【特異さの際立つ東京都写真美術館のネコ漫画】美術館広報誌というアイデンティティ
国立、都立、県立、市立、区立、などなど公立美術館には広報誌が存在することが多い。
企画展覧会のパンフレットとは別に。
執筆者は館長を筆頭に学芸員さんやゲスト批評家など、それぞれの館のアイデンティティを感じてつい手に取って読み耽り、持ち帰ってしまうので、自宅の紙類の保管が現在大変な事になっている。助けて。
例えば
東京国立近代美術館ならば
「現代の目」という広報誌が存在する。
内容は研究内容の報告や開催中、または開催後の展覧会評、新所蔵品の紹介などなど。
非常に読み応えがある。全部隅々までじっくり読むと1時間ぐらいかかる。本かな!?
ただ、紙として目立つ場所に置いておらず、現在はweb版の更新を公式SNSで発信するなど、記事ごとに読める様にしている。
姉妹館と呼ぶのか、京都国立近代美術館は「視る」というタイトルの広報誌がある。
「観る」でも「見る」でもない。
「視る」である。
内容も天下一品の様に濃い。京都だけに。
こちらはミュージアムショップの出口付近の紙媒体入れのようなところに、アーカイブも含めいっぱい置いてあった。つい2,3冊お土産気分で持ち帰ってしまった。
千葉市美は千葉市美術館ニュースとしてカラー版の新聞のサイズで情報を発信している。
作りかけラボの活動など、子供でも親しみやすい内容なせいか子供がもらってくる。そして帰りの電車の中で読み、自分に回ってくる。
この「◯◯美術館ニュース」とか「たより」などは、先述の近代美術館2館とはちょっと様相が違う。
先述の近代美術館2館の広報誌をガチ勢と言うなら、ライト勢とでも言おうか。裏側には地域企業の広告も入り、広告媒体としての役目もある。
ここで、ネット上で調べられる範囲、なるべく自分が訪問した範囲でガチ勢広報誌とライト勢広報誌を分けてみようと思う。
年報ではなく、少なくとも年に2回は発行されているものを広報誌とした。
pdfになっているものも多いので、読み物としても楽しめる。
ガチ勢(モノクロ印刷だったり、A4冊子形状、とにかく文字数多め、長文多め、ページ数もそれなりにある)
東京国立近代美術館「現代の目」
京都国立近代美術館「視る」
和歌山県立近代美術館(未訪問)「和歌山県立近代美術館ニュース」
国立国際美術館 「国立国際美術館ニュース」
https://www.nmao.go.jp/collection_research/publication/museumnews/
神奈川県立近代美術館葉山 「たいせつな風景」
ライト勢(新聞形式や美術館たよりやニュースなどカラーで賑やか、一記事が短め)
千葉市美術館 千葉市美術館ニュース
茨城県立近代美術館 美術館たより
群馬県立近代美術館 「群馬の森ニュース」
三重県立美術館 美術館ニュース「HILL WIND」
静岡県立美術館 美術館ニュース「Amaryllis」
二者択一という訳ではない
と、こんな感じで、どの美術館もコンテンツはしっかりあるし、読み応えがある。さて上記のガチ勢もライト勢にも当てはまらない広報誌をだしている館がある。
東京都写真美術館だ。
まず東京都写真美術館ニュース「eyes」(アイズ)という媒体がある。こちらは基本形広報誌。
そして実は別冊が存在している。
その名も
東京都写真美術館ニュース別冊「ニァイズ」。
2011年から発行開始。12年継続されている由緒ある別冊広報誌である。
しかも漫画形式。
これがめちゃくちゃ面白いのだ。
基本ブラックジョークなんですけどね…
先日お亡くなりなった4代目館長の福原さんもこのネコ漫画に描かれるとあっという間に親しみが…
https://topmuseum.jp/contents/extra/nya-eyes_pdf/2012_06.pdf
https://topmuseum.jp/contents/extra/nya-eyes_pdf/2011_04.pdf
プロの漫画家が描いているのだから勿論クオリティも高い。
内容は斜め上なのに、これを読むと写真美術館のことが好きになる。
ちょいとお堅いな、もう少し親しみやすく…と思っていた写真美術館に物凄く親近感が湧いた。
web上にはアーカイブがバッチリ残っているので、一気読みも良いし、通勤時間にチマチマ読むのもお勧めだ。
という訳で、意外とみんな手に取っているかもしれない美術館の広報誌。
それぞれの美術館のアイデンティティを垣間見るにも良い媒体かと思う。
見かけた際にはぜひ持ち帰って熟読してみて欲しい。
そして保管に困ってほしい。
余談:紙の保管
溢れかえる紙類をどう保管するか、は永遠の課題なのだが、自分の場合は無印良品のジャバラファイルケースに年代ごとに保存している。
昔は館ごとに分けていたが、頻繁に行く場所とそうでない場所で枚数に偏りが出るので、もうざっくり年代別になってしまった。
クリアファイルを使用していたこともあったが、取り出しにくく読み返しにくいので、ポケット式の仕切りフォルダを愛用している。
これは中高生の頃から愛用しているので、無印良品さんにはどうか終売にならない様お願いしたい所存である。
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