西村潔「死ぬにはまだ早い」

ラピュタ阿佐ヶ谷で、西村潔「死ぬにはまだ早い」

元カーレーサー（高橋幸治）とファッションモデル（緑魔子）が入ったドライブインに、恋人に浮気されて自暴自棄の凶悪犯（黒沢年男）が籠城。人質客たちの運命や如何に！密室サスペンス劇場は最後に2度もウルトラＣ難度の「まさか」でジエンド。映画の自由度を実感するサイコサスペンスプラスαの、αが大事な傑作。

この作品を観ずして死ぬにはまだ早かった(笑)でも一撃、いや、二撃必殺のオチなのでここでネタバレなんて当然できないし、初見が一番面白いって言うかwネタが割れてしまった以上もう2回目は観る気が全然しないのが不思議な感覚。これって傑作を観終わった時の感覚じゃないw

映画が82分のうち80分弱までの間、銃を手に人質をとってドライブインに籠城する黒沢年男に私自身も監禁されてる気になっちゃってスクリーンから異常な圧力！その分、解放された時のカタルシスがとてつもなく快感と思いきや、え？何なん？と思うような拍子抜けの脱力感がw

こういう人質とって籠城ものは劇場で観るに限る！家のテレビやPCの前で同じような緊張感が味わえるとは思えないんだもん(笑)客席に座ったが最後、心理的にリンチ受けてる感がして初めて、この作品を本当の意味で楽しめてると思うんだよ。終盤までずっと拷問の連続だけど(笑)

冒頭、元カーレーサーで今は実業家に転じた高橋幸治が恋人の緑魔子をエスコートしてドライブしてる。ここにサーキットで爆走するマシンの画像が何度も挿入されるアゲアゲの出だしに「おお！」と身を乗り出すも、まさかここから息が詰まるような密室劇が展開されるとは！

高橋＆魔子のカップルが颯爽と車を降りてドライブインに入って「お腹すいちゃったな」「ハンバーグ！」までどんな映画なのかさっぱり分からんかったのだけどｗいきなり黒沢年男が拳銃持って「動くな、動くと撃つぞ！」スゲエ勢いで飛び込んできて、ずっとハイテンションｗ

この作品が秀逸なのは、最初はドライブインの客が高橋＆魔子以外、良く分からなかったんだけど、徐々に他の客たちの素顔も見えてくる。例えば映画館ジャックに襲われたとして、普段は気にも留めていなかった周囲の観客がカップルだったり老人だったり、急にくっきりと見えてくる。

「終電が無くなっちゃったから送ってよ」とか客を誘っていた若いギャル（木之内ゆみ＆佐藤紀伊子）新婚旅行から帰って来たばかりの夫婦（江原達怡＆田村奈己）いかにも不遜な態度の医者（若宮大佑）なんだかお調子者の運転手（石田茂樹）そして店のマスター（小栗一也）

これで黒沢を含めて１０人・・・と思ったら、目立たぬように影のようにもう一人いたぞ！マッチでタワーを作っている寡黙な男、その名も草野大悟！彼、黒沢がドス聞かせてギャンギャン叫んでも一人だけビクともしないんです。訳ありげだが、時々存在してること自体を忘れるw

まず動いたのが運転手の石田「腹がイテエ！」もんどり打って転げまわるが黒沢は「仮病だろｗ」でも様子がおかしいので「おい医者、診ろ」ホントに病気だったｗｗｗで、高橋＆江原が代表して石田を店の外に運び出すが、人質を取られているので、全員逃げ出すことはできない。

黒沢は煮詰まって来てｗ「おい、音楽かけろ！」ジュークボックスから流れる軽快なポップス「おい、踊れ！」女の子たちを中心に踊り始めたｗそんな中、魔子と江原のこの状況を冷静に見つけてる醒め切った目が怖ええｗ一方、黒沢が目の敵にするのはエラソーにしてる医者ｗ

黒沢は新婚夫婦の妻奈巳を下着姿に剥くと、医者に「おい、お前ヤレ！」これまで不愛想だったくせに、こういう時だけ嬉々として正常位で乗っかろうとする医者のあさましさに（笑）黒沢の怒りは大爆発！更に緊張感が張り詰めるドライブインは一体どうなってしまうのか！

どうもこのドライブイン、凶悪犯人にジャックされたようだけど、黒沢は「女が浮気した、だから撃った」訳ワカメなこと叫んでて、警察が包囲網をあっさり敷いたのもなんかヘンなんだよねｗどん詰まりの状況を打破しようと新婚夫婦の夫、江原が動いた！黒沢に襲い掛かった！

黒沢と江原が揉み合いになった膠着状態に、物陰から拳銃がドン！奥にいた寡黙な草野は逃走中の凶悪犯だったｗ草野は逃走してしまい、警察は「何も事件はなかったですね」既に30分が経過している。おや、ドライブインの駐車場に誰かやってきたぞ、こいつは何者なんだ？

黒沢は浮気した恋人がドライブインで逢瀬の約束していると知り、相手の男も撃ち殺す計画だったが、志半ばで凶弾（←って言うの？これｗ）で倒れた。その彼女と約束の時間からちょっと遅れてしまったという男「なんだ、会えないのか、ついてない」いや、あんた、今日は凄くついてるｗ