第56話 鶏が先か、卵が先か 名ゼリフが先か、名シーンが先か
「鶏が先か、卵が先か」
どこの誰が言い始めたのかは知らないが、上手いことを言うもんだ。
その閃きを少しだけでもいいからボクにも分けてほしいものだ。
そんなことを考えていたらふと思った。
「名ゼリフが先か、名シーンが先か」
一体どっちなのだろうと。
名シーン故に名ゼリフが生まれるのか?
名ゼリフがある故に名シーンと呼ばれるのか?
ボクとしては若干、前者かなと。
名シーンであるからこそ自然と名ゼリフが生まれてくるんじゃないかと。
そんな気がする。
しかし、両者はいつもセットとは限らない。
単品の場合がある。
名シーンであってもそこまで名ゼリフが出ない場合もある。
逆に、名シーンでないのにいきなり名ゼリフが飛び出すこともある。
………なんだか単品の方が多い気がしてきた(笑)
いや、確実にそうだと思う。
強烈に覚えているのが、ちょうど去年の今ごろ見ていた「みなみけ(3期)」というアニメの千秋という少女が言った言葉。
「私は頼られるのは好きだが、当てにされるのはきらいなんだ」
確か友達に夏休みの宿題を見せてと言われたときに放った言葉。
何気ないシーンだった。
でもこの言葉は強烈だった。
すごい的を射ていたというか、胸に突き刺さったよ。
自分に言われた気がして(笑)
何気ないシーンはボクの中で名シーンになった。
あれ?もうよく分かんないや(笑)
だが、本当に言いたいのはここからだ。
この名シーンや名ゼリフを自分の作品で生み出そうとするにはものすごく大変だということを知った。
というかボクはできない(笑)
「おい、みんな集まれ!!しょうが焼き監督がいらっしゃったぞ!!
「お疲れ様で~す!!」
「あ~、皆さんお疲れ様です」
「監督…いよいよですね」
「あぁ…気づいている者も多いと思うが、今までの展開から行くと、今日は非常に重要なシーンになる」
黙って頷くキャラクター
「事と次第によっては名シーンになる可能性も出て来た!!」
「おぉー!!」
場内にどよめきが起こる。
「ついに我々もその境地にたどり着いたんですね、名シーンと呼ばれるまでに」
涙ぐむ主人公キャラクター。
「それでだ…私は今回主人公である君にささやかなプレゼントを用意させてもらった。受け取ってほしい」
「監督…この箱は一体…あぁ、監督……名ゼリフじゃないですか!?」
場内から自然と拍手が生まれる。
「あぁ、君がここぞという時に使ってくれ」
「か、かんとくぅ~、ありがとうございます!!」
そうしてこうして、重要なシーンが始まる。
あぁなって…
こうなって…
そうなって…
雲行きが怪しくなる。
「か、監督…名シーンはいつになったら?」
「……撤収だ」
「えっ…?」
「撤収だ、撤収!!聞こえないのか!?撤収だぁー!!」
「あの…自分の名ゼリフは?」
「そんなもの無しに決まってるだろう!!」
「す、すみません!!おい、みんな撤収だぁー!!」
大概こうなる。
ちょっと大げさに書いたけど、マジでこうなる(笑)
特にセリフ。
自分の想いをどうにかこうにかして言葉で表現するので精一杯なのだ。
読者の胸を打つような気の利いたセリフなんて思いつきやしねぇ。
実力が足りない。
いや、その前に努力が足りない。
何より準備が足りてない。
その通りでございます。
書くのに必死で余裕なんてあるはずもなく…
レベル上げが必要でございます…
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