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<無料公開>向田邦子賞に野木亜紀子さんの「獣になれない私たち」が受賞!現代のドラマ事情について考える。

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新垣結衣さんと松田龍平さん主演のドラマ「獣になれない私たち」の脚本が今年の向田邦子賞を受賞。このドラマは野木亜紀子さんによるオリジナル脚本。大人の労働のリアル、恋愛のリアル、人間関係のリアルを描いた作品であり、視聴率は苦戦はしていたが、共感を生む時代に即したドラマだった。そのため、脚本がしっかりと評価されたのは個人的には素直に嬉しかった。良いドラマの評価基準は長年視聴率であったが、今は視聴率だけが指標ではない。

今の時代リアルタイムでドラマを観ることは若い世代はほぼないだろう。月9が平成前半の代表的な花形のドラマ枠であったが、夜の9時にまず帰ってテレビの前で観る時間がある人はかなり減ったのではないかと思う。そのため昔から録画をして観る層は一定数いたと思うが、近年は一層増えたのは間違いないだろう。それに伴いネットでの見逃し配信での閲覧も主流となった。一時期は有料での見逃し配信であったが、Tverなどのアプリで無料での見逃し配信が良い影響を与えたのは間違いない。

ただ、この見逃し配信などの影響もあり、ドラマの構成が最近変わってきている部分がある。分かりやすくいえば一話完結型である。刑事系や医療系のドラマ増加は視聴率が取りやすいという部分もあるが、一話完結型が作りやすいという側面もある。そして、一話完結型は一話を見逃しても次に見るときに影響がないという部分も大きいだろう。

そうなると継続性を保ちつつ、一話完結型の要素を持たせる工夫が脚本家には求められる。その手法に優れた力を持っているのが、野木亜紀子さんなのではないかと思う。野木亜紀子さんの脚本が注目されたスタートはオリジナル脚本ではなく、原作がある作品のドラマ脚本である。一番有名なのは「逃げ恥」だろう。新垣結衣さんと星野源さんによる漫画原作のドラマがムーブメントを起こした。

ただ、個人的に知ったのは「重版出来!」というドラマである。これも漫画原作であったが、テンポの良い展開と俳優陣の活かし方のすごく魅了を感じた。そして、調べて観ると好きなドラマだった「空飛ぶ広報室」のドラマも野木亜紀子さんの作品であり、新垣結衣さんの活かし方がすごく上手だなという印象も強い。

最後にオリジナル脚本の受賞が「アンナチュラル」ではなく、「獣になれない私たち」であったことにどのような意味があるのか?と考えると、人間関係に焦点を当てられたことが大きいのでは?と個人的には感じる。ストーリーの軸が人間関係に当てられ、大人が共感できる観れば観るほどハマることができる作品を作り上げた。ぜひ今後も良い作品が出てくること、ドラマ全体の発展を期待したい。

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