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「高学歴親という病」の感想

3月も半ばに入りやっと時間ができたので(というかダラダラ)、久しぶりに話題作を何冊か読んでみた。最近話題の「高学歴親という病」を読んだのだが、米国で批判されているヘリコプターペアレンティングに類似する事例がいくつか紹介されていた。高学歴の親は、自己の成功体験や失敗体験に基づいて子供をコントロールしてしまう傾向にあるので子供の自主性を育みましょうというような内容であった。そして自主性を尊重した育児を実践した著者の娘は、国立医学部に合格したらしい。

過去にヒットした佐藤亮子(佐藤ママ)の「受験が母親が9割」とは一見真逆の子育てアドバイスに見受けられるが、共通している点としては子供が国立医学部へ進学しているということである。母親が全てをフォローすれば東大理IIIへ進学できるが、子供の自主性に任せても国立医学部への進学は可能ですよ、というような一般的な保護者にとっては全く参考にならない内容である。前提として、佐藤ママファミリー(パパ東大出身旧司法試験合格者、ママ津田塾出身元英語教員)成田ファミリー(夫婦共に国立医学部出身)という遺伝子に恵まれた子供たちのストリーである。我が家のように、血縁関係者に医学部や旧帝大出身者が1人もいないようなファミリーにとっては全く縁のない話である。

データに基づく内容というよりは、高学歴な保護者に追い詰められた子供達の心のケアをしてきた著者の実体験に基づく提言である。もちろん、高学歴な保護者の高い要求に押し潰されてしまった子供達も存在するのであろう。しかし、保護者の学歴は子供の学歴に良い影響を与える事が多い。
平成 30年度お茶の水女子大学によって発表された「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」によると保護者の学歴が高いほど 子供の学力が高い傾向が見られる。(参照サイト:文部科学省)https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/10/1406896_1.pdf

皮肉な言い方をすれば、高学歴な親を持つ地頭の良い子供であれば自主性を尊重しやる気を出すタイミングから勉強をスタートしても間に合う可能性が高い。平均的な学力を持つ子供の場合、基礎学力が定着するまである程度の時間を要する事が多く、やる気が出るタイミングまで待てない事が多い。つまり、本のタイトルにもあるように高学歴の保護者に対する「子供の自主性」に任せても大丈夫だという安定剤のような存在なのではないだろうか。



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