【短編小説】わたしたちのやりたかったこと②
イチハラさんには、やっぱり大学生くらいの彼氏がいるかもしれないという噂は瞬く間にクラス中に広まった。恋愛がらみの、特にこういうセンセーショナルな噂はただでさえ広まりやすいところに「絶対内緒」というラベル付けをしたのがてきめんだった。内緒扱いになるだけで、その噂の信ぴょう性は高まり価値も増す。私の経験上、内緒扱いの噂のほうが、そうじゃない噂よりかえって広がるのは早かった。
イチハラさんを攻撃していた連中は、その正当性が揺らいだことにより、自分たちはやりすぎたのではないかと今