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ホログラム理論1

人類は古くから、「空間とは何か」「時間とは何か」と問いかけてきました。私は、空間や時間の存在を、当たり前のものとしてふだんの生活をしてきました。

しかし、それが何かをあらためて考えてみたり空をじっと見たりしていると、それが深遠な問題だと気付きます。

私たちは縦・横・高さのある三次元の空間に住み、過去から未来に一様に流れる時間に沿って生きていると感じていますが、空間と時間についての考え方は、科学の発展とともに大きく変わったのです。

 深遠な問題の一つが、空間や時間が、その中にある物質は独立に存在するのかどうかという問題です。

哲学者アリストテレスは、物質で満たされていない純粋な空間はありえないと考え、「自然は真空を嫌悪する」と主張しました。

空間も、そして時間も、物質やその運動に付随して定義されるものであり、それらと独立に存在してはいないというのです。

 アリストテレスのこの時空概念は、その後、ヨーロッパで2000年もの長い間、信じられてきました。

そして、17世紀運動方程式や微積の創始者、アイザック・ニュートンが出現したのです。

ニュートンは力学の理論を完成するために、物質から独立した「絶対空間」と「絶対時間」の概念を導入します。空間とは、その中で起きる自然現象の入れ物であって、その中で何が起きているのかに関係なく存在し、時間は、宇宙のどこでも一様に刻まれていくものであるとしたのです。

これらは、空間や時間については私の感覚に近いものです。ニュートンの力学は現代社会のあり方を変えた画期的なものでした。

 しかし、20世紀になると、時空概念に第二の変化が提案されてきました。天才物理学者アルベルト・アインシュタインが、空間と時間は絶対不変というニュートンの考え方を否定したからです。

 アインシュタインは1905年、観測者の速度によって空間や時間は伸び縮みするという特殊相対性理論を発表します。

さらに1916年には、物質の間に働く重力が空間や時間の伸び縮みによって伝わることを示す一般相対性理論を発表しました。空間や時間は、物理現象の単なる入れ物ではなく、その中で働く重力と深く関わっていて、伸びたり縮んだりするというのです。

 時間や空間が伸び縮みするというのは、理解し難い理論です。しかしアインシュタインの理論は、私たちの日常生活でも次のような枝術に応用され使われています。

GPS(全地球測位システム)は、位置を正確に決めるために特殊相対性理論や一般相対性理論による時間の伸び縮みを加味し計算されています。ですからスマホやカーナビの位置情報は正確で私たちは、知らずにいてもその恩恵を受けているのです。

 今、時空概念に第3の変化が起こっています。それは、空間とは私たちの「幻想」にすぎないという、にわかに信じられないとんでもない話です。

重力の働きによって空間や時間が伸び縮みすると主張したアインシュタインは、自然現象の枠組みとしての空間や時間の存在そのものは疑いませんでした。

しかし、その後の物理学の発展により、その考え方に変更が迫られることになったのです。
 アインシュタインが重力の理論(一般相対性理論)を発表してから約10年後に、ミクロな世界の法則である量子力学が確立されます。すると、重力の理論と量子力学の間には深刻な矛盾があることがわかりました。

それを克服して、両者を統合する理論(統一理論)を打ち立てることが、現代物理学の大きな課題となりました。

今話題の超弦理論は、この課題を解決する理論として提案されたものです。この理論では、物質をつくっているのは粒子ではなく、なにか「ひも」のように拡がったものであると考えます。

まだ実験によって検証されたわけではありませんが、物質についてこのような考え方をする超弦理論が、重力の理論と量子力学を矛盾なく統合できる唯一の理論として、また、素粒子について記述する究極の統一理論の最有力候補として、期待されているのです。

物質についての理論である超弦理論は、それとともに空間や時間についての理論でもあるようです。

コズミック フロントなどWeb上の幾つのネット記事を参照

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