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10年前の中古ミラーレスでドキュメンタリーを撮って、コンテストで入賞した話。

2024年は、私が今のところ所有している唯一のカメラ、GH4(生産完了)が発売されてからおよそ10年になります。
先に申し上げておくと、GH4は今でもミラーレス界の名機だと思います。現行のGH5、GH6のアーキテクチャを確立し、発売当時、4K/24fpsで撮影しても熱暴走しないカメラとして市場で注目されたカメラだと聞いております。
事実、その性能は10年経った今でも通常の用途(インタビュー・物撮り)においては、YouTube等の動画プラットフォームで求められる動画品質を、十二分に満たしていると思います。

話は唐突に変わりますが、私は高校生です。お金がありません。
通学している高校はバイト禁止(まあ実際はバイトしている生徒もいる)ですので、校則に従うことが生徒としての倫理かなと思い、バイトに手を染めておりません。(今のところ)

カメラなんてものは、そんな貧乏学生にとっては高望みもいいところです。
SONYやNikon製の新品で映画を撮ってみたい・自分の作品を世に出したいと思っても、予算的に無理・不可能。じゃあスマホがあるじゃないか、という話になりますが、正直レッドオーシャンです。
これだけスマホを持つ人が増えた昨今、スマホだけで全てを完結させようとするのは、並外れた行動力とアイデアが必要になります。頭をひねればそんなものも出てくるのかもしれませんが、時間の無駄です。

そういう思考回路を経て出てきた決断が、「中古ミラーレスを使う(それも10年選手を)」です。

正直に申し上げると、GH4は元々家にありました。
付属していたレンズ2本(LUMIX G VARIO 12-35mm, 同 35-100mm どちらもF2.8)と共に鎮座していたGH4を使えば、スマホとは差別化しつつ、ミラーレスの強みを安価に(この場合はたまたまゼロ)達成できると踏みました。
しかし、人間の思い込みというのは怖いもので、目の前にすでにカメラがあるという状況であってしても、「いや、やっぱり新品じゃないといいもの作れないんじゃない?」という考えが脳を巡るのです。

結論から申し上げると、そんなことはないと思います。

もちろん、より突き詰めていこうとすれば、当然機材による限界はあります。この私の結論も、依然として私だけのドグマなのかもしれませんし、万人が認めるような結論ではないことは承知しています。
しかし、スマホだけで撮影されたドキュメンタリー映画(参考: https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210908-midnight-traveller)が世界を席巻する現象がこれまでに多数発生していることを鑑みると、もはやスマホ以上の価格帯の映像機材の質は、最先端の100%でないにせよ、75%、いや80%のクオリティをすでに獲得していると思います。

「そのような状況で機材がどうこうと言う前に、自ら行動してみよう。
それが先だ。」

以上のようなマインドを携えて映像作品を一本仕上げ、せっかくなのでコンテストに応募したところ、ありがたいことに優秀賞をいただきました。

ポイントは、最先端のマネをしないことでした。
例えば、映画「TENNET」のような映像を撮ろうとしても、必要な機材が多すぎて実行不可能です。
しかし、三脚メインのインタビューや、手持ちでも上手く持てば支障にならない程度の歩き撮影ならば、ジンバルも要りません。
「限られた機材」「限られた時間」「限られた予算」を考慮した結果出来上がったのが、以下の作品です。事実、作品の6割以上をインタビューが占めています。
(正直、自慢できるほどのクオリティの作品ではない)(小声)

決して映像作品だけのコンテストではなかったのですが、一応学生ですので学生用のコンテストにしよう、と思い応募した次第です。
作品中には、今見ると顔を覆ってしまいたくなるような箇所も多々あるのですが、
それでも初監督作品を賞に選んでくださり、感謝しております。
(コンテストリンク: https://dagwu.com/bsc/1923-2/
↑のページの「優秀賞」作品を制作しました。

(なお、この作品も含めた活動で令和五年度の東京都の生徒表彰に選出いただきました。)

この記事には、目立ったノウハウはありません。ただただ「機材だけじゃないんじゃない?」という主張をしたいがための記事にも、書いている本人からですら、見えます。しかし私が申し上げたいのは、むしろ持っている機材を最大限有効活用していくことが、作品を創作していく原動力になっていくのではないか、ということです。ありがたいことにコンテストを受賞してから、自分にも根拠なき自信がつき、「カメラやってるんすよー」と恥ずかしげもなく周囲に言えるようになりました。その結果、「じゃあ写真を撮ってくれませんか」といった、お金をいただいた上でのご依頼が増え、未熟ながら最大限を尽くしているところです。




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