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小説と現実世界の違いは、どれくらい合わせないで放っておくのか!?

 女性ジョッキーを主人公にした小説を書いていて、ありがたいことにたくさんのアクセスをいただいている。

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(小説家になろう)


(カクヨム)
 
 
 小説は、3月に中山競馬場で行われる皐月賞トライアルの『弥生賞』から始まる。
 そして皐月賞、ダービーと進んで、夏のローカル開催を経て、現在は菊花賞の場面に入っている。
 
 ところで今年はコロナ渦の影響で、中央競馬は2月29日から無観客で開催している。弥生賞は毎年3月の上旬に行われるので(今年は3月8日)、小説で書かれているレースの場面は、すべて今年は無観客となっている。でも小説では、観客のあるカタチで書いていっている。
 
 元々連載しだしたときはコロナの「コ」の字もないときだったので、途中から無観客にするのもヘンだ。それにやはり競馬にとっては、スタンドの大観衆というのは大レースのひとつの『華』といえる。それを削ってしまうと、盛り上がりを薄れさせてしまう。そんな理由から、現実世界では無観客であるのに、小説内では客の入った状態で書き進めている。
 
 現実世界での競馬は、だから、かわいそうに感じることがある。本来なら、ファンたちから目に見える喝采を浴びて称賛を受けるジョッキーなど関係者が、受けられないのだ。せっかくの努力が結果に結びついた栄光の瞬間だというのに。
 
 またこういう年に、間が悪くというか、春のクラシックで牡馬牝馬両方とも2冠馬が出ている。それも、たまたま獲れたという馬でなく(そういう馬も時折いる)、競馬史に残るような強い馬だ。どちらも無敗で2冠馬となっている。
 
 皐月賞とダービーを制したコントレイルは、2歳時2戦目のGⅢ戦をレコードタイムで、2着馬を5馬身ぶっちぎっている。しかも2着馬から3着馬まで4馬身だ。その次走で2歳GⅠを勝っていて、皐月賞がぶっつけだったのでGⅠ3連勝でのダービー制覇となっている。今年でなかったら、もっと話題になっていた馬だろう。
 
 こんな戦績を持つ実力馬でダービージョッキーとなった福永祐一はツイていないと思う。大観衆の中で、2着を3馬身ちぎるレースを味わってもらいたかった。
 1点救われるのは、福永祐一が初のダービー制覇ではないということだ。すでに2年前、ワグネリアンで大観衆のなか東京2400メートルをゴールしている。コントレイルの調教師矢作芳人氏も8年前にディープブリランテで勝っている。ついでに書くと、馬主の前田晋二氏も7年前のキズナですでにダービーオーナーだ。すでにあのダービーの持つ独特の厳かな雰囲気の中で喝采を浴びている経験を持っていることは、なんとなくホッとさせる。

 牝馬も2冠馬が生まれたが、手綱を取った松山弘平はすでにクラシックを勝った経験がある。3年前の皐月賞アルアイン。もっとも、もし勝っていなかったとしても、若い有望ジョッキーなので、今回無観客でもその後に大観衆の前で喝采を浴びる機会は訪れそうだ。
 
 今回桜花賞、オークスを勝ったデアリングタクトも無敗での制覇。2戦目で2着を4馬身ちぎっている。牝馬は1冠目と2冠目の距離の差が800メートル(牡馬は400メートル)と長いが、デビューから初めて1番人気になって、しっかり勝っている。
 
 秋は京都競馬場で、コントレイルもデアリングタクトも無敗の3冠を目指す。3冠を制したときに、関係者やテレビクルーだけの喝采ではないことをファンとしては願っているが、状況からなかなか難しそうだ。
 
 小説の方は3冠目のレースの最中で、これから最後の直線で大歓声に包まれるところになる。現況をあえて無視した場面設定で、2冠馬関係者にちょっと申し訳ない気持ちを抱えていながら書いている。

 


 
 

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