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nero


唐突だけれど、ぼくらの偉大なる主人公「ネロ」が駅に到着したところから、この小説は始まるんだ。それより昔の物語は、どうせ退屈だから気にする必要はないよ。これからのことだけが大切なんだ。
 

ネロは両腕を高く伸ばして、凝り固まった身体をほぐした。きっと長旅だったんだね。そして犬みたいに小さく身震いした。
すでに雪はやんでいたけれど、長い時間をかけて積もったものが、岩のように固く地上にとどまっていた。あらゆるものが白く上塗りされ角をとられて、まあるくなっていた。そこにあるのは、どこにでもある、雪の景色だった。


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