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休校中チャレンジ~長唄三味線~13日目&「子育てwith長唄」回顧録

初の主催演奏会

2017年、私が名取になり25周年の年です。それを記念して、初めての演奏会師籍25周年記念「禄宣会」を文楽劇場小ホールで開催しました。父で師匠の勝禄師・双子の叔父の東成師、お二人に花を添えて頂き、弟をはじめたくさんの方に出演頂きました。

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もちろん子供達も出演しました。娘はゆかた会には出ましたが、大きな舞台は初めてと言う事で、今回初舞台として出演しました。
子供達の演目は「紙人形」。息子が初舞台で唄った曲を今度は、息子が三味線、娘が唄での合奏です。自分の記念の会で、娘が初舞台を踏めると言うのはとても嬉しく幸せな事です。

下合わせ当日、思わぬハプニングが

いよいよやってきた下合わせ(リハーサル)当日。朝、いつものように幼稚園へ行く前にお稽古をして終わったら、なんだか娘の様子がおかしい。なんと発熱!この写真がそのお稽古の時です。この時は普通に唄ってたのですが、この後に…。

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妻も下合わせに来て、色々と裏方をサポートしてくれる予定でしたが、娘を病院に連れて行き看病のため来れず。現場はお弟子さんがサポートしてくれたので、何とか大丈夫でしたが…。

この日のために振袖を作り、正式な初舞台となるので記念の手ぬぐいも用意したのにそれが無になる…という失望が横切りましたが、体調不良による挫折は息子の博多座で経験済みです。ですが、もうあんな悲しい想いはしたくない。病院で事情を話し、点滴を打ってもらい1日安静に。

この時6歳の息子はまだ身体が小さいので大人の三味線は重く、長時間のお稽古は出来ません。小学校から帰って来てからと、就寝前の1日2回のお稽古で、自分の子となるとどうしても厳しくなってしまい、何度も泣かせてしまいました。それでも舞台という目標に向かって鍛錬する日々の大切さを、子供ながらに感じてくれると信じてました。

なんとか迎えた本番当日

本番当日、娘は昨日は何だったの?というほど元気に回復!無事に舞台に上がってくれました。本当に良かった。博多座の悪夢は免れました。

会が始まると、私は舞台にほとんど出演してて楽屋に戻ってこれないません。そこで、息子の着付けにお爺ちゃん登場。

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着付けてもらった後は、両師匠と記念写真です。

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いよいよ、子供たちの出番です。出番前は大変です。おじいちゃんも孫のために来てくれます。

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幕が開きもう少しで終わりというところで息子が三味線を支えきれずに、三味線を落としそうになりました。後ろで後見をしている私が手を伸ばし三味線を支えて戻すという、まさかのお父さん登場。会場はお客さまの暖かい笑いに包まれました。

記事の最後に、おまけとして紙人形の映像を上げておきます。娘の初舞台の様子や、三味線が落ちても最後までやり切った息子の様子ご覧ください。あと、お父さんが登場するところも(笑)

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息子は動揺することなく体勢を整え、娘も何事もなかった様に一瞬の中断の後、高らかに唄い始めました。あとでお客さま達に、ハプニングに遭ってもよく続けられたとお褒めに預かりました。

演奏会で得れるもの

子ども達に度胸があると言うより、無心の境地だったと思います。
不足の事態が起きても、何度も繰り返したお稽古通りに進めた、と言った感じでした。あれこれ難しい事を考えず、無心の気落ちで練習をして来た通りにすると言うのは、大人にもそれが必要な時があるのではないでしょうか。

まだ子どもだからこそそれが出来たのもありますし、まだ子どもなのにその境地を知ったのかとも思います。完璧に演奏する事が全てではない、舞台という真剣勝負の世界は、完璧である事の有り様が一つではない事を知りました。

最後に舞台で皆さんにご挨拶をさせて頂き、師匠である父からも言葉を頂きました。しかも何故か子供達も舞台上へ。

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色んな方の支えのおかげで、今の自分があると心から思えることが出来ました。ありがとうございました。

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手ぬぐいコラム

娘の初舞台記念の手ぬぐいと、やはり息子にもと作った手ぬぐいです。
絵本が好きな娘と、その当時ポップコーンが好きだった息子のために妻がパソコンで一からデザイン。受け取った人が自分の干支を探す事で、親近感を持ってもらえるかなと考えました。

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そして、私も記念の会と言う事で手ぬぐいを作りました。どれだけ手ぬぐいが好きなんでしょう(笑)前回同様、今回も洒落のきいた粋なものが良いと考えました。そこでお弟子さんの知り合いの方にお願いして、「禄宣」の紋を考え作ってもらう事にしました。それがこれです。

禄宣紋

これは「宣」と言う漢字が4つと、真ん中にある2つの点が「ドアノブ」を表しているらしく、「宣」が4つと、「ノブ」が2つ、合計6つの「のぶ」で「ろくのぶ」!(笑)完全なダジャレですが、結構古典で多いんですよ。私はこういうのをお願いしていたので大満足。

この紋をあしらった手ぬぐいを、いつもお世話になってる呉服屋さんにお願いしてデザインしてもらいました。それに加えて、今回は楽屋のれんも作ってもらいました。ふつうは御贔屓さんから送られるんですけど、自分で作ってしまいました(笑)

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今回のすべての手ぬぐいと暖簾は、自分たちでパソコンなどで希望の色を付けてデザインするのではなく、すでにある呉服屋さんで出して頂いた色を選びました。

手ぬぐいの染織は、望みの色を出すのは非常に難しいらしく、実際にあるものから色を選ぶのが確実だそうです。染織のレシピが既に確実であるものから、自分のイメージに合う色を選ぶ。オリジナル手ぬぐい制作の豆知識です。

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次世代への継承という意味だけでなく、お稽古を通しての子育て、父と子の時間。私の想いなどをお伝えし、感じて頂ければ幸いです。またアナログな長唄の世界、ネット配信など新たな試みに挑戦し、長唄の魅力を広めていきたいと考えています。宜しくお願い致します。