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お母ちゃんゼロからフランス語|B2宿題はフツーのフランス語に触れること|Netflixなどなど[4年〜]

B2の授業は、語彙やスピードが調整された教室フランス語から離れて、「フツーのフランス語を理解できるようになり、ある程度自分の考えを話せるようになること。」に向かって、ごくごく普通のフランス語圏に暮らす方々が観たり読んだりするものに触れて、慣れて、楽しめるようになっていこう、という感じでした。

巷にあふれるリアルなフランス語は、最初は理解できないことが多くても「興味をそそられる内容でうまく触れていけば、徐々にわかるようになる」というのが基本方針のようで、先生方は何よりも、教室で使うお題や教材に生徒が興味をもつか?面白いと感じるか?に注意を払って授業を進めていたのが印象的でした。

こういう軸を持った先生方なので、テレビでもYouTubeでもNetflixでも、「家でも面白そうな番組を見つけていろいろ観てみてね〜」と生徒たちに勧めます。わたくしも、フツーのフランス語となるとまだまだ「???」なことが多いので、B2の間は、できるだけフランス語を耳にするようにしていました。とはいっても、子供たちが寝静まった頃に、洗濯物を畳ながらNetflixを1エピソード観る、くらいなものですが。CEFR B2中に観てみたものを、ザッとご紹介します:

Des trains pas comme les autres

笑顔が素敵な番組ホストのPhilippe Gouglerさんが、世界中のいろんな国を電車で旅しながら、出会う人たちとの会話を楽しむ光景を眺めることができる番組です。どれも50分前後で、たっぷりと画面を通して電車の旅を楽しめます。YouTubeやフランスのテレビ局「France 5」のサイト等で見ることができます。とっても健全。日本編もありまーす。
お母ちゃんオススメ度:★★★★

NETFLIX:LUPIN

非英語圏のシリーズとしては珍しく大ヒットしたらしいLUPIN。舞台はパリ。セネガルからの移民である主人公が、汚職にまみれた大富豪相手に父親の敵を討つという話。ルーブルで巧みな盗みを企てたり、変装したりと面白い。随所に登場する主人公の息子が中学生くらいなので内容も安心。小学校高学年くらいから楽しめそうです。
お母ちゃんオススメ度:★★★★

NETFLIX:DIX POUR CENT

パリのタレント事務所で働く濃〜いキャラクターたちが繰り広げるドタバタ劇場。写真右から三番目のスーツにネクタイ姿のMathiasは常にvousを使って話すビジネス人間なので、vouvoyerのお手本となります(笑)。一方、トラブル連続の中「くっそ〜」「ちきしょ〜」などお下品な言葉を連発する写真中央スーツ姿のAndréaがいたり。Hervéもいい味出してました。ビジネスの場面が多いので、お母ちゃんとしては若者の会話などよりも聞き取れる部分が多かった。年齢制限:13歳以上。
お母ちゃんオススメ度:★★★

NETFLIX:Drôle

生まれも育ちもバラバラな若者が、パリでスタンダップコメディの道を追いかけていく話。Nazir役がよかった。フランスの階級社会やBanlieue(パリなど大都市郊外の移民が多く貧しい公営住宅地帯)についての偏見や問題も垣間見ることができた。スタンダップコメディの冗談は、やっぱりまだ理解できませーん。年齢制限:16歳以上。
お母ちゃんオススメ度:★★★

NETFLIX:MARSEILLE

美しいマルセイユが舞台の泥沼政治ドラマ。汚職・癒着、麻薬、マフィア、男女関係、とこれ以上ない泥沼さ(笑)。年齢制限が16歳になっていますが、結構すごいシーンが出てきますので、よい子のみんなと一緒に観ないようご注意を。音楽がよかった。
お母ちゃんオススメ度:★★

NETFLIX: INTO THE NIGHT

ベルギー発のシリーズ。ある日を境に、太陽の光に当たると地上の人間がバタバタと死んでいく。それを知ったひとつの飛行機の乗客たちが太陽を避けて飛び続けるサバイバルスリラー。最初の設定からして、ブリュッセル発のモスクワ行きのフライトでイタリアの軍人にハイジャックされるというものなので、フランス語にいろんな言語が混じります。フランス語をじっくりと聞けるわけではないけれど、ヨーロッパの多言語文化を感じ取れるのも面白い。
お母ちゃんオススメ度:★★★

NETFLIX:FAMILY BUSINESS

パリのお肉屋さんの一家がひょんなことからマリファナ栽培でビジネスを始めるお話。呆れるほどのおバカなハプニングの連続ですが、それぞれの役がいい味を出していて、何だかだんだん面白くなってきて、ついにシーズン2の最後まで見てしまいました。本当におバカなお話なのでご注意を。フランス語に関しては、罵り合ったり、捲し立てたり、マリファナ栽培だったりと、お母ちゃんにとっては最難関な部類。年齢制限:16歳。
お母ちゃんオススメ度:うーん、迷う。

宿題読書その1:「Patricia」

マリファナ栽培のNetflixから、語学学校のB2前半で真面目に使われた小説の話に戻します。ベルギー人作家のこちらの本は、同じストーリを、3人の登場人物がひとりずつ語っていく3章構成で、語り口調なので理解しやすく、計130ページとコンパクト。走り出しはわからない言葉が多くてモタモタしましたが、後半はわからない言葉を気にせずにリズム良く読書することを優先させ、楽しく読めちゃいました。教室では、物語についてオンラインワークをしたり、感想を述べたり、楽しい学習となりました。

宿題読書その2: La liste de mes envies

B2後半に宿題として毎週60ページほど読み進みながら、教室で「この人どう思う?」「この時はどうしてこうなったと思う?」と先生のリードで話し合うためにこの小説が使われました。この本の作者は、広告業界で活躍しながら小説を書いているGrégoire Delacourt氏で、フランスでヒット作となり、その後27ヶ国語に翻訳されたとのこと。文字も大きめで184ページとコンパクト。フランスの地方で地味に暮らす47歳の女性の話で、結婚して21年、子供2人の子育ても終わったこの女性が、ある日宝くじを当てて、自分が本当に欲しいものは何だろう?と考えます。

Netflixなどのシリーズとなると、時間を食うし、夜ふかしが増えてしまうので躊躇しちゃいますが、それでもまとまった時間フツーのフランス語に触れることができるので、罪悪感を捨てて観てみることにしました。

シリーズもののいいところは、映画に比べると断然長いので、最初の方はうまく聞き取れなくても、同じ設定でエピソードが進むにつれて、登場人物の話し方に徐々に慣れていくことです。単に同じ設定で触れている時間が長いだけで、洗濯物を畳みながらボーっと観ているだけですが、聞き取れる幅が少しずつ広がっていく気がします。まさに語学学校の先生がいつも言っている「興味を持てる内容でうまく触れていけば、徐々にわかるようになってくる。」ということのようです。

ここでもTESOLの20/80ルール

ちょっとまた話がずれますが、わたくし、「10才くらいからの日本の学校英語をもっとうまい具合にできないかなー」と考えることが多く、去年はTESOL(英語を母語としない学習者への英語教授法)の勉強をしてみました。

TESOLでは、理論20%実践80%のルールを提唱しています。これは英語であれフランス語であれ、言語を学ぶ時に心にとめておきたい大事な指標。学校英語で取り組む単語の暗記や文法学習、それは英語学習のごく一部分であって、英語を使えるようになるためには、使わなくては始まらない。単語暗記に10分使ったら、40分はそれを使って聞いたり話したり耳や口を動かさねばならない。お母ちゃんのフランス語も然りで、NetflixでもYouTubeでも歌でもなんでも、どんどん耳に入れていかねばです。


お母ちゃんのフランス語奮闘記を時系列で:

TESOL日記はこちら:



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