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LINEとヤフーの経営統合について考える。

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ヤフーとLINE、経営統合へ

日経にて第一報が報じられた今回のLINEとヤフーの経営統合。当初このニュースを知った際の感想としては、LINE関連のサービスがソフトバンク系サービスと統合されていく可能性が高いという点。LINE関連サービスは近年LINEPayを中心に様々拡大してきたが、正直LINE本体の成長鈍化と同様に苦戦している部分があった。その為、資金面含めソフトバンクのサービスとの統合はシナジー効果は高い部分はあるが、LINEがここまでサービスを拡大してきた面を考えるともったいないという印象。結局は大企業の資金力ありきでサービスの実権を握ってしまうのか…と率直に感じた部分である。

LINEペイの大誤算…ヤフー統合を運命づけた「クレカ紐付け」問題

LINEPayに関して現状が誤算であったのであれば経営陣の見通しが甘いと言わざる得ないだろう。正直QRコード決済が利益を生む事業ではそもそもなく、クレカや銀行などの金融事業という稼ぎ頭となる分野への導入でしかない。ただ、クレカ紐付けは必須であったが、明らかに出遅れた状態であり、プリカでは意味がないというのが率直な感想。今後約1年間は統廃合が進む事はない反面、1年後はPayPayに統合される可能性が高い状態であるのでここから無理にクレカ発行には乗り出す必要がない。そうなると1年間赤字を垂れ流し続けるLINE Payを続ける意味がどこまであるのか?って考えるとキャンペーンなどで力を入れなくなる可能性は十分考えられるだろう。

「実質的にはLINEの買収」「公取委に向けたメッセージ」堀江貴文氏が語った、ソフトバンクがGAFAに肩を並べるための壮大なストーリー

アベプラに出演した堀江さんが指摘する通り、あくまでもユーザー側にとって何か大きく変化するという事ではなく、LINEとヤフーの企業同士にとって裏側として双方メリットがあるのが今回の実質的なLINE買収劇の背景だろう。ヤフーが保有していないLINEというメッセンジャーは間違いなく、魅力的であり、東南アジアに一定の需要を持ってる面も大きい。LINE側としても苦戦している事業面の拡大、利益率の高い金融事業への参入障壁の高さを考えるとヤフーを含めたソフトバンクとPayPayの勢いと資金力は魅力的であったのは間違いないわけだからね。実際にGAFAの一角に切り込めるか否かは厳しい部分はあるが、日本市場と東南アジア圏でしっかりと利益を上げて更なる買収で大きくなる土台作りとしてみれば今回の買収は合点がいくよね。

夏野剛氏「僕が社長なら、すぐにPay PayもLINE Payもやめる」 ヤフーとLINEの経営統合をどう見る?

アプリという部分で今回の統合について考えるとLINEはスーパーアプリを目指して着々と準備はしてきてはいたというのが個人的な印象。ただ、競合他社のスピード感が予想以上に急速であり追いつけなかったというのが本音だろう。そのため、本来は銀行やクレカなどの利益を出すには必須な部門をLINE側は整える事ができないままLINEPayを続けていかなければいけなかった事により、赤字だけが拡大していく負の連鎖に陥った。実際に夏野さんが指摘するようにQR決済は利益を出せるビジネスモデルではなく、あくまでも入り口でしかない。その入り口の先を急速に整えているのがPayPayであり、LINEは入り口での競争に巻き込まれ埋もれているのが現状だろう。一方でヤフーはPayPayを入り口から先を作っているが、スーパーアプリのような普段使いできる常にログインがされるサービスがない。だからこそ、LINEのようなメッセンジャーが欲しかったともいえるわけだよね。LINEで直接PayPay関連サービスを使えるようになればスーパーアプリとなり得る可能性は十分あるよね。ただ、それまでには時間がかかるので、この時間で競合他社がどれだけ攻めてくるか否かだろう。

このニュースからもLINEは苦戦していた部分がある。ただ、このニュース時点ではまだまだ資金面において体力があるならば、LINEは投資を続ける価値があると感じていた。なぜなら国内事業に関しては圧倒的なユーザー数であるわけだからLINE本体を軸に金融事業が立ち上がり整い、安定すればかなり優位に立てると思っていた。もちろん課題として海外事業があった。一度縮小傾向になってるが、マイナーな国でもいいから確実に広げていかないと手遅れになると指摘はされていたが、その前に損切りではないが、自社でやれる限界点にぶち当たったともいえる。

PayPayの伸びがエグい。3か月で2倍『一人勝ちの状況』──宮内社長

一方でPayPayに関しては赤字ではもちろんあるが、ユーザー数に関しては定期的な大型キャッシュバックと継続的なソフトバンクユーザーへの還元率、広告宣伝費含めて金を使った効果が出ていた。ソフトバンクユーザーとの親和性でユーザー数を確保した戦略とPayPay関連のサービス強化のスピード感の勝利かな。店舗側の導入ハードルが低いのもあるけど、QR決済=PayPayって形にもってきたのは大きい。PayPayモールなどに関しても圧倒的なスピード感で攻めてきていたのはLINEや競合他社としても驚異的であったのは間違いないだろう。その最中でのヤフーとLINE経営統合は実質的な買収劇ともいえるが、どのようなシナジー効果を生み出すのか、また競合他社がどう手を売ってくるのか期待感はある。

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