【読書ログ】「十字架の女」
毎週1冊、小説を読んでみよう〜〜6冊目。
読んだ日:5.25
小説について
新興宗教「幸福の科学」の創始者で、総裁である大川隆法が書いた小説です。
幸福の科学についてここで詳しく説明することは控えますが、一つ言うと、この人は本を書くスピードが尋常じゃない。
幸福の科学関連の本はほとんど全て、この大川隆法が著者となっているんですが、3000冊以上出ているらしい。
1人の人間が、一生をかけても書けないと思われる数字ですよね、3000冊って。
まぁ、信者ではない私からすると、「本当に1人で書いてるのかな?」という当然の疑問はあるのですが。宗教を創始するくらいの人なので、ありえなくはないかなとも思います。
「十字架の女」と私
私の友人の中に、幸福の科学の信者がいます。
私はどちらかというとキリスト教なのですが。
(詳しくは↓)
超簡単に幸福の科学について説明すると、「ブッダもキリストもムハンマドも、これまでいたであろうあらゆる宗教指導者を世に遣わしたのは私(=大川隆法)です。」なんです。
例えばキリスト教とイスラム教って、なんとなく相容れないイメージがありますよね、基本宗教間ってそういうものです。
だけど、それを乗り越えてくのが幸福の科学なんですよね。
全ての宗教は正しい。何故なら、彼らは全て私がこの世に派遣したのだから。
つまり、神々とされているものたちの、さらに一段階上にいる存在が、幸福の科学の創始者である、大川隆法なんです。
だから、「キリスト教」といえば、「異教徒だ!敵だ!」ではなく、「はい、大川隆法の使者の1人であるイエスが開いた宗教ですよね。素敵です素敵です。」ということになる。
逆の立場から言うとありえない話にはなります。唯一神であるイエス=神を崇めているのに、その上に神がいるだと?私もそう思いました。
でも幸福の科学からすると、「あなたが今まで知らなかっただけなんです」ということになります。
何が言いたいかというと、だから友達でありえるんですよね。
むしろ無宗教者よりは近い存在だとも言える。
友人に「幸福の科学の信者だ」とカミングアウトされた時は、正直驚きました。私がいたキリスト教の中では、どちらかというとよくない宗教、に分類されていたからです。反射的に「やばい!助けなきゃ!」とも思いました。
でもよく考えると、私は幸福の科学がそもそもどんな宗教なのか知らない。私自身、今はキリスト教の敬虔な信者というわけでもない。その状態で頭ごなしに否定することがあるか?まずは知ることからなんじゃないか?と思い。
彼女に色々と教えてもらいました。大川隆法の本も読んだし、精舎(教会のようなもの)にも行ったし、合宿にも参加しました。
信者にはなりませんでしたが、異宗教を知る、貴重な経験でした。
彼女とは今でも連絡をとっています。
宗教について語れる存在、というのは貴重でありがたいなと、きっとお互い思っているような気がします。
長くなりましたが、その彼女から「最近小説が出たので読んでほしい。キリスト教っぽい内容でもあるから」と渡されたのが、今回読んだ「十字架の女」でした。
読んでよかったか
…まぁ、ある意味、よかったかなと思います。
ただそれは、興味的な意味で、です。
「小説」としての満足度は正直低いです。
幸福の科学の創始者が書いた小説ってなんだろう?どんなことが書いてあるんだろう?
という興味のもと読むのであれば、興味深く感じられます。
冒頭で、3000冊を本当に1人で書いてるのか?の疑問を呈しましたが、ある意味、納得できるかもしれません。これは誰か雇って書かせているのではなく、本人が書いているんだろうな…と感じる作品でした。(小説家を雇って書かせているには拙いというか…なんというか…)
「小説」と思って読むのはおすすめしません。心から楽しめる小説、ではないですね。
小説家ではない、宗教家が書いた小説、と思って読んでください。世の中にはこんなものもあるのか〜って感じで読むといいです。
2,3時間で読み終わります。
幸福の科学について全く触れたことない方は、もしかしたら理解できない内容かもしれません…。
内容について(※ネタバレ含む)
大筋のストーリーは、惹かれるものでした。
連続する不審死の謎を追う刑事班と、記憶喪失のシスターが、どのように関係していって最終的にどうなるのか。
ただ、所々時系列や場面転換がよくわからなくなるのと、表現や例えが古い…。
文章自体は簡易でわかりやすいとは思います。
よく現実の映画のタイトルで「○○のような」という表現が使われていましたが、それ自体がなんとなく拙い印象を受けました。(私も参考にしよう…)
Amazonのレビューを見ると「女性蔑視の表現だ〜」みたいなコメントがちらほらありました。性犯罪についての小説でもあるので、確かに表現的に気分を害するところがあるかもしれませんね。
途中までは、そういう細かい部分を気にしなければ、面白い小説だったんですが…
(途中、ご本人が登場した時にはびっくりしました。"本屋の宗教コーナーに行ってみると、大半が大川隆法という人の本ばかりだった"とか。笑)
警察とシスター、暴力団のところまでは良かったけど、防衛省が出てくるとこ。警察で保護していたシスターが防衛省によって自衛隊基地に連れ去られたと同時に、自衛隊基地に北朝鮮からのミサイル着弾。消防車救急車に紛れて刑事班がシスター奪還のため基地に侵入。防衛省役人を気絶させシスター奪還を試みるも、自衛隊によってテロ犯と間違われ銃撃に倒れシスターもろとも死亡…。
そもそも、物語の端々で、北朝鮮やらロシアウクライナについての記述があって、この物語の本筋とは少し浮いているような印象があったけど、最後はもう国家規模のゴタゴタで全員死んでいく、っていう、、、。
突然の大規模化にもついていけないけど、やっぱりみんな死んじゃうのは私は苦手だなぁ。
まぁ、宗教家の本なので安易に一般的な「死」で語るのも難しい話ではありますが。
結局このシスターは熾天使の1人でした、ということが書いてあるし。
(確か、幸福の科学はいうても仏教寄りなので、輪廻転生的な考え方があったはず。キリスト教は転生しません)
結局、「霊的なものを信じなさい」っていうことと、「日本の現状に危機感を持ちなさい」っていうメッセージな気もする。
ただ、これを読んだだけだと、そのふたつって全く繋がらないな。
友人からは、「上下巻だから、これ読んで気に入ったら下巻も読んでね」と言われていて。でも"完"って書いてあるしな…と思ったら、「十字架の女2」があるらしいです。
正直言うと、最初は読み進めるのが結構辛かった。「これは小説なのか…?」という文章だったので。ただ、こうやってみんな死んでその続きってどうなるんだ?ってとこも気になるので、読んでみようと思います〜。
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