3について、hololiveは既に英語圏・インドネシアに展開をしており、海外展開は順調のように見えます。しかし実はhololiveはかつて中国にも進出していました。現地向けのhololive-CN(ホロライブ中国)メンバーの他、日本のメンバーも中国のビリビリ動画にチャンネルを持っていた時期もありましたが、現在はhololive-CNは解散、ビリビリ動画のチャンネルも無くなっています。これは前出の桐生ココの卒業と関係しています。2020年、桐生ココが配信内で自身のYoutubeアナリティクスで国別の視聴割合を提示した際、そこに台湾が映りました。これに対し台湾を国として認めていない中国本土の視聴者から猛批判を浴びることになりました。普通に考えればYoutube(Google)のシステムがそうなっているというだけなのですが、残念ながら普通に考えることができない層が多いようです。この騒動により桐生ココ本人に対する殺害予告を含む脅迫、他メンバーに対する誹謗中傷・配信妨害、有料ライブのミラー放送等々、数々の犯罪行為が行われ、結果的にhololiveは中国から撤退し、桐生ココも卒業という形になりました。なお、有料ライブのミラー放送等は現在でも行われています。
一見、ただ事故に巻き込まれただけのようにも見えますが、当時のカバーの対応には国内外から疑問が呈されており、私自身リスクマネジメントに大きな課題を抱えていると感じています。
事実上中国展開ができない現状で、これから先どこまで客層を広げていけるか、難しい運営を迫られていると思います。

終わりに

今回も記事を読んでいただいた方、はじめましての方、皆さんありがとうございます。良ければいいね押していただけると喜びます。

題名の「祝🎊」の文字から予想されるより手厳しい文章になっていると思いますが、1ファンとしてカバーの上場をお祝いしているのは事実です笑
記念として株も買おうと思っています。
ただし、投資家として純粋に今後の成長を考えた際はやはりIPOとしては物足りなさが残るのも事実です。
この予想を覆してカバー、hololiveが成長していくことを願っています。

次回は2月も終わりに近づいてきましたので、2月の月間収支を記事にしたいと思います。

それでは！