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【ゲームのアクセシビリティ】は誰のためのもの?

"アクセシビリティ"という言葉をご存じでしょうか。

"アクセシビリティ"とは、情報やサービスなどに対する"アクセスの容易さ"を差す言葉。

テレビゲームの分野においては、あらゆるプレイヤーが円滑に作品を楽しむことができるような"利用しやすさ"、"便利さ"、"近づきやすさ"を意味しています。

たとえば、視覚の不自由さをサポートする"色調補正"機能や、聴覚を支援する"字幕"のオン/オフなどがそれ。

ほかにも、ボタンの割り当てを変えられる機能や、音声読み上げ機能、カーソル速度の変更、コントローラーの振動の強さ調整など、"ゲームのアクセシビリティ(機能)"の種類は多岐に渡ります。

近年、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境、社会、ガバナンス)といった多様性が謳われるなか、時勢に合わせてさまざまなアクセシビリティ機能に対応した作品が増え、まさに最近のゲームにおける"設定"や"オプション"の項目の多彩さが、それを物語ってますよね。

『ホグワーツ・レガシー』の設定画面。
HOGWARTS LEGACY software © 2022 Warner Bros. Entertainment Inc. Developed by Avalanche Software. WIZARDING WORLD and HARRY POTTER Publishing Rights © J.K. Rowling. PORTKEY GAMES, HOGWARTS LEGACY, WIZARDING WORLD AND HARRY POTTER characters, names and related indicia © and ™ Warner Bros. Entertainment Inc.

なぜ、ここ数年でアクセシビリティの重要性がゲーム業界全体で広がっていったのか?

その理由のひとつに、2010年に施行された米国の法律、"CVAA法"が挙げられます。

"CVAA法"の正式名称は、"Twenty-First Century Communications and Video Accessibility Act of 2010"。

"21世紀の通信と映像のアクセシビリティ法"という意味で、コミュニケーション関連の機材およびソフトウェアはすべて障がい者でも使用できるように作る必要がある、という法律だ。

当初テレビゲームは"CVAA法"の対象外だったが、2019年1月1日以降にリリースされる作品も対象となり、その枠に含まれるようになったそうです。

つまり、(日本で開発された作品であっても)米国内でリリースするゲームにはアクセシビリティ機能の実装義務が発生する、ということだ。

最近の"洋ゲー(海外製ゲーム)"に、アクセシビリティ機能が充実した作品が多いのはそのような理由があります。

\"アクセシビリティ機能=障がい者向け"ではない!/

ちなみに、(ゲームを含む)アクセシビリティ機能は、いわゆる"障がい者向けた機能"と思いがちですけど、じつはそうではないんです。

お恥ずかしながら、筆者も勉強するまでは、"アクセシビリティ機能=障がい者・高齢者向けの機能"という認識だったのですが、そうではなく"誰にとっても使いやすい機能"というのがその本質。

ちなみに、世のなかには、視覚、聴覚、身体機能、認知など、さまざまな障がいがあるけれど、たとえば"視覚障がい"ひとつとっても、数多くのパターン(症状・見えかた)があり、それらがきっちりと0か1で区別されているのではなく、何千何万という細かな分類になっているそう。

つまり、健常者・障がい者・高齢者というような単純なくくりでは収まりきらないほど、さまざまな症状や特性の人がいて、そんな誰でもが「使いやすい機能を目指そうね」ということなんですね。

\"老眼"は、もはやアクセシビリティ対応の枠である/

なお、老眼ばりばりの筆者にとっては、"文字サイズの変更"は非常に助かる機能なんですが、もちろんこれもアクセシビリティ機能のひとつと言っても差し支えなく、また3D酔いしやすいので"モーションブラー"機能はオフにすることも多い。

"老眼"、"3D酔い"といった症状は、すでにアクセシビリティ対応の枠に入っていると感じてます。

さらには、ゲームの難易度を細かく設定できるゲームも増えてきており、そういう意味では、"ゲームの上手・下手"という部分も、もはやアクセシビリティ対応の枠に入ってきているのではないだろうか?

とくにここ最近のゲームは、"イージー、ノーマル、ハード"といった単純な難易度選択に留まらず、"敵の動き"をはじめ、"体力ゲージの減り具合"、"ボタンの簡略化"などを細かく設定・調整できる作品も増えてきています。

つまり、プレイヤーごとに"遊び方"をカスタマイズができるようになり、自分にぴったりと合ったセッティングでゲームを楽しむことができるようになったのは、良い進化だ。

とはいえ、ゲームメーカー(作り手)にとっては、アクセシビリティ機能を充実させるための、手間や予算がこれまで以上にかかり、さらにどこまでを(アクセシビリティ機能で)フォローすればいいのか、という問題も出てきがちに。

なかなか難しい課題ですけど、ただボクらユーザーからすれば、より便利に、より遊びやすくなるアクセシビリティ機能の強化は嬉しいかぎり。

さらに、アクセシビリティ機能の多様さによって生まれる、敷居の低さ&間口の広さは、ゲーム人口の拡大にも繋がるはずだ。

そんなことを考えている"ゲームおじさん"としては、"文字サイズの変更"だけは、すべてのゲームに標準機能として実装してほしいのです(できる限り大きくしたい!)。

ほんと最近のコンシューマーゲーム(とくに洋ゲー)は、PCゲーム(解像度の高いモニター)に合わせて開発しているせいなのか、"文字が小さく読みにくい"作品が多いなあ、と感じている。

"文字の小ささ問題"……世のなかの"ゲームおじさん(&お姉さま)"たちは、どうお考えでしょうか?

文字サイズの設定がある場合は、必ず「大」にします。
『FORSPOKEN』の設定画面。
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