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【Yin&Yang】白井美穂 森の空き地 & 豊嶋康子×白井美穂アーティストトーク 府中市美術館
白井美穂氏の名前、作品はここ府中に来るまで存じ上げず、すべての作品が初対面となった。因みに、Mio Shirai と記述される通りに読むと「しらいみお」。みほさんではない。
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今回は展覧会とそれにまつわるアーティスト・トークに参加した話を書き残す。展覧会の会期は2024年2月25日までなので、お早めに。
【特に印象的だった作品】
展示室内撮影禁止のため画像は以下オフィシャルリンクより。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/Mio_shirai.images/004shirai.jpg
Waterfall(Why Are You Afraid of Black and White?)
カラーフィールド作家のバーネット・ニューマンへの白井さんなりの回答、だそうだ。
毛、でできている。
近づくと、ふわふわとなびいたり、あるいは静電気なのかポヤポヤと揺れている。
黒髪と白髪、と思うと老いと若さの対比のようにも思える。
遠目から見ると毛とは気が付かず、黒い画面に一筋の白のラインがぱっと目に入る。
暗闇に光が指すようにも見える。水墨画のようにも思える。
【一見では?な作品たち】
しかし、制作年や時代背景などを知ると、「あぁなるほど」と思える。
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/131533241/picture_pc_9db3b6e2e88695d45ec018f41d505ebb.png?width=800)
直感的ではないけれどジワジワと浸食してくるようなそんな作品群だと思う。
こちらのレポを読むとちょっと鑑賞の助けになるかもしれない。
私はネタバレ的なものを頑なに避けすぎる傾向があって、鑑賞後読むことになったが、今回は先に読んでおいてもよかったかな、と。
【アーティスト・トーク】
公式WEBサイトだけの情報を頼りにしていたので、しつこく読み込むうちに
「豊嶋康子×白井美穂アーティストトーク 」というお知らせを発見。
え!豊嶋康子さん来るの!?
豊嶋さんといえば、現在開催中(24年3月10日まで)東京都現代美術館での個展で大感銘、衝撃をうけて2回訪問している。
しかしなぜ白井美穂展でアーティストトーク ?よくわからないけれど、コレはなにか関わりがあるお二方に違いない。
というわけで、
・豊嶋さんから直接お話が聞きたい
・白井さんご本人の口から作品についてお話が聞けるなら嬉しい
という動機で聞きに行ってきた。
(白井さんの展覧会自体はアーティスト・トークの1週間前に鑑賞済だった)
【お二人の関わり、トークの経緯、トーク形式】
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お二人の関わり
・お二人は「東京藝術大学 榎倉康二研究室」出身。
白井さんが先輩で豊嶋さんが後輩。豊嶋さんが現役学生の頃、白井さんが助手を努めていたそうだ。
(この時点でおぉ〜という会場のざわめき。そりゃそうだ、榎倉康二氏といえば「もの派」の、あのじわ〜って染み込む作品の!今、近代にでてるよね?と脳内を作品が駆け巡る)
トークの経緯
・同時期に同じ研究室出身の二人が公立美術館で個展をしている。というわけで、展覧会&アーティストトークを企画。
トーク形式
・豊嶋さんから白井さんへ作品についての質問やら過去のことやらを聞いていく形式。企画を担当した府中市美の学芸員、カミヤマさんがファシリテーターとしてスライドの提示やちょっとした補足を入れてくださる。
【全体の雰囲気】
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・お二人の掛け合いが面白すぎて時に笑いに包まれる
・トークが進むにつれてお二人の性格が明らかになっていく。
【今回は質問を受ける側・白井美穂さん発言】
質問に対してサラッと飄々とあっけらかんと発言していく白井さん、しかし仰る内容がすごすぎて面白いのだけど「えぇ!」となる。
「ちょうど芸大在学中にヨーゼフ・ボイスの授業がありまして。ナムジュン・パイクとのやりとりもなんか面白くてですね〜」
「予備校の先生が川俣正さんで」
「榎倉康二さんに怒られて。その件は未だに何故だったのかかわからないんですけど」
「ニューヨークの頃に河原温さんとお会いしたり」
「マルティン・キッペン・ベルガーの影響も少なからずあって。以外とパンク」
「木で作品を作り始めた時、男性教員だったかしらに『木の扱いもしらないのか、女子だから』的なことを言われてムカッときてそれから全部自力で独学でやってやる!って作るようになりました〜」(笑顔)
↑上記発言に対して
豊嶋さん「よくツナギ着て学内を歩いてましたよね。公衆電話から素材注文をしてる姿をよく見かけましたがジェスチャーしながら電話してて、伝わってるのかな?と思ってました」(冷静)
【今回は質問を投げる側・豊嶋康子さん発言】
豊嶋さんの質問はシャープでちょっとダーク。だけど正直。これがまたストレートに投げられるからおかしみを生む。
豊嶋さん「批評されてムカついたことないですか?」(会場ザワッとする)
白井さん「ありましたね〜でも偶然書いた超本人に遭遇する機会があってその時食って掛かっちゃいました。若気の至りですネ」
カミヤマさん「豊嶋さんは…あるのですか?(おそるおそる)」
豊嶋さん「たくさんあります!」
豊嶋さん「自身の映像作品に白井さんご自分で出演までされてますけど、あれは笑ったほうがよいのですか?それともドン引きしたほうがよいのですか?」
白井さん「異邦人感を出したかったので 笑」
豊嶋さん「私達世代には白井さんという女性像があったのですけど白井さんの上世代の女性像ってどなたです?」
白井「うーーーん、誰かなぁ、いない?」(具体的な名前は出ず)
豊嶋さん「美術手帖の『超少女』特集見て、違うんだけどなって思ってて」
とまぁ、こんな感じであっという間にトークが進む。
面白くて仕方ない。
後日、限定的に配信もされるそうなのでどこをcheckしていたらよいかわからないけれど、府中市美公式WEBサイト・YouTubeチャンネルを見守ろうと思う。
【来場者質問コーナーに震える】
そして最後に来場者からの質問タイムがあった。
学芸員カミヤマさんが「どなたかご質問のある方は〜」
会場が一瞬シーーーンとなる。
(ウワァァァアアアア質問したい!でも何聞く?いや、聞きたいことはあるのだけど質問がまとまらない、ええい、ままよ!)きっとこの間3秒。
「ハイっ!!!」
小学生並みに元気に挙手してトップバッターを獲得。
まとまらないうちに話し始めてしまい、最初は「ん?」という表情を誘ってしまったのですが、ちょっと落ち着いて言い換えたら聞きたかったことを伝えられた。
質問内容:「お二人でお互いにシンパシーを感じる部分はありますか?」
豊嶋さん「白井さんはいつもわからないことをしていて、そのわからなさに、です」
白井さん「うーん、私はね閉所恐怖症なの。豊嶋さんは広域恐怖症よね。箱の中をゴリゴリ削ってっているような。ね。そこかな」(つまりいずれにせよ「恐怖症」という部分にシンパシーを感じるのか、と私は解釈した)
なるほど。トークを聞けば聞くほど間逆なお二人、と思ったけれど、頂いた回答もなんか納得で。
お二人とも、こちらを向いて丁寧に回答してくださってとっても嬉しかった。胸が一杯になった。
質問しやすい空気に貢献できただろうか、このあと2名の方から質問がでて、それにお答えしてもらってトークは終了。
楽しかった。すごく楽しかった。
感激で胸が一杯でやっとこ座席から立ち上がったら、お隣の席に座っていらしたマダムが声をかけて出さった。
「とっても良い質問してくださって!私も知りたかった。ありがとう」
えー!そんな!あんな支離滅裂な質問で恐縮…
と思ったけれどマダムが声をかけて下さったおかげで気恥ずかしい気持ちも少し和らいで(うん、勇気を出して聞いてよかった)と思えた。
マダムにも心からお礼を申し上げて府中市美術館を後にした。
帰り道、府中の森公園には梅の花が満開でずーっとニヤニヤを止められず帰ってきた。
多分、私はもう一度、豊嶋康子展に行くと思う。
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会期は短い。早く行かねば。
1回目訪問時レポ
2回目は子どもと。
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