【清泉女子大学学生インタビュー②】マイプロジェクトを通して初めて自分の意思を伝えた! 「留学に行きたい」という思いから始まったプロジェクトの変遷
今回の記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む大学生の変容をお伝えします。
一人ひとりの興味関心から生まれた多様なプロジェクト。実際にマイプロジェクトに取り組んだ大学生は何を感じ、どんな壁を乗り越え、どのような学びを得たのでしょうか。ラーニングクリエイター古屋が、学生の言葉をお届けします!
インタビュー二人目は、「ベトナムに留学しよう」プロジェクトに取り組んだ、児島有香さんです。
【interview】マイプロジェクトを通して初めて自分の意思を伝えた! 「留学に行きたい」という思いから始まったプロジェクトの変遷
古屋 児島さんが取り組んだプロジェクトのテーマと概要を教えてください。
児島さん 私が取り組んだプロジェクトテーマは、「ベトナムに留学しよう」プロジェクトです。過去に4年程ベトナムに住んでいた経験があり、帰国してからもベトナムのことは常に頭の片隅にあり、「もう一度行きたい」と思い続けていました。始めはベトナムに留学するために必要な準備をするというプロジェクトにする予定でしたが、ファーストアクションで両親に相談してみた際、留学に行くことを大反対されてしまいました。
プロジェクトが続けられなくなってしまい、テーマを変更しようか迷いましたが、古屋さんにその旨を相談した際に、「せっかく時間を使って取り組むのだから諦めないでほしい。もしご両親を説得できてベトナムに行くことができたら嬉しくない?」という言葉をもらいました。その言葉を受けて、「そういう内容でもいいんだ! 自分だけのオリジナルのプロジェクトにしていこう!」と思い直しました。そして、どうしたらベトナム留学することを両親に許可してもらえるかを試行錯誤してみることにしたんです。
これまでの私は、両親の考えに反発したことがなく、喧嘩をしたこともありませんでした。プロジェクトに際して「ベトナムに留学したい」という自分の意思を伝えたことで喧嘩になってしまったので、自分の意思を伝えた上で仲直りしたいと思いました。
古屋 自分の意思を伝えるのにはとても勇気がいりますよね。一度は反対されてもアプローチを変えてプロジェクトを続けることにしたのですね。なぜベトナムに留学に行きたいと思ったのですか。
児島さん 1年生の夏休みに外国語の授業を履修しベトナム語を選択していたんです。それに、ベトナム人の技能実習生や留学生移民に関するフィールドワークを行う授業は、1年生では単位認定されないのですが無理をいって参加させてもらっていました。その体験から、日本にも問題があることがわかったのと同時にベトナムにも問題があるのではないかと思うようになり、それを実際に見に行きたいと思うようになりました。また、ベトナムから来る技能実習生を見て、ベトナムでの日本語教育はどうなっているのかと興味を持ちました。
以前、ベトナムの技能実習生が日本で豚を盗む事件が発生してニュースになったことがありました。報道ではその技能実習生にどのような背景があったのかは語られず、その事件だけが取り上げられています。ベトナムは私にとって第二の故郷のような国なので、「ベトナム人は悪者」という印象が強くなってしまう現状がとても悲しいです。 きっと彼らにも理由があって、豚を盗んでしまったり、仕事を辞めてしまったりするのではないかと思い、その問題の背景を詳しく知りたいと思いました。
一度ついた火は消えない
古屋 ベトナムへの思いが伝わってきました。このプロジェクトでは具体的にどのようなアクションをしましたか?
児島さん チュートリアルの担当の先生に相談したり、なぜ反対なのか両親に理由を尋ねたりし、その上で必要なことを行いました。現在上京しているので、両親には最初はLINEで留学したいことを伝えました。反対をされたので、電話で話しましたがそれでもダメ。熱が伝わっていないのかもしれないと思ったので、両親にどうしても行きたいことを伝えようと、留学の話をするためだけに実家に帰りました。それでも反対されてしまったのですが……。しかし、祖父母にも「私やっぱりベトナムに留学したいんだよね」と口に出すことで、自分の中でもはっきりしていなかった思いが明確になっていき、ベトナムに留学に行きたいんだと改めて思いました。
両親に反対された主な理由は、「一人で海外に行くことが心配だ」というものでした。そのため、両親に安心してもらうことが必要だと考えました。これまで、 一人で新幹線に乗ったこともホテルに泊まったこともなかったので、まずは少しずつ挑戦をしていこうと、一人で長野にスキーに行きました。最初は母にすごく反対されていたのですが、そうした一人での冒険を経て、だんだんと安心感を持ってくれたように感じます。
古屋 しっかりと反対する理由を聞いて、その上でアクションしていてすごいなと思いました。そうやって少しずつご両親の安心感を醸成していったのですね。
児島さん その結果、ベトナム留学にいくことはまだ反対されているのですが、今年の夏にアフリカのマラウイにフィールドワークに行くことを許可してもらうことができました。最初はアフリカも危ないからと行くことを反対されていたのですが、行きたい理由を伝え続けるうちに熱が伝わったみたいです。
このプロジェクトで達成したかったこと自体はまだできていないのですが、色々な経験を経ていく中で自信がついていきました。 留学に行くことはまだまだ諦めていません。このプロジェクトが達成できるように目指している途中です。
「留学に行っても大丈夫だ」と両親に安心してもらうために自立した姿を見せることや、安心してもらえるような資料を集めて、もう一回チャレンジしたいと思っています。また、アプローチを変えてみて、祖父母にも味方になってもらうことも考えています。
古屋 まずはアフリカへ「行きたい」という思いが伝わったことは嬉しいですね。振り返ってみて、プロジェクトへの熱量は何%でしたか。
児島さん 90%ですかね。このプロジェクトをきっかけに、両親に自分の意思を伝えられるようになったらいいなと思いました。同時に授業の課題にも取り組めることになるので、一石二鳥だと考えていたので、全力で打ち込みました。
テーマが見つかるまでは、「薄っぺらいプロジェクトしかできないかもな……」と思っていたのですが、「これだ!」というテーマが見つけられてからはエンジン全開でした(笑)。
やりたいことのヒントは日常に隠れている
古屋 今、児島さんがおっしゃったように、プロジェクトのテーマ決めは結構悩むタイミングだと思います。どうしたら自分が主体性を持って取り組めるプロジェクトテーマに出会えると思いますか。
児島さん 実は、マッピング(初回の講義で取り組んだ自分の興味関心を広げるワーク)のときは、紙には書けなかったんです。自分の本当に好きなことや興味のあること、困っていることは意外とすぐに出てこないものかもしれませんね。ちょっとしたことでもいいので、何かに興味を持って生きるぞというマインドを持っていれば、プロジェクトのテーマは見つけやすいのではないかと思います。
古屋 ただ過ごすだけではなく、日々の生活に目をむけることは大事なポイントですね。テーマが見つかるまではたくさん悩んでいたとのことですが、プロジェクトを立てたときの気持ちを教えてください。
児島さん 今まで自分がしたいことを両親に意見したことがなく、喧嘩もしたことがなかったので、「このプロジェクトを機に自分の意見を言ってみよう!」「やってやるぞ!」という気持ちになりました。
古屋 そうなんですね。このプロジェクトがきっかけになってくれたのであれば嬉しいな。この講義では、マイプロジェクトを進める上で越境をすることをルールにしていましたね。児島さんにとってどんなことが越境でしたか。
児島さん 自分のやりたいことを両親に伝えたことです。今まで両親の言うことをよくきく従順な子だったと思います。そのため、「私にも思っていることがあるし、やりたいこともある」ということを伝えることにはとても勇気がいりました。
古屋 これまでの自分と両親との関係性を変えていこうとしたのですね。実際にプロジェクトに取り組む中で、どのような刺激や気づきがありましたか。
児島さん 人に意見することを恐れずに、自分を信じて自分の意見を伝えることが大事だなと思いました。これを相手に言ったら嫌な顔されちゃうかなとか思わずに、自分の意思表示をすることはとても大事だと感じるようになったんです。
古屋 素敵な気づきですね。マイプロジェクトに取り組む前と後で考え方や感じ方に変化はありましたか。
児島さん 自分の意見を伝えるのが大切だと思ったということもそうなのですが、もう一つあります。自分の意見を両親に認めてもらうことが私の中でのゴールだったので、「認めてもらうにはどうしたらいいか」「どんな材料が必要なのか」をとにかく考えていました。そうした試行錯誤をする中で、自分の意見を相手に伝えるときには、他者の視点で考えることが必要だということに気づきました。
古屋 最後に、これからマイプロジェクトに取り組む後輩に向けて伝えたいことやエールをお願いします。
児島さん マイプロジェクトのテーマを考えるときに、最初は「かっこいいテーマにしよう」と思うかもしれませんが、身の回りに起こってることとかをテーマにした方が内容の濃いプロジェクトができ、アクションをしていても楽しいと思います。どうせ時間をかけるならば、最終的に自分のためになるようなプロジェクトがオススメです。
おわりに
今回の記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む大学生の変容をお伝えしました。プロジェクトを進める中で、姿勢やマインドがどんどん変化していった事例だと思います。周囲の人を動かしながら進んでいくエネルギーは本当に素敵ですね。結果的に留学に行けなくても、彼女自身が学んだことや得た気づきは、これから先の将来、絶対に支えになってくれると信じています。
>>インタビュー1人目の記事は以下よりご覧いただけます。