見出し画像

J1クラブのスポンサー企業から学ぶスポンサーシップとは


Jリーグスポンサーの先輩、㈱マネーフォワードさんに学ぶ対談

2022年7月26日実施 
作者 とくちゃれレノファ山口ぶちカツ!チーム広報担当 由利

とくちゃれ レノファ山口ぶちカツ!の活動は、2021年度からスタートし、現在2年目を迎えています。
昨年は、我々の活動のシンボル的な存在となっている竹の応援打楽器「竹クラーベ」が生まれ、またレノファ山口FCとスポーツを通じたESG/SDGsの達成と持続可能な地域社会の実現に向け、「J公民連携ESG/SDGs事業推進パートナー契約」を締結するに至りました。

こうした大きな出来事があった一方で、これまで当社はプロスポーツクラブのパートナーとしての経験は無く、メンバーにとっては全てが手探り状態でした。

そこで、プロスポーツクラブのパートナーとしての基本的な側面について是非学ぶ機会が欲しいということで、この度Jリーグの3クラブ(横浜F・マリノス、アビスパ福岡、北海道コンサドーレ札幌)とパートナー契約を締結している株式会社マネーフォワード
マネーフォワード|家計簿アプリやクラウド会計ソフト (moneyforward.com)さんのご担当者と交流する機会をいただきました。

マネーフォワードさんは家計簿アプリ 「マネーフォワードME」で有名です。「お金をもっと前へ。人生をもっと前へ。」をミッションとして、お金に関わるサービスを提供されている企業です。

上記3クラブとは2020年にパートナーシップ契約を締結され、サッカーを取り巻く様々なチャレンジを応援し、サッカーに関わる人々の人生をポジティブに前に進める存在になりたいという想いで取り組まれています。

社内にはスポンサーシップを統括する部署があり、各クラブに担当者も一人ずつ付き、Jクラブとのパートナーシップ活動を積極的に推進されています。

今回の対談は、とくちゃれレノファ山口ぶち勝つチームリーダーの友村がSNSからマネーフォワード金井さんに直接連絡をさせていただき実現しました。当日は、当社の取り組みに対する感想や、マネーフォワードさんにおけるスポンサーシップのあり方、アクティベーション(権利活用)の事例、また今後の課題などについてざっくばらんにお話いただきましたので、対談の一部をご紹介したいと思います。

Jリーグクラブとのパートナーシップは特別な事であり、会社の誇り


(以下M:マネーフォワード、T:トクヤマ)
M:トクヤマさんの活動は率直に素晴らしい活動だと感じました。世の中の課題と自社の事業、そしてサッカーを上手に結びつけられていて大変羨ましいです。活動自体はトクヤマさんの方が先を行かれていると思っておりますが、社内の巻き込み方などについては、当社からもお伝えできることがあると思っています。

T:社内に向けての認知という部分では、これまで我々も欠けていたと認識しています。そのため、マネーフォワードさんがどのように社内に向けたアプローチをされているのか非常に興味があります。

やはりスタジアムで試合を観戦してもらうことが一番心が動くと思っています。自身(金井様)はサッカーを一度も観戦したことがなかったのですが、マリノスとのパートナー締結後に行った当社冠試合を観に行き、すごく関わりたいという気持ちになってマリノスの担当者となりました。そのため、スタジアムで生で色々と見てもらうことをいかにできるかが大事だと思っており、冠試合には力を入れています。

T:マネーフォワードさんでは、J1クラブとのパートナーシップについて社内からはどのような捉え方をされているのでしょうか?

M:基本的にウェルカムです。まだ今年で10周年の若い会社のため、Jリーグクラブのパートナーになるということは成長実感を得られる特別な出来事であり、誇りに思えたというのはあると思います。ただ、全社員が活動に前のめりではないため、当初からパートナーシップによってどのようなインパクトがあったか、また外からこういう声をもらっているということは社内に発信、共有するようにしています。

社員に興味を持ってもらうポイントを織り込むことが大事

T:選手と行う企画などもされているのでしょうか?
M: 「教えて!マネフォ先生」という選手起用動画を制作しています。これは当社の「マネーフォワードⅯE」という家計簿アプリをマリノスの選手から紹介していただく企画で、こちらは多くの社員にも見てもらえたと思います。また、社員総会の場で、選手からのメッセージ動画をいただいた際には大きな反響がありました。

Ⅿ:ただ選手はやはり遠い存在なので、自分たちとどのような繋がりがあるのか、共通点がどのようなところにあるのかを意識して伝えるようにしました。例えば、水沼宏太選手と小池龍太選手(両名とも7月に行われたE-1選手権において日本代表に初選出)が実際に有料会員で使って下さっているので、お2人の考え方や人となりも伝わるよう発信しました。社員が興味を持つポイントを織り込むことが大事かと思います

T:小池選手個人のプロジェクトについては、マリノスを通じてされているのでしょうか?それとも小池選手と直接されているのでしょうか?

M:小池選手との出会いはもちろんマリノスを通じてですが、これまで色々と当社の動画に出ていただく中で、小池選手から個人的にプロジェクトをやりたいと声を掛けていただいたので、このプロジェクトについては直接コミュニケーションしています。

T:こうした企画は会社の中で独自に作り上げているのでしょうか?外部にパートナーがいたりもするのでしょうか?

M:基本は我々2名で考えますが、冠試合や選手を起用するような場合には、撮影時に代理店に入っていただいたり、企画も一緒に考えていただいたりすることはあります。駅張り広告などは代理店を通さないと難しいということもありましたし、代理店の担当者がマリノスサポーターだったこともあり、進んで一緒に考えてくださっているという偶然もあります。

ブランディングやインナーコミュニケーションとしての活用、DX推進やサービス展開のパートナーとしての役割を期待

T:スポンサー費用とは別に、アクティベーションを行うための予算があるのでしょうか?

M:そうですね。ただ初年度は予算がなく、我々もスポンサーがどういうものかもよく分かっていなかったので、情報発信を積極的にしていくことでカバーしていきました。

M:やはり地道な啓蒙活動は必要だと思います。ただ、我々の活動と比べて、竹クラーベの活動は会社のブランド価値向上に役立つものだと感じます。もし当社がこうした活動をできていれば、社内的にも、もっと予算が取れるだろうなという気がします。調査などをやると良さそうですよね。

M:当社は直接サポーターへGoogleフォームなどを使ってSNSで発信し、アンケート結果をまとめたものを一部公開する取り組みもやっています。当社のサービスの理解度や業務イメージがどうかということをアンケートをもとに分析し、方向性を決めたりもしています。

T:そういうことは大事ですよね。我々はまだそうした取り組みは全くできていないですね。

M:御社であれば、竹クラーベの活動やシャレンアウォーズにエントリーしていることなどをレノファのサポーターに直接聞き、まずどの程度知られているのかを把握する。また、事業内容まで知って欲しいのか、採用まで活かしたいのか、目的に応じてアンケートも設計すると良いと思います。当社がマリノスと行った際には、両者のTwitterアカウントで発信したり、マリノスのメルマガで配信したりもしました。レノファのサポーターも協力的だと思いますし、御社もクラブにそうした協力が得られるのであれば、より多くの人に届けられるよう意識して実施するのも良いかもしれません。

M:当社はIT業界の中ではある程度知られていますが、一般的にはまだまだ知名度がないということが課題でした。そのため、一般的な知名度を獲得していきたいというのがJリーグへスポンサードする大きな理由の一つであり、知らなかった方々がどれだけ当社を知ってくださったかは調査するようにしています

T:採用などにおいて、こうした知名度獲得の取り組みが活きてきているという実感はあるのでしょうか?

M:そうですね。マリノスを通じて当社を知ってくださっていると、どのような姿勢や価値観で働いているのか、どのような人がいるのか、ある程度共感してくださっている状態で受けてくださるので、そうした人が増えてくるというのはかなりプラスに働いています。

T:いきなり同時に3クラブのスポンサーになられてすごいなと感じておりますが、会社の戦略としてはどのような思惑があったのか、差し支えない範囲で教えていただけますでしょうか?

M:先程申し上げたように、一般的な人への認知を高めていきたいという中で、サッカーの力を活用させていただこうというベースがありつつ、マリノスの場合はお互いのカルチャーに親和性が感じられたので、会社の姿勢を伝えたり、採用に活かしたりというブランディング面、また社内におけるインナーコミュニケーションとしての活用という面があります。一方、アビスパとコンサドーレの場合、福岡と札幌には「マネーフォワードクラウド」というバックオフィスのサービスを展開している当社の拠点がありますので、ブランディングというよりはDXの推進やサービスを展開していくためのパートナーとして一緒にやっているという感覚があります

様々な会社や人と繋がり、何かを生み出す事はすごく素敵な事

T:時間も少なくなってきましたので、最後逆にトクヤマに聞いてみたいことはございますでしょうか?

M:御社の活動は地域を巻き込んで、共創範囲が広いのが素晴らしく、また羨ましくも思っているのですが、そこまで広げられているのはクラブの方がアシストしてくださっているのか、それとも元々の御社の繋がりの中でやってきたのか、そのあたりどうなのでしょうか?

T:両方あると思っています。レノファさんは地域を元気にしたいという想いでJ2まで昇格してきた経緯があり、すごく地域を大切にされているクラブです。そのため、レノファさんは地域のコネクションを持って繋げるのが上手で、レノファさんのスタッフにお力添えいただいて進めてこれたということはまずあると思います。また、本日も出席しているとくちゃれ事務局の中村が、とくちゃれを通じて社外に人脈をたくさん持っており、そうしたところから地域との連携を取っていけているという部分もあると思います。

M:弊社はそうした部分が課題だなと思っています。色々なところと共創していきたいのですが、どうやって進めていくべきか悩ましく思っていたので聞かせていただきました。

T:パートナー企業同士のコラボレーションはこれまで企画されたことはあるのでしょうか?

M:マリノスのパートナー企業は大企業が多く、担当者レベルでコラボレーションを決められない部分もありますが、コンサドーレやアビスパは柔軟にやっています。例えばコンサドーレではパートナー企業同士でゴミ拾いなど社会貢献活動をやっており、マリノス担当としてはいいなぁと思って見ています。

T:確かに地方の方がそうした連携の土壌があるのかもしれないですね。山口県もそうですが、逆に言え

ばそうしなければやっていけないのかもしれません。

M:本来そこに醍醐味があるのではないかという気はしています。一つの共通するものを応援する中で、様々な会社や人、サポーターが繋がり、そして何かを生み出せるということはすごく素敵なことだと思います

T:今後御社と当社でも何かしらの連携をさせていただき、サッカーという唯一の共通したテーマを盛り上げるために何かできるといいですね。企業側で求めるもの、クラブ側で求めるものというはある意味相反する部分もあると思いますので、お互いに悩みを打ち明けながら、より良い方向に向かえたらいいなと思います。

M:まさに同じ想いです。難しい部分もありつつ、やる意義は絶対あると思っていますので、情報や悩みを共有しながら一緒に盛り上げていけたらと思っています。

T:ありがとうございます。今後も継続して何かしらコンタクトを取らせていただけたらと思っておりますので、引き続き宜しくお願い致します!

編集後記

先日、日本国内での素晴らしい結果や功績、驚きを与えたアクティベーション事例を表彰する国内初の広告賞 「Japan Sports Activation Awards」が初めて開催され、マネーフォワードさんが「審査員特別賞(企業賞)」、当社が「PSI賞*²」を受賞し、対談後に嬉しいかたちで共演することができました。
マネーフォワードさんは、クラブや選手との関係性、企画の質の高さ、社内外への発信力が素晴らしく、アクティベーションという面において当社の何歩も先を行かれている印象でした。そんなマネーフォワードさんに今回このような貴重な機会をいただいたことには本当に感謝です。この場を借りて改めて感謝申し上げたいと思います。そして、審査員特別賞の受賞誠におめでとうございました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?