SEL(Social Emotional Learning)とは
SELとは
SELとは、Social Emotional Learningを略したもので、日本語では「社会性と情動の学び」と呼ばれるものです。そういわれても、なかなかイメージしづらいかもしれませんね。そこで、一体どういう概念なのか詳しく説明していきます。
Social
Socialの部分が指すのは、社会的能力です。みなさんも耳にしたことがあるかもしれませんが、ソーシャルスキルに代表されるような他者と良好で健全な関係を築くための能力のことを指します。
Emotional
Emotionalの部分が指すのは、気持ちに関わる能力のことです。もう少し詳しく説明すると、自分自身が「今、どのような気持ちなのか」や「どのような気持ちの揺れ動きをしているのか」ということに気づく力。あるいは、気づいた上でうまく感情と付き合い、マネジメントする能力。また、他者の気持ちの揺れ動きに気づき理解をするといった、気持ちの理解と管理に関わる能力のことを指します。EQ(心の知能指数)と呼ばれる領域に近い能力になります。
この社会的能力と気持ちに関わる能力2つを高める学びなので、Social Emotional Learningと呼ばれています。
どんなことを目的にし、何のために導入するのか
目的は実は様々で、例えば暴力行為のような問題行動の減少やいじめ、不登校児を減らしたいなど、それぞれの学校現場が抱えている課題を改善する目的でも広く導入されています。
ただ一方で、SELとは学びのより良い環境を整備する、土壌をつくるというアプローチでもあります。そのため、10年以上前からSELは成績の向上ややり抜く力と呼ばれるグリット、非認知能力の向上にもつながるといわれているのです。
そのため、世界中で様々な学校が多様な目的で導入しているのがSELの現状です。
SELをどのように導入するか?
それでは学校現場でどうSELを取り入れていけばよいのでしょう。
私が学校現場に訪れる中でよく聞かれるのが、「”SELプログラム”を導入すればいいんですか?」というもの。ファーストステップとして、必ずしも間違いではないのですが、決してそれだけが正解ではありません。
SELは学校全体で多面的に取り組む必要があるといわれています。SELにはいろんなアプローチがあります。例えば、「SELの文脈である感情と向き合う時間を設ける」ことはもちろん、「学校全体の仕組みの中にSELの要素を取り入れていくこと」や「SELの時間を特別に設けるのでではなく、既存の教科・科目の中で導入していくこと」もできます。
小さなアプローチからも始められることができることがよさでもありますが、一番大事なことは一貫性を持って実装すること。学校全体で共通のゴールや目的を認識し、じわじわと忍耐強く取り組んでいくことです。
実践者のみなさんは、一緒に取り組む仲間とまず「なぜ導入したいのか」また、「どのような多面的なアプローチで導入できるのか」 をきちんと対話した上で、前身していくことを心がけていただければと思います。
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