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怪談夜宴前々前夜祭

とある夕方、ロウドクシャの定例会議が始まりました。いつもはお酒と食べ物を持ち寄って、終わる頃には何を話したか忘れている・・・なんてこともありましたが、今ではすっかり恒例となったオンライン会議です。

登場人物:
ヨコオユキさん(イベントプロデューサー)
奈佐さん(俳優・ロウドクシャ語り)
北川原さん(演出家)
茶谷ムジ(案内人)

ヨ:見てください、今日の私の背景は奈佐さんです!
(ヨコオさんのZOOM背景に赤くライトアップされた奈佐さんの写真と”怪談夜宴”の文字)
奈:おお!そういうことできるんだ。
北:ゆっきーもうあったかそうな格好してるね。
ヨ:さむいですね〜。もう裏地もこもこのパーカー着てます。
猫:(北川原さんに抱き抱えられる)
茶:ねこあったかそうですね〜。

茶:今日は怪談夜宴前々前夜祭ということで。怪談夜宴オンラインに向けた意気込みや離れて過ごす我々の各中間報告をしたいと思うのですが。今されている稽古は主に、初挑戦の「牡丹燈籠」(「円朝の牡丹燈籠」田中貢太郎)でしょうか。
奈:「羅生門」は、ほぼ完成。
茶(茶と奈が似ているので以下ム):Twitterで「今回のロウドクシャはザ・怪談」と言ってしまいました。ゲストの東さんもRTしてくださいました...!
ヨ:ハードルが上がっている!
奈:がんばらないとな(笑)
北:「怪談夜宴」って言ってるからにはね。
奈:そうだよな、怪談って言っているんだから。たしかに今までのとは違うところがありますよ。
ム:「牡丹燈籠」はいかがですか?
北:カラコン見つかった?※カラコン、カラコンは幽霊となって現れるお露さんの下駄の音。
奈:もう少しだね。自分の声にエコーをかけたい(笑)
ム:落語の、三遊亭圓朝「牡丹燈籠」も読まれたんですね。

スクリーンショット 2020-10-12 23.23.11

奈:そうそう。こっちではね、最初はカラコン、カラコン、でも途中からカランコロン、カランコロン、なんだよね。
北:なんでだろう。もしかして・・・
(岩波のページをめくる)
北:お露さんが霊だと新三郎が知ってからは、カランコロンになってる。響いている感じ、より印象的な感じがあるよね。カランコロンになると。
奈:田中貢太郎版は全体にあっさりしているね。こちらは下駄の音は全部、カラコン、カラコン。平然と、軽い感じ。
北:その軽さ、カラコンなのに腰から下がないって本当こわいよね。
奈:それが出せたらもう、今回は成功だな。
ム:ところで私は三遊亭圓生の「牡丹燈籠」を聴いてみたんですが、ちょっとびっくりしたのは新三郎を殺した真犯人が〇〇だった、という展開もあるのですね・・
ヨ:え、お露さんじゃなくて!?

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▲医者の山本志丈の紹介で内気だが美男の浪人、新三郎と恋に落ちた美しい娘、お露。数ヶ月経っても会えない新三郎を思うあまりに身も心も弱って死んでしまう。が、死んだはずのお露とその侍女が新三郎の前に現れ・・・

奈:そんな話もあったね。主人の敵討ちの話もあったしね。
ム:お国さんもその連れも、悪い人でしたね、、私が聴いたものでは新三郎を殺した人物が気持ちの良いくらいの悪人でしたが。想像以上にどろどろの人間模様でした。幽霊の加わった横溝正史というか。
北:もともとは中国の「剪灯新話(せんとうしんわ)」、それが「御伽婢子(おとぎぼうこ)」になって、円朝によってエピソードが加わって落語になったみたいけど一番知られたのはやっぱり「お札はがし」の場面だよね。
奈:山本薩夫監督の「牡丹燈籠」(1968)も映像で観たけどあれも「お札はがし」の場面だったなぁ。

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ム:田中貢太郎は円朝の落語のこの場面を中心に纏めて小説にしましたが、確かに簡単になっているしあっさりとしているけど、このあっさり感が非常に事実らしいというか、事件らしいというか、まるで新聞にでも載っていそうな話になっている感じがします。生きた真犯人が居たというあり得るほうの結末が省略されて、おばけになった美女に取り殺された人がいた、という怪談話のほうが世に知れ渡っているのはおもしろいですね。
北:それだけこの場面が強烈な印象だったってことだよね。
奈:円朝の演った「牡丹燈籠」聴きたかったなぁ。※全部上演すると30時間ほどかかるそうです・・・。三遊亭円朝の落語は言文一致体の実践を行った明治期の作家に多大な影響を与え、現代日本語の祖と言われます。若干25歳にしての大偉業です。

余談・・・
北:11月くらいに京都行きたいな〜って思ってる。
ヨ:いいですね〜一番良い季節!前に京都で撮ってきた羅生(城)門スポットの写真ありますよ、メッセンジャーで送りますね。(ピコン)
奈:VIP羅城門(笑)。※タイトル写真参照
ム:京都といえば奈佐さんの通っていた中学校は羅城門駅が最寄りだったんですね。
奈:そう。俺の住んでたところはいわゆる門の外、洛外だったんだけどやっぱり洛外って感じだったなぁ。京都住んでるんですか良いですね〜って言われても皆んなが想像するような京都じゃないんだよね。
ム:そう言われると、それはそれでそういう京都も気になります。
ヨ:行きたいなぁ京都。
北:ロウドクシャで行きたいよね。


雑談。〜骨と髪どっちが怖い?〜

ム:ちょっと軽い話で恐縮ですけど、アンケートとりたいですね。「髪と骨、どっちが怖い?」
北:ほう。
ム:例えば家に帰ってきて、リビングに居たら怖いのはどちらか。頭蓋骨剥き出しの人と、髪で顔の隠れている人。
ヨ:わ!髪の毛隠れてる方がこわいな。
北:骨見えてたらさ、病院連れてくよ。
ム:いや、病院は手遅れじゃないですかさすがに...!やっぱり髪の毛って怖いですよね。骨になるとなんだろう、キャラクターっぽくなるの何故でしょうね。
奈:骨が見えているといえばさ、昔、芝居の小道具をつくってて・・
ヨ:こわいなぁ、聞きたくないなぁ。
奈:・・あの時、自分の手の骨見ちゃった時はひどかったね、全部の生理現象が来るって感じがして、嫌だったよ。
北:痛みを想像させるかどうかだよね。髪って切られても痛くないけど、骨は周りに神経も集中しているからそこが破壊されれば痛い。肉との結びつきも強い。真っ白な骨は怖くないけど、段々と変色した骨はだいぶ怖いよ。だから、怖いかどうかはその骨が火葬だったか土葬だったかによる。
ム:なるほど。(牡丹燈籠のお露さんはどちらだったのかな...)
北:「猿の手(W.W.ジェイコブズ)」のラストなんか丁度一番こわい時だね。

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▲W.W.ジェイコブズ・・・イギリスの小説家。怪奇小説「猿の手」「徴税所」の他、ロンドンの下町の言葉を取り入れた作品、海を題材にしたユーモラスな作品などもある。

奈:自分の息子を怪物と思うくらいだからな。
北:骨も一番恐ろしい状態で見えているんじゃないかな。
奈:ディアハンターにもでてくるなぁ、痛そうな骨のシーン。
ヨ:痛いのはいやですね。骨付きのチキンたべるときに、チキンの骨が「イタイヨ」って言ったら食べられないですもん。
北:トラウマになるよそれ。
ム:自分の骨見ることは相当な痛みを払わないと見られない。見たことないから想像できないのかな。骨の見える怖さを知っていればもっと怖いものなのかもしれない。
北:できれば一生見たくないよね。


怪談夜宴の特典『怪奇新聞』では、田中貢太郎や芥川龍之介のおばけ好きエピソードや、他にもまだまだある髪と骨の怪談文学、といったロウドクシャの部屋で繰り広げられる座談会もお届け予定。

次回の座談会では田中貢太郎と芥川龍之介が愛した”飲み物”、そして怪談の気分を盛り上げてくれる"食"についてもお話してみたいと思います。

怪談夜宴オンラインは11月1日開催、ロウドクシャ謹製菓子盆と自宅に届く怪奇新聞、振り返り会参加券付きの特別チケットも好評受付中です!

演者、スタッフ一同、ご予約、お待ちしています!


▼怪談夜宴オンライン詳細▼
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