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犬がいるところ

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犬がいる小説・エッセイ等を集めています。 犬は偉大だ。
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#短編小説

ロビンソンの飼い犬【前編】

 芽衣子が両手指にマニキュアを塗っているとき、ぼくは決まって彼女にくだらない話をする。 …

七屋 糸
2か月前
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【掌編】木の根もとを掘る犬

 緑の葉が密になって生い茂る一本の大きな木が、ゆるやかな風に揺られながら立っている。犬は…

酒井創
3か月前
3

掌編【彼方の紐切り】

住宅街ですれ違ったおじいさんの手首から伸びる紐には犬がつながれていた。犬は小さく、毛がま…

柚木有生
3か月前
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百年探しつづけた犬【SF短編小説】

「こんにちは」  僕はその声を聞いて、目を開けた。目線を下げて、足元を見下ろす。透明な壁…

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短編小説:いぬの本懐

田舎の古い家というのは冬の雪の湿気や重みで真夜中、ひとがみな寝静まって、目の前に犬の鼻が…

きなこ
9か月前
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【短編小説】勝手な上司

 月曜日。デスクについてノートパソコンを起動させるとGoogle Chatに着信通知がついていた。…

万野恭一
4か月前
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【短編小説】くちなしの死体は語る

 梅雨前線はしばらく関東に停滞するだろう、との予報をネットニュースで確認し、鍋島は顔をあげた。  白色の蛍光灯が照らす八畳間は珍しくすっきりと片付けられている。それはやはり珍しく事前に訪問の連絡を入れたおかげかと思われるが、つまり今現在奥で煙草をふかしながら机に向かっている男は来客があれば人並みに部屋を片付ける人間だという事実のあらわれでもある。正直なところ、整理整頓が苦手なタイプだとばかり認識していた。記憶にあるこの部屋は、汚くはないものの常時本が乱雑に積まれては雪崩を起こ

小説 宇宙犬

 うちで飼っている犬は自分のことを犬型宇宙人だと思っているので、散歩とかに行くときも、 …

後谷戸
2か月前
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短編小説:いぬのかぞく

「なあモリさん、俺にはな、娘がおるんや」 霧雨の降る日曜の午後、朝からずっと落ち着かない…

きなこ
3か月前
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