ツルゲーネフ『散文詩』の朗読動画@YouTube
大学書林の語学文庫は素晴らしいロシア語の中上級者向け読本という記事を書きました。大学書林の語学文庫が1950年代から2021年の今日でもずっと売られ続けていること、今までは欠点であった朗読音源がなかった点を、ロシアの電子書籍・オーディオブックのサービス、LitResが補ってくれる、という内容です。
ですが、LitResも中・長編作品は問題なくても、ツルゲーネフの『散文詩』や、トルストイの『子供の知恵』のような小品集となると、若干使い勝手が悪くなってしまいます。
しかしYouTubeを使って検索すると、この短さがロシアの学校の7年生(日本では中学1年生でしょうか)の文学の授業の教材になっているようで、授業で暗唱している動画などがたくさん見つかります。
ちゃんとBGMがついていたり、該当する場所に行ってそこで詩の朗読をしているケースもあって、なかなか気合が入った動画も多数あります。
そういうわけで、大学書林のロシア語の語学文庫の『ツルゲーネフ 散文詩』に収録されている14作品について、その動画のリストをまとめてみました。
最初は「Тургенев Стихотворения в прозе」だけで検索して見つかったリンクだけをコピペしていましたが、それで見つからない作品名を入れて検索すると、いくつもリストが上がってくるので、面白くなってリンク先を収集しています。
リンクが一つしかないものも、同様に作品名を入れて検索すれば、他の動画も多数見つかることでしょう。
大学書林の語学文庫『ツルゲーネフ散文詩』
上の記事でも書きましたが、大学書林の語学文庫はアクセント記号(ウダレーニエ)付、語句の解説付きでとても良い本です。
本の奥付を見ますと、なんと昭和41年7月15日に第1版を発行。平成24年11月20日に第5版を発行となっています。今後も販売し続けてほしい本です。
以下、『ツルゲーネフ散文詩』の掲載順にリンクを並べます。
I. Разговор(会話)
II. Старуха(老婆)
これは学校の授業の暗唱を録画したもののようです。
こちらは朗読ですが、学校の図書室での録画のようにみえます。
III. Собака(犬)
挿絵をバックにしたような動画も多数あります。
IV. Нищий(乞食)
タイトルのわりに動画が多かった作品の一つ。
V. Дурак(愚物)
こちらの動画は、Дурак(愚物)の他に、Два четверостишия(二つの四行詩)、Фраза(文言)も続いて録音されています。
VI. Воробей(雀)
この作品も人気があるようで、プロの朗読や学校での朗読などが見つかります。
VII. Чернорабочий и белоручка(労働者と白い手の男)
VIII. Роза(バラ)
こちらの動画は撮影も工夫されています。
こちらも朗読者が若いので、学校の課題での朗読のようでもありますが、雰囲気や色調も凝った作品に仕上がっていますね。
IX. Порог(閾)
X. Щи(キャベツ汁)
「キャベツ汁」は別な動画もあるのですが、図書館のような背景が気に入ったのでこちらをリンクしました。
XI. Два богача(二人の富豪)
XII. «Как хороши, как свежи были розы...»(美しい、いきいきとした、バラの花...)
この作品も動画がいくつも見つかります。
こちらの動画にいたっては、BGMや舞台演出までされている凝った作品となっています。詩の朗読としては時間が長くかかっていますが、一見の価値はあります。
XIII. Стой!(とどまれ!)
こちらも学校の課題の録画でしょうか。
XIV. Русский язык(ロシア語)
そして最後はロシア語。こちらの動画も最初にМолитва(祈り)が録音されており、続いてРусский язык(ロシア語)が収録されています。
ツルゲーネフの散文詩 ロシア語オリジナル
ツルゲーネフは19世紀に活躍した作家ですので、著作権も切れており、こちらで83篇のすべて読めます。
上記のタイトルから、作品ごとにも飛べます。
Noteの仕様なのか、相変わらずロシア語は文字化けしていますが、リンク先は問題なく閲覧できます。
ロシアの学校教育における文学
ツルゲーネフの『散文詩』のたった14の作品を調べただけで、学校での暗唱動画、朗読がいくつも見つかります。
『ユリア・ヴレフスカヤの記憶』と『ユリア・ヴレフスカヤ』
「語学文庫」には収録されていませんが、同じくツルゲーネフ『散文詩』の作品の一つである、「ユリア・ペトローヴナ・ヴレフスカヤの記憶(追憶)」では、ユリア・ヴレフスカヤの銅像前で撮影した暗唱動画もありました。
動画内で表示されるクレジットを見ると、7年生だそうですから、これも学校の課題としての暗唱なのかなと思います。これがまた、手間のかけ方が半端ないです。
せっかくなので原文と対比されたい方はこちらをどうぞ。
さて。ここで、2022年2月2日という2がずらりと並ぶ日に、不思議なことを発見しました。
なんと映画『戦争と平和』でヒロイン・ナターシャを演じたリュドミラ・サベーリエワが、『ユリア・ヴレフスカヤ』という映画で主人公『ユリア・ヴレフスカヤ』を演じていたのです。
少しばかり驚いたので、こちらに記事としてまとめてみました。
話を戻しますが、学校教育では本当にロシア語の詩の暗唱を徹底して実施している様子がうかがえます。
改めて、大学書林の語学文庫の学習にLitResだけでなく、こうした動画が多数あることはとてもありがたいことだと思います。
私を含めて、ロシア語学習の参考になれば幸いです。
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