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【清泉女子大学学生インタビュー①】プロジェクトを通して変化したエシカルへの思い。先輩の背中を追いかけて走り抜けたマイプロジェクト

清泉女子大学地球市民学科では、4年間の学びの土台づくりとして、1年次に個人で「マイプロジェクト」に取り組みます。一人ひとりの興味関心をテーマに扱うことで主体性を持ったプロジェクトを企画し、学生自身が越境しながらより深く学んでいきます。roku youは、マイプロジェクトのカリキュラム開発や授業設計、さらにプロジェクトを深めるために学校の外に飛び出す越境活動の支援など多様な関わりを行っています。

今回の記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む大学生の変容をお伝えします。
一人ひとりの興味関心から生まれた多様なプロジェクト。実際にマイプロジェクトに取り組んだ大学生は何を感じ、どんな壁を乗り越え、どのような学びを得たのでしょうか。ラーニングクリエイター古屋が、学生の言葉をお届けします!
インタビュー一人目は、「家にある使わない布で洋服を作ってみよう」プロジェクトに取り組んだ、五十嵐稀南さんです。

【interview】プロジェクトを通して変化したエシカルへの想い。先輩の背中を追いかけて走り抜けたマイプロジェクト

古屋 五十嵐さんが取り組んだプロジェクトのテーマと概要を教えてください。

五十嵐さん 私は、「家にある使わない布で洋服を作ってみよう」というテーマでプロジェクトに取り組みました。具体的には、昔使っていたカーテンでワンピースを作りました。

このプロジェクトをスタートしたのは、先輩の活動がきっかけでした。もともとファッションが好きだったこともあり、当時エシカルファッションについて取り組んでいる先輩の卒業プロジェクトの発表のお手伝いをさせてもらったんです。そこで、ファッション業界が引き起こしている労働問題や環境問題を知り、心に刺さるものがありました。もっと自分でも知りたいという思いが高まり、まずは洋服がどのような工程で作られているのか知ろうと、自宅にある使わない布を利用して実際にエシカルファッションを作ってみたんです。

使用しなくなったカーテンで製作したワンピース

古屋 先輩の卒業プロジェクトを見たことで、興味関心を持ったんですね。実際に手伝って身近で見たからこそ、心に刺さったものがあったのでしょう。振り返ってみて、プロジェクトへの熱量は何%でしたか。

五十嵐さん 90%くらいです。先輩から受けたインスピレーションや、 講義が始まってからずっと自分が好きなものが何かを考えてきた中で「やっぱりファッションだ」と気づき、納得して選択したプロジェクトだったので頑張れたのだと思います。
残りの10%は、ファッションの問題を深めるために調べたり、行動したりすることができなかったという心残りがあるからです。今振り返ると、もっとできることがあったかもしれないと思っています。

古屋 自分が好きなことだからこそ、難しくても頑張れたし、やりたいことにも挑戦できたという実感はあるけれど、だからこそもっとやりたかったという悔しさも同時に抱いているのですね。五十嵐さんが取り組んだプロジェクト自体は達成できていると思ったのですが、心残りにはどんな理由や思いがあるのでしょうか?

五十嵐さん 先輩の姿勢を見ていて、自分も卒業プロジェクトの時には環境や地球に優しいファッションのことを伝えたり、自分で行動を起こしたりと、何かできたらいいなと思っています。このプロジェクトを通してまだまだ全然知識が足りないことを実感したので、それについて勉強したいという思いが高まっています。しかし、知りたいという意欲はあるものの、実際はそこまで行動できていないという状況なんです。

古屋 この分野に関して、これからもっと深めていきたいという思いがあるのですね。このプロジェクトが、五十嵐さんにとって大きな意味を持つものであるということが伝わってきました。どのタイミングでプロジェクトへの熱が入りましたか。

五十嵐さん 生地を探しながら、これならワンピースが作れるかもとイメージを膨らませて考えていたときと、実際に洋服を作っている最中に熱が入りました。

古屋 作るイメージをしたり、実際に手を動かしたりすることが好きなのですね。洋服を作るのは初めてだったのですよね。作ってみてどうでしたか。

五十嵐さん 本当に難しかったです。現在は機械で作られている洋服がほとんどだと思うのですが、これまではハンドメイドの洋服を見ても、製作の工程に思いを馳せることなどまずありませんでした。完成品しか見ていなかったので、どういう工程で作られているのか、誰が作っているのかなど、 あまり考えたことがなかったんです。しかし、今回のプロジェクトで洋服を手作りしてみて、一着を作ることはこんなにも大変なんだと知ることができました。そして、洋服を大切にしなければならないと改めて実感しました。

古屋 初めて自分で作ったことで、本当にいろんな気づきがあったのですね。プロジェクトを立案した時の気持ちは覚えていますか。

五十嵐さん 最初にプロジェクトを考えたときは、「ファッションが好きだから自分の好きな洋服をコレクションし、雑誌を作ってみようかな」と考えていたのですが、一方で自分の関心のある社会問題に関連づけたいという気持ちもありました。 しかし、「自分にできるのかな」と、結構悩んだことを覚えてます。

同級生の頑張る姿を見て、自分も好きなことに挑戦しようと思えた

古屋 洋服を作ろうと思ったのにはどんな背景がありますか。

五十嵐さん 元々自分で洋服を作ってみたいという思いがあったのですが、自分でできるのだろうかという気持ちも大きくて...…。他にもやらなければいけないことはあるので、作る時間はとてもとれないだろうと諦めていたんです。でも、もともと雑誌を作ろうと思っていたくらいですから洋服も作れるのではないかと思ったのと、関心がある社会問題に関連づけたら、もっと達成感が得られるだろうなと思いました。

古屋 葛藤もあったけれど、それでも作ることを選んだのですね。作るということを選択するのには勇気が必要だったのではないかと思うのですが、どうしてそれを決意できたんですか。

五十嵐さん 同級生の影響がありました。「プロジェクトは何をするの?」と話をしている中で、プロジェクトをきっかけに友人がボランティアに参加し、実際にそのコミュニティで活動しているということを聞きました。それを聞いたときに「すごいな!」と思い、私もやりたいことをやろうと背中を押されて洋服を作ることにしました。

古屋 とても素敵な刺激を得ましたね。五十嵐さんは、主体的にプロジェクトを進めているという印象を持っていました。実際に主体的にプロジェクトを進めていくためにはどんなことが大切だと思いますか。

五十嵐さん 自分がどれだけプロジェクトに対して興味があるのか、また、やりたいことかなのか、が大事だと思います。私は自分が好きなことなのだから頑張ろうという意欲が湧いてきたので、そのモチベーションが重要なのではないかと思います。

古屋 自分がどれだけプロジェクトに対して興味があるか、やりたいことなのかというのは、プロジェクトを主体的に進める上で本当に重要なポイントだと思います。ありがとうございます。では、実際にプロジェクトに取り組む中で、どのような刺激や気づきがありましたか。

五十嵐さん 私はファストファッションもよく購入するのですが、大量生産、大量破棄という問題があることを知りました。今までそういう問題を考えたことがなかったので、「自分が好きなブランドだけれど、そういう問題もあったんだ。自分でこれからできることはなんだろう」と考えるようになりました。また、プロジェクトを通して、やはり自分はこの問題に関心があり、もっと知りたいという思いが強くなりました。

プロジェクトを通して考え方が変化した

古屋 元々ファッションや環境問題に興味があってこのプロジェクトを始めましたが、プロジェクトを進めるうちにより熱が高まったのですね。マイプロジェクトに取り組む前と後で考え方や感じ方に変化はありましたか。

五十嵐さん プロジェクトに取り組む前までは、洋服の素材や形が好みではなくても、安かったら購入するということがありました。でも、プロジェクトを経験した現在は、自分が本当に長く着続けられる一着を持っていること、そういう洋服を購入することがエシカルにつながるんだと思うようになりました。

古屋 プロジェクトに取り組む前の五十嵐さんのエシカルの考え方が気になりました。

五十嵐さん エシカルブランドがあるということは知っていたので、エシカルブランドで購入した洋服を着れば地球に優しいことをしているんだと思っていたんです。しかし、プロジェクトを進める中で、環境に対してできることはそれだけではないのではないかと思うようになりました。エシカルブランドを購入すること以外にも、自分ができることはたくさんあると気づきました。

古屋 エシカルブランドを買わなくたって、自分が本当に気に入る洋服を買って長く着ることが大切だというような考え方に変化したのですね。素敵な学びですね。最後に、これからマイプロジェクトに取り組む後輩に向けて伝えたいことやエールをお願いします。

五十嵐さん 自分を知り、自分について考える機会も、自分の好きなものを追究することも意外とないものです。プロジェクトを通して自分を知り、深めることで、自分がやりたいことを見つけられるとイイですよね。たとえ、やりたいことが見つからなくてもそれに繋がる何かを見つけたり、今まで気づかなかったことに気づいたりできる体験なので、マイプロジェクトに頑張って打ち込んでみてほしいです。

授業中の様子

おわりに

今回の記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む大学生の変容をお伝えしました。先輩や同級生から刺激を受け、やってみたかったことに挑戦し変化していく姿は本当に素敵です。誰かと自分のプロジェクトについて話したり、興味のある場所や人に会ったりすることも、プロジェクトを進める上で大事なポイントだと改めて五十嵐さんの体験が教えてくれました。

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