見出し画像

練習量を増やせば上手くなるわけではありません

「上手くなるにはどうしたらいいでしょう?」

身体や身体の使い方の状態を改善するお手伝いをする仕事をしていると、よく聞かれる質問です。

何かを上達したいなぁ、と思う時、手っ取り早く選択することの1つが、

練習量を増やす

ということ。これ、大人でもやりがちですが、大人になればなるほど上達する前に身体を壊すことが多いので要注意です。

練習量や時間を増やすことで上達することもあります。疲れてくると変な力が否応なく抜け、そこで何か発見する時がある。

けどそれは、かなり若い時にしか使えません。そして運のようなものでもあるので、若くてもそうなるとは限りません。

考えてみれば当たり前なんだけれど、「上達したい」と思った時に、つい実技的な練習時間を増やしてしまいやすいんですよね。

じゃぁ、どうするんだと言うことで、わたしがよくお伝えするポイントを3つ紹介します。

1.まずは力を抜けるようにする

調子が悪い時、進歩が止まってしまった時、上手くいかない時、力が入っていることがよくあります。力が入りすぎてて(=身体のどこかに緊張がある状態)上手くいってないのに、練習して練習して、頑張って頑張って、そこを乗り越えようとしてしまうので、余計力が入ってしまう。

なので、まずは、「抜こう!」と思った時に抜ける身体なのかどうかの確認が大切です。人は四六時中緊張してるわけではありません(もちろんそういうケースもありますが)。お風呂に入った時、トイレに入った時、ちょっとソファに腰かけた時。ふと力が抜ける時はあったりするものです。ですが、“自分の意思で力を抜けるようになる”ということが鍵です。

無駄な動き=上達を邪魔する動きには、かならず余分な力みがあります。なので、力が入ってるな、と気付き、そこで抜く選択肢をとれるようになることは、上達へのかなりの近道です。

時に、自力では「抜く」「抜ける」感覚がわからない時もあります。私がそうでした。日々力が入っているのがデフォルトだと、力が入ってるのにも気付かないし、それゆえ抜くこともできない。

わたしは、大学のダンスの授業で気功や合気道のエクササイズをする中で少しずつ力が抜けるようになり、完全にその感覚がわかるようになるのはロルフィング®︎の施術を受けてからでした。

ロルフィングは比較的、誰に受けてもこの感覚を得て自分のものにしやすいとは思いますが、動きの指導をする人でこの感覚を引き出せる人はその人のスキルによるので、自分に合う良い指導者との出会いを願うばかり。そういう意味では、1人の先生につくよりも、いろんな先生から学び、この人だ!という人を探すのもおすすめです。

そして、練習しっぱなしではなく、休息を取る、ということも、この力を抜くためには必要不可欠です。

2.自分の身体の感覚を高める

自主練も、やりようによってはかなり上達のスピードアップにつながります。それは、自分の身体の感覚を認識しながら自主練をするということ。

技術的、物理的に足がどうなる、などのことではなく、その動きをする時に全身に意識が向けられるのかどうか。足を動かしている時でも、ひょっとしたら上半身がおかしなことをしていて、それで出来ないことがあったりするかもしれません。

いま、自分の足はどこにあって、骨盤はどこにあって、肋骨はどこにあって、腕はどこにあって、頭はどこにあるのか。

苦手なことをする時に、手の指を緊張させ過ぎていたりしないかな、とか、呼吸が止まってないかな、とか、背後の空間は感じられているかな、とか、そういった“感覚”を伴う自主練は、ただただ練習時間を費やす自主練よりもプラスに働きます

1であげた、力を抜くことができるようになると、ここもやりやすくなりますが、逆にこの自分の身体感覚に意識を向けることで力が入っていることに気付ける人もいると思います。

3.楽しむ気持ち

欠かせないのだけれど、つい欠けてしまいがちなのが、楽しむ気持ち。ある程度のレベルまでやってくると上達するのは簡単ではありません。その時に「上達したい」というエゴが押し勝ち、ただただ「上達する」ために練習をする時、そこには感覚が伴っていなかったりします。こうしたらうまくいくだろうか、と思考が優ってしまう。そうすると、なかなか力も抜けないし、それゆえ上達も遠のいてしまいがちです。

なので、上達したい=何かがうまく出来るようになりたい時、それができたらどんな気持ちになるのかな、と、何を感じたくて上へ向かおうとしてるのかを認識している必要があります。

練習自体がきついことは勿論あります。ですが、その根底に、例えばわたしのようにダンスしたりする場合であれば、「あの動きのここがもっと滑らかに動いたら身体がきっと気持ちいい!」そんな感覚や、そう踊ってる時の自分の軽やかなイメージなどがあった上で、そこに必要なきつい(かもしれない)練習をする、という感じです。

わたしは一度、練習してもしても上手くいかず、このままではダンスを嫌いになってしまいそうだ、と1年ほど距離を置いたことがありました。嫌いになるくらいなら上達しなくていいや、と。距離を置いた結果、いかにわたしのいた場所がダンスを好きなわたしにとって素晴らしい環境だったのか、恵まれた環境だったのか、上手くなろうとなれまいと、あの環境を楽しむつくすべきなのではないかと感じるようになりました。

距離を置くのはタイミングもあるし、時に難しい時もありますが、楽しめない時には距離を置くのは一つの手段としてありなのではないかと思います。

こんな感じで、今日は3つご紹介。この3つは全て繋がっています。

力が抜けると、身体の感覚は感じやすくなる。
身体の感覚を感じると力は抜けやすくなる。
楽しい気持ちは、無駄な力を抜かせてくれる。
楽しい気持ちは、身体を思考からではなく感覚から動かさせてくれる。

上達したい、と思う時、ただ練習量を増やすのではなく、この3つにフォーカスすることで、セルフケア、セルフメンテナンスから身体を構築していくことを、たくさんある方法の中の1つとして知っていてもらえたらな、と思います。

人見知りで、一人でも平気な顔はしていますが、応援してもらうことで力を得て、サポートされることはとても心の支えになります。サポートしていただけたら、すごく嬉しいです!