ナルシス（水仙）

私が水辺に咲いているのは　もっと近くで
あなたを感じたかったからよ

俯いて　水面を見つめているのは
あなたに逢いたいからよ

私は神さまに　こっそりお願いをして
水仙の花にしてもらったの
驚かないでね　あなたに恋した少女が
水仙になっただけのこと

あなたは　私を知らないけれど
漂う甘い香りで　きっと私に気づくはず

美しいものに心惹かれて　何が悪いというの
少年でも少女でも　たとえそれが
自分自身だったとしても

あなたはただ　自分を自分と気づかずに
愛してしまっただけ
それが罪だというのなら　この世は罪で溢れてる

泉の底で　あなたはまだ眠っている
急がなくてもいいの　私はいくらでも待てる

いつか　あなたの呪いが解けて
私のことを綺麗だと　思うかもしれない
水仙になって一緒に咲いていたいと　
思うかもしれない

いつ　あなたが来てもいいように
綺麗な花を　咲かせるわ

泉の底に　あなたを感じながら
私を見つめる　あなたを想いながら