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【短編小説】nero【完結】

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憧れは蛾の翅で飛び去った
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2019年9月の記事一覧

nero

1 唐突だけれど、ぼくらの偉大なる主人公「ネロ」が駅に到着したところから、この小説は始ま…

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ピルスト
5年前
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無慈悲な鉄条網に行く手を塞がれた、とネロは思った。疲労感が早とちりさせたんだね。近づい…

ピルスト
5年前
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そろそろ食事が終わりそうだったのだが、唐突に野球帽をかぶった男が大声で演説を始めた。小柄…

ピルスト
5年前
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3  ネロはいそいそと起き上がり、いつもサルが眠っているはずの布団に何気なく目を向けた。…

ピルスト
5年前

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部屋に戻ると、毛布が足元に丸まって忘れ去られ、布団の中が晒されていた。マリは目を覚まし…

ピルスト
5年前
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ネロとマリは施設の敷地の外に出るため、いったん部屋に戻って上着を持ち出した。マリはネロ…

ピルスト
5年前
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 街は、ネロが前に通り抜けた駅のある街とは違って、人の気配があった。人々は、あらゆる場所に点在する泥の塔と、家の屋根や倉庫、窓のさんなどの間に張り巡らされたひも状のものを利用して移動をした。そのため地上には、なんの跡も残っていないまっさらな雪が、ふんわりと積もっていた。  マリはあらゆる方向に延びるテープの中から、一本の黄色のテープを選んで乗り換えた。ひとつの泥の塔には、色分けされたたくさんのテープやロープが様々な方向へ花火のように開いていた。中には千切れてだらり垂れ下が

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 太陽は目を離すとどこかへ行ってしまう。ネロとマリは太陽の監視を怠っていたため、昼食をと…

ピルスト
5年前
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 灯りなしで立ち入るには暗すぎる部屋の奥に、人の気配があった。ネロが灯りをつけようとする…

ピルスト
5年前
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告白 「まずお礼を言わせて、ありがとう。私に告白の機会を与えてくれて」  暗闇に潜んでいる…

ピルスト
5年前
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 ネロは繰り返し躓きながら、自分の部屋に戻ろうとしたが、道が分からなかった。さいわい土田…

ピルスト
5年前
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ネロは腰をかがめて視線を合わせ「大丈夫?どこか悪いの?」と、訊いた。「顔が真っ青だよ」 …

ピルスト
5年前
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nero16 / 完結

 前を走る男は、訓練施設のふちを目指して走り続けた。外へ逃げようと考えたのだろう。後ろを…

ピルスト
5年前
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