弁理士大谷

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六本木通り特許事務所|弁理士|その強み、確かなかたちに。未来を変えていくスタートアップの特許・商標を最先端の実務で支えます|ハーバード博士課程中退|CNETで連載中

マガジン

  • スタートアップのための商標の教科書

  • 「スタートアップのための特許講座」の過去記事紹介

    CNET連載「スタートアップのための特許講座」の過去記事をコンパクトに紹介していきます。https://japan.cnet.com/sp/patent/

  • スタートアップのための特許の教科書

最近の記事

コラム generative AI関連商標の商品役務を考える

OpenAIが2022年11月に提供開始したチャットサービス「ChatGPT」が驚きをもって受け止められています。人と会話をするように、不自然なところのないやりとりが可能になっています。たとえば、スタートアップは商標出願をした方がいいですか?と聞いてみたら、次のように。 ChatGPTはTransformerと呼ばれる最新の機械学習手法を応用したものです。GoogleがTransformerのアーキテクチャを2017年に発表してから、さまざまな応用が世界中で試みられてきて、

    • 商標の類否判断-文字等-

      商標は文字、図形等(以下「文字等」)とその用途との組み合わせによって、自他の商品又は役務を識別するもので、たとえば、同一又は類似の文字等が他人によって出願されている場合には、登録することができません。ここで、文字等、用途が「類似」するとはいかなる意味かが問題となります。まず、文字等の類似とはなにかを解説します。 商標法上、文字等が「類似」するか否かは、同一又は類似の用途に使用された場合に、その出所につき誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって判断するとされており、より具体

      • ロゴとフォントと商標

        「ロゴ」という言葉について、多義的に用いられるこの言葉について整理します。 元来「ロゴタイプ」という言葉があります。レタリングという文字造形を扱うデザインの一分野で、連続する文字に対するデザインを意味します。これに対し、一文字単位のデザインをタイプフェイスあるいはフォントと呼びます。既存のフォントを用いて、たとえば大きさ、位置、スペーシングなどを造形的に調整することで制作されたロゴタイプもあり、また、図案化を進めて既存のフォントに収まらないロゴタイプもあります。いずれにして

        • 先行商標との衝突回避の定石、不使用取消審判

          商標は文字、図形等(以下「文字等」)とその用途の組み合わせで、同一又は類似の用途について、同一又は類似の文字等が他人によって出願されている場合には、登録することができません。具体的な手続としては、このような先行商標が存在する場合に出願をすると、特許庁から、40日以内に反論があればするようにと記載された拒絶理由通知という書類が送付されます。 商標出願人として取り得る措置は3つで、文字等又は用途が同一又は類似ではないことの反論、先行商標の権利者と交渉(当該権利者が同意してくれれ

        コラム generative AI関連商標の商品役務を考える

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        記事

          スタートアップが早期にサービス名の商標登録をすべき理由

          スタートアップがサービス名の商標登録を後回しにすることのリスクは明らかで、時間の経過とともにリスクは高まっていきます。 商標法には特許法、意匠法、著作権法等のように創作者という概念がなく、少なくとも我が国においては原則として先願主義を採用しています。先に誰がその商標を使用したかということは無関係で、先に商標登録出願をした者に権利が付与されます。つまり、自ら商標登録をしなければ、制度上自社商標がいつ他社に取得されてもおかしくない状況に置かれています。時間の経過とともにスタート

          スタートアップが早期にサービス名の商標登録をすべき理由

          ネーミングの際に知っておきたい商標の類型

          商標とは文字、図形等(以下「文字等」)とその用途の組み合わせによって、自他の商品又は役務を識別するもので、需要者又は取引者に対する識別力の強さによって五類型に分けられます。米国では、この違いを識別力の強度分布と考えて「Trademark Spectrum」と呼んでいます。これらの類型を知っておくことはネーミングを行う際の指針となります。 Generic 最も識別力の弱い商標はその商標が用いられる商品又は役務の一般名称で「一般的(generic)」であると言われます。商品「

          ネーミングの際に知っておきたい商標の類型

          商号の使用と商標

          サービス名、商品名などは商標登録しておくべきとして、社名についてはどうでしょうか。 登記上は、同一の所在場所に同一の商号が登記されていなければ自由な名称で登記が可能ですが(商業登記法27条)、このことは社名の使用について商標法上の制約が存在しないことを意味しません。社名であっても、他人の先行商標と衝突する場合には自由に使用をすることができません。 他人の先行商標が登録されていても「需要者が何人かの業務にかかる商品又は役務であることを認識できる態様により使用されていない」場

          商号の使用と商標

          守りの商標、攻めの商標

          商標には大きく分けて二種類あります。 一つは守りの商標で、サービス名、商品名、社名を対象とするものです。ドメイン名と比較するとサービス名などは商標登録をしなくても事業を始めることができてしまうため、どうしても後回しになる傾向があります。 しかしながら、時間が経てば経つほど、ユーザーの認知が高まれば高まるほど、他社の先行商標との衝突に気付いたり、悪意ある第三者による横取り的な商標出願の存在に気付いたりしたときの解決コストは大きくなっていきます。サービスなどのローンチ時に取り

          守りの商標、攻めの商標

          はじめに

          商標登録出願について、日々なんらかの業務を行っている。 ご依頼を受けて、願書をドラフトすることもあれば、特許庁からの通知を受領して応答方針を検討することもある。登録査定を受領して登録料を納付すれば権利が成立することをご報告できる日は喜ばしい。 逆にご依頼を受けて、先行商標を調査してみると解釈によっては衝突してしまう商標が既に出願されていることがある。このような状況でどのように助言すべきか、いつも悩む。安易な助言は、先行商標と類似するおそれがあるから、登録出来る可能性は50

          特許出願の価値を高める、スタートアップのためのプレスリリース活用術(第15回)

          連載第15回では、スタートアップが露出を目的に行うプレスリリースは工夫次第で、自社の特許出願の価値を高めるものであることを説明しました。 特許出願の内容は一年半後まで公開されないものの、特許になるか否かの審査は出願日において新しいか否かを基準に行われるため、特許出願をしたからといって、公開前であれば、他社が関連特許を取得することを妨げることには原則としてならないこと、したがって、特許出願に記載した内容のうち、他社による権利化のハードルを上げておきたい点についてはプレスリリー

          特許出願の価値を高める、スタートアップのためのプレスリリース活用術(第15回)

          諦めたらそこで試合終了--オムロン vs タニタの知財訴訟から学ぶ、権利の有効・無効(第14回)

          連載第14回では、オムロンとタニタが「デュアル・スキャン」という商標の有効無効を巡って争った事件を例に、特許庁における審査と裁判所における判断との違いを説明しました。 商標であれば年間10万件以上、特許であれば年間30万件以上の出願が日本国特許庁にされています。これらを審査官が公平に判断するためにマニュアルが用意されており、必ずしも事案ごとの個別の事情を詳細に考慮して判断されるわけではなく、裁判所の審理では、当事者の主張次第でそうした詳細も考慮されることを解説しています。

          諦めたらそこで試合終了--オムロン vs タニタの知財訴訟から学ぶ、権利の有効・無効(第14回)

          特許出願から読み解くソーシャルロボットの最前線--石黒教授の「テレノイド」やMIT発の「Jibo」(第13回)

          連載第13回では、「マツコロイド」で知られる石黒教授のヒト型ロボットを例に、特許出願は未だ見ぬ未来を読み解く資料となり得ることを説明しました。また、MIT発のソーシャルロボット「Jibo」も取り上げています。 特許出願を読んでいくと各社がどういった課題を今後解決すべきものと位置付けているかが見えてきます。この分野では「ヒトとロボットとの感情的な距離をいかに縮めるか」という課題が浮かび上がってきます。後は自社として、その課題をいかに解決していくかです。 自社でも特許への知見

          特許出願から読み解くソーシャルロボットの最前線--石黒教授の「テレノイド」やMIT発の「Jibo」(第13回)

          クイズで学ぶ、起業するなら押さえておきたい特許のポイント(第12回)

          連載第12回では、特許制度を活用するためのポイントをクイズ形式で取り上げて説明しました。 特許は後回しになりがちなのですが、タイミングを逃せば特許制度を利用できなくなります。逆にすべて急げばいいというものでもありません。「いつ」「なに」ををすべきなのか 、特許に出来ることと出来ないことはなにかといった基本的な性質を解説しています。 自社でも知財への取り組みを一度考えてみたいとお感じになられた方はこちらから是非ご連絡を戴けたらとおもいます。 「スタートアップのための特許講

          クイズで学ぶ、起業するなら押さえておきたい特許のポイント(第12回)

          バック・トゥ・ザ・フューチャーの未来スニーカー「Nike MAG」--特許出願から読み解く(第11回)

          連載第11回では、バック・トゥ・ザ・フューチャーの中で描かれた未来スニーカー「Nike MAG」を実現するためのテクノロジをカバーする特許出願をナイキがしていることを説明しました。 特許出願では、この動画から分かる外観のみではなく、内部機構が説明されていて、特許出願は、未来のコンセプトが実際に具体化していくさまを窺い知るヒントになることを解説しています。 自社でも特許への取り組みを一度考えてみたいとお感じになられた方はこちらからご連絡を戴けたらとおもいます。 「スタート

          バック・トゥ・ザ・フューチャーの未来スニーカー「Nike MAG」--特許出願から読み解く(第11回)

          「島野製作所 vs アップル」に学ぶ、特許を盗んだと言われないための注意点 (第10回)

          連載第10回では、スタートアップにとって他社との提携関係を構築していくことは成長を加速する上で大切であるものの、提携関係を構築する過程で、自社と他社の機密情報の区別がつかなくなってしまう「コンタミ」の問題が生じやすいことを説明しました。 そして、こうしたコンタミが生じているおそれのある状況で特許出願した場合、後日他社から、特許出願の対象である発明にはその他社の機密情報が含まれており、それを無断で盗んで特許出願がなされたと主張され得ることを「島野製作所 vs アップル」の具体

          「島野製作所 vs アップル」に学ぶ、特許を盗んだと言われないための注意点 (第10回)

          スタートアップにもできる海外への特許出願--流れと費用を解説 (第9回)

          連載第9回では、負担が大きく聞こえる「国際出願」も大きく3つのステップに分けることができ、前半のステップは、多くのスタートアップが取り組めるものであることを説明しました。 そして、後から国際出願をしておけばよかったと言っても取り返しがつかないものであり、国境を越えても優位性が失われにくい独自技術の獲得を早々に諦めてしまうことは、海外市場展開の可能性を早い段階で狭めてしまうことを解説しています。 自社でも知財への取り組みを一度考えてみたいとお感じになられた方はこちらから是非

          スタートアップにもできる海外への特許出願--流れと費用を解説 (第9回)