ピルスト

人間に類するすべての者を大歓迎

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    • Ambient

      唐突に始まり、唐突に終わる。 誰の物語でもない。いや、今日、街ですれ違った誰でもない誰かの物語だが、物語そのものがすれ違っていった。 取り逃した無名の物語に私達は取り囲まれている。 さながら、アンビエント・ミュージックのように。

    • 短編小説(毎月末更新)

      雑多な短編小説のマガジンです。 1つが口に合わなくても、別の1つが口にあう可能性もあります(諦めないで!

    • きみの夏休みを思い出して(毎月末更新)

      複数人の小学生の頃の夏休みの思い出を集めて、1つにプリコラージュしました。

    • 毎月の凝集物を開陳す(毎月末更新)

      小説の周辺のことについて書いてます。 小説で書けなかったこと、書きたかったこと、これから書きたいことをここで補完しようとしています。

    • 厳密な実感・乱飛交(短編小説)

      厳密に実感すればきみも同じように苦しみますよ。そして交合する飛行はSMの快楽ナシにはやってられない。

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    虚構文芸誌「WORK1 」

    既存の文芸誌が面白過ぎたので、ぼくも作ってみることにしました、一人で。 群れの生存戦略というものがあります。ぼくは、生態学に好意的なので、 そのような戦略にも寛容です。あらゆる生き方を尊重しています。 <ご案内> 「WORK1」は、TwitterにDMいただければ、送料着払い(もちろん常識的料金)でお送りします。本体価格0円です。利益度外視なので、送料も無料にしても良いのですが、人は無料で手に入れたものを大事にしないという普遍の真理があるので、送料だけ徴収させていた

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      • ぼくはドア前のインターホンを2度押してから、ようやくメッセージを思い出した。(Ambient)

        ぼくはドア前のインターホンを2度押してから、ようやくメッセージを思い出した。 『部屋にいなかったら勝手に入っといて。鍵は開けとく』と、吉岡は LINE に書いていた。 試しに玄関のドアを押すと開いた。 入ってすぐにキッチンがあって、真っすぐ廊下を進むと部屋につながる扉があった。ぼくの部屋も似たような間取りだった。 廊下の奥、半開きの扉の向こうから冷気が漏れていた。駅から10分歩いただけで汗だくになっていたからうれしかった。クールジャパンと言うわりに毎日毎日ひどく暑かっ

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        • 赤子の展示会(#2000字のホラー)

          不繊維マスクの内側に、皮膚を爛れさせる毒(そこには塩素系漂白剤や、臭いをごまかすための消臭剤、それと「ある種の感情」が混ぜられている)をこっそり塗る女がいるという。世の既婚男性はとくに注意したほうがいいようだ。 なぜそんなことをするのか? 「きみは納得できないよ。非合理的なんだ」と私の友人は言った。そういう友人の顔に目立った炎症はない。友人はまた別の友人に聞いた話を私に話して聞かせたのだ。 で、要するに愛なのだという。 愛が動機なのだ。 毒塗り女は静かなる嫉妬に狂った。夫

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          • 廃園間近の遊園地でデートしたらいろいろな「エモい」に出会った話

            1 母譲りのフリルつきのピンクの洋服とかハンカチ、そういう「かわいらしい」ものが私はぜんぶいらなかった。 たとえばランドセル。姉のは真っ赤だったけど、私は無理を言って黒にしてもらった。少し昔にはトイレの看板みたいに性別で色分けするのが、ランドセル業界の絶対の決まりごとだったみたい。馬鹿らしい。そういう色分けって資本主義国の連中が赤狩りとかで特定の思想を弾圧したのと、大して違わないと思う。 あと、私はあの進研ゼミのコラショっていう生き物は気持ち悪くて昔から嫌い。聞いた話だけど

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            メイドインアビスとその他の本・双頭の鴉のスケッチ

            ただのメモ書きだと思って、気楽に読み飛ばしてください。 読んだ人にとってなにかしらの創作上の刺激になればよいですが。。。 ハンス・ケルゼンの「民主主義の本質と価値」(岩波文庫)という本を、機会があって読んでいる。なかなかおもしろい。 ”民主主義の理念の第一は、「統治者などいてはならない」という自由の観念であるが、それは社会的現実においては、「誰もが統治者になることができる」という原理に転化する。それと同様に、「諸個人はすべて平等である」という第二の原理も、「諸個人は可能な限

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            【文章】ぼくらの夏休みした

            序文夏休みというのは清浄かつ幸福な時間だったと思い出すのは多い人々である。 それを体験している時代からすでに懐かしさを感じていたというのだから時間概念の変容は遅くおこなわれていた。 暑い気温が凍える気温の孤独感。郷かしい愁いを運んでくるというのは、具体的に了承しかねるのでしょうか。 私たちが願いは、まばらに幸せな夏休みを各自持参、換言するしめやかなホームパーティーのごとくか、もしかジグゾーパズルらしく楽しいはめ込みです。 ある座標に7月28日を不幸とする一人おりますなら、示し

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            作業中はヴェイパーウェイブばっかり聴いてます(その他の雑然とした話題)

            2022年7月の随想 一ヶ月ごとに、noteに公開することにする。都度Twitterに投稿できれば良いのだけれど、文面を考えれば考えるほど狙ったような文章になってしまって気持ち悪くなってできない。 公開しないつもりで書いておいて、あとから自分自身への不意打ち的に公開するほうが、自意識に悩まされずに済む。 それに、まとめて見てもらったほうが、いま取り組んでいることがらの方向性も見えやすいと思う。 いわゆる一次小説というのは世の中にほとんど需要がない。だから、まずはここに書く

            30万字の小説という病

            新作は、順調に遅延しています。 Twitte小説や、群像新人賞に応募して2次選考で落とされた小説や、その他の小説。それから、ケレン味多めの巻頭言や細々したエッセイ、異世界寄稿文などを新しい文芸雑誌のために準備していましたが、あまりに肥大化してしまったので、このバージョンの制作はストップしました。 ピラフについての小説を書き直しているとき、その決断をしました。もともと3万字強くらいだったのですが、書き直し版を同じ3万字付近まで書いてまだ全体の1割くらいしか進んでいなかったの

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            私がおすすめする地下外国文学(アングラガイブン)作品☆4選

            はじめに日本の面積狭し。加えて日本文学の料簡狭しとあればじつに窮屈極まりない。 私が外国に目を向けることをはじめたのは今から数えてもう3年前、いろいろと読んできました。でも私ごときが、地上外国文学=メジャーガイブンを紹介することに意味があるとは思えません。せいぜい「シオのほうがタレよりも鶏肉らしさがあって焼き鳥はおいしい」とかいうのと同じくらいの主観的で不毛な感想を垂れ流すくらいが精一杯だから。たとえば「仏蘭西のウェルベックはカモミールみたいにシニカルだよね」とか。たとえば「

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            雑記

            なにかが起こった後に、反省や後悔をして、そのあと冷静な頭で対策を練り、同じ過ちを繰り返さないようにする。 そういったサイクルが大事だと繰り返し言われてきた。明るい未来を築くために、上昇する螺旋のような希望的サイクルが必要なのだと。 でも、振り返ってみれば人類の歴史は、狂ったように繰り返されている。しっぽを追う犬のように、その場を無残に回転している。そして気づくのは、反省や後悔のサイクルでは解決できない大きな流れがあるのではないか、ということだ。きっと、誰もが気づいている。 突

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            【短編】獣、思い出の市民公園の

            「悪いんだけど、もう一度、最初から説明してくれる?」 眉間におよそ23本の縦じわを刻みつけた谷麻本が困りきった表情で言う。そこには若干の嘲弄、つまり、科学合理主義にかぶれたリアリストが路傍の空想家に向ける、あの、お馴染みの侮蔑が含まれていた。が、谷麻本と多木澤のあいだの14年にもわたっている細く長く続く友情が、ほんらい持つはずだろう攻撃色を中和している。 谷麻本の望み通り、多木澤は説明を最初からやり直すことにするようだ。しかし今回は、「伝わる論文の書き方」とか「優秀な人間は喋

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            【小説】覧古【紀行】

            覧古碧園外楼に登らなければ残櫂を得られない、そんな時代はとうに過ぎ去った。13年前に開発された"えんと"のおかげで残櫂に頼らなくてよくなったためである。 最近の若い子はかつて残櫂があったことを知らない。じっさい、数ヶ月前に私の公的サイト"えん鬱鬱まい"で広 (ひら) げていた文章内で、残櫂に説明なしに言い及んだところ、親愛なる読者諸賢から私的サイト”まいし”の方に直接「タイポ:残櫂」との指摘が矢のように飛んできた。 諸賢であってもこの通りなのである。それもこれは残櫂に限った話

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            グリーンな日

            チャ、チャ、チャ。 おもちゃのではない。生身の人間。年老いているが。 背後の座席で、なぜかずっと口を鳴らしている。唾液のねちゃつきを容易に感じられる音をバスの車内に響かせている。 ちょっとした旅行の荷物のように押し込められた車内は、昨日よりいくらか陽気そうな雰囲気をみせる。チャ、チャ、チャ、この爺のリズムがそうさせる。 薄汚れた遅暮の一生が、唾液を口の中でウジ虫のように跳ね回らせる奇癖を生ませた? 現代文学はみじめな彼に寄り添い、主題を見出すことをしなかった。ここに、退

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            1日だけつくばに滞在しました(虚実あります)

            筑波山(現実) 予は現代的言葉で云えば、筑波山にあこがれてゐる……わけでもなかったのですが、徳富蘇峰の「筑波遊記」を読み触発されたぼくは、休日を消費してつくばに行きました。今回の記事は、昔から多くの歌が詠まれている筑波山周辺を散策したというだけの、詩情に欠く紀行文となるでしょう。 筑波嶺は女男の神山並び立ち空をかきりて乳房型の山 中村正爾 この一首は筑波山のみぞおちか、あるいは鎖骨あたりに位置する歌碑に刻まれています。北原白秋の弟子の中村正爾が詠みました。 乳房というのは

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            紀貫之と香 / サリンジャーと音

            楽しい時間というのは驚異的速度で過ぎ去る。快速が去ったあとの駅のホームに吹く風が、置いてかれた私たちの足元にさみしく吹き行く感覚。誰もが経験している。 私の背が今より70cmくらい低かったころ、この「時間の身勝手さ」への不満を母に相談したことがあった。母はこともなげに言った。 「楽しい時間が永遠に続かないおかげで、辛い時間も永遠に続かないのよ。」 時間は絶対的なものとして、均等に流れる(よく時は金なりと言うが、金は時間のように全人類に平等に配分されることはないので、間違って

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            エンキ・ビラルのバンド・デシネ「モンスターの眠り」をネタバレするだけの記事

            出典:エンキ・ビラル「モンスターの眠り」大西愛子訳 今日はエンキ・ビラルの「アッツフェルド4部作」の第1部「モンスターの眠り」のネタバレをします。ネタバレをします。エンキ・ビラルに対して、なんとなく興味あるけど今後ぜったい読むつもりはない、という特殊な状況に置かれた人向けの、ニッチな内容となります。 ぼくはこの本を漫画というよりは、挿絵付きの短編小説、として読みました。近未来世界なりの耽美を、荒々しく描きとる絵のタッチはたしかに魅力的です。しかしぼくはどうしても、文章

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