この十年、なにがあったのかを考える冊子。
ことしの正月明け、ふとおもいたち「この十年、なにがあったのかを考えること」という文章をまとめました。この文章を読み返すうち、どうせなら、と冊子化することにしました。その目的はおおきくふたつ。この間、お世話になった方々に御礼としてお渡ししたいというのがひとつ(押しつけ迷惑かもしれませんが)もうひとつは、学校をでて以降、社会人として最初の十年、そこで自分自身がなにをしてきたのか?という整理のため。
これまでさまざまな機会で、デザインや関連人物、著作にまつわる歴史や背景を整理してきましたが、アーカイヴ化することで明瞭な補助線を引くことができます。ゴーギャン作品タイトルにある『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』——大袈裟ではありますが、それを自分自身でやってみようというもの。学生時代は就職活動用のポートフォリオを作成するわけで、なにをしてきたのか、というのがかたちとなり、それは他者ばかりではなく自分にとっても、明快な自身のプレゼンテーションとなるわけですが、僕自身のいいかげんな性格をふまえれば、このままズルズルといきそうなので、これいい機会と、ここでアンカーポイントを打つことにしました。
これまでの成果物や写真、文章、講座資料などを整理してみると、まがりなりに十年。それなりの量になりました。当初は32ページくらいの簡易な中綴じ冊子……のつもりでいましたが、まとめるうち自然と300ページに膨れあがり、印刷見積もりをみて白目(ある編集者のかたに掲載許可を相談した際「それはもう、私家版だね」と笑われてしまいました。そう、まさに私家版というのが適切なボリュームです)
3月ごろから、この5月の連休まで。あいまをみて遅々と進めてきましたが、まもなくひと段落となりそうです。ふだんはばたばたと、一気呵成に終わらせるクチなので、こうした隙間時間で細々仕上げていくとまったく、制作した実感がわかないものですが、目の前にある分厚い校正紙をみれば、これまでの時間をようやく認識することができます。
これは基本的に掲載された方々に御礼がてら配布するもの。もし余部がでて、万が一希望者がいらしたら、そのときは販売するつもりです(とはいえ原価が原価なので、とても暴力的な価格となります。このあたりは完成後、あらためてご案内します。現時点で、プロフィルのメールアドレス宛にご連絡いただいてもかまいません)
これまでお世話になったみなさま、そして掲載にあたり許可をくださいましたみなさまに、あらためて御礼申しあげます。
———
『中村将大の仕事 2009—2020』
目次
Introduction
この十年、なにがあったのかを考えること。
i
デザインの教育をデザインしてゆくこと
「デザインの教育」をデザインする
デザインの「基礎授業」とはなにか?
受講生との対談
夜間部授業資料
はじめに: デザインを理解するために
デザインの定義と領域
タイポグラフィ
デザインと色彩
構成
「かた」をまなぶこと
デザインの設計
神の視点・濾過する巫女
卒業制作について
ポートフォリオとはなにか?
講座のデザインについてあらためて考える
産学連携のしごと
ii
ヴィジュアルコミュニケーションのデザイン
INGO MAURER 詩情とハイテック
風土形成事務所 視覚伝達計画
逸品集 菊池襖紙工場 伝統工芸室
日本の美をよむ 胡桃堂喫茶店・書店
BUSHI TEA
光のゼミナール 面出薫 + ゼミ編集委員会
神楽岡久美 名刺のデザイン
炭鉱と美術 國盛麻衣佳
日本料理 海木
iii
風土とアンビエント
モダニズムとしての民藝
柳宗悦 年表
「三浦海岸の家」について
iv
デザインをことばにする
濾過されるデザインのプロセス
雑感組曲 カフェ・ブームの咀嚼
雑感組曲 京都の朝食
雑感組曲 まちあわせ
雑感組曲 現代の座禅
Talk Session
エミール・ルーダー
‘Typographie: A Manual of Design’ をよみとく
大林寛さんとの講座録から
補遺
スモールグラフィックス
ワークリスト
ブックリスト
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追記
こちらおかげさまで無事に完成いたしました。こちらの記事にまとめております。また制作原価(とはいえ、かなり高額ですが……)で若干部数、頒布することとしました [ 2020年7月14日 追記 ]
19 May 2020
中村将大
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