第84話 母:コックリさん
コックリさん。
名前だけなら皆さん一度は聞いたことがあるのではないだろうか?
ある日、夕飯を食べ終え、母と兄とボクの3人で寝そべってテレビを見ていた。
そのときに見ていたバラエティ番組で話題が切り替わり、コックリさんの話になった。
そして実際にやってみようという流れに。
その瞬間に母の表情が一転した。
「なんでこんなことテレビで…」
眉間に皺を寄せて、指を小刻みに動かしてカーペットを叩いていた。
明らかに動揺していた。
「あんたら絶対にこんなこと学校でやるんじゃないよ!!」
そう言うと、どこかへ行ってしまった。
その時の母の目はものすごく真剣だった。
ボクも兄も呆気に取られて何も言えなかった。
母がいなくなってから、
「おかあ、何かあったんかなぁ?」
と兄が不思議そうに聞いていた。
「あったんだろうねぇ」
とボクは返事した。
母に問いただして見たかったんだけど、あまりに慌てふためく様子が強烈に印象に残っていて、ボクは聞けなかった。
しかし、ボクには兄がいた。
兄弟、バンザイ!!
兄が後日、しつこく聞いてみたそうだ。
そしたら観念して少しだけ話してくれたらしい。
やはり母は昔、面白半分でコックリさんをやっていたのだ。
でも詳細は話してくれなかった。
とりあえず母は無事だったが、一緒にやった友達の子がおかしくなってしまったそうだ。
そのときのことが恐ろしくて、母にとって強烈なトラウマで、話すことも嫌なんだそうだ。
だから兄が
「コックリさん、コックリさん」
と身振りすると、母はめっちゃくちゃ怒ったそうだ。
ボクはまだ小学3年生くらいだったので、その話を聞いて怖くなってしまい、
「コックリさん…絶対にやらないでおこう」
と心に誓った。
あれからだいぶ月日が経過したが、未だに詳細を母に聞けていない。
兄に頼んで、なんとかして聞いてみたい。
ちなみにボクは怖い系がダメなので、心霊スポット等は一切行かない。
それと霊感がゼロであることに本当に感謝しています。
死ぬまで霊的現象は結構でございます。
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