[要旨]
事業改善のためには、即効性のある方法が大切ですが、現在は、それだけではライバルとの競争に優位に立つことが難しくなっています。そこで、人材育成など、即効性はなくても、長期的視点で重要な課題に取り組む姿勢が、ますます重要になってきています。
[本文]
先日、大相撲の照ノ富士関が、大関に昇進し、21場所ぶりの大関復帰を果たしました。結果として、いま、照ノ富士関は大関に復帰することができましたが、3年以上前に大関から陥落してから、ずっと、諦めることなく復帰を目指してきた照ノ富士関のひたむきな姿勢には、頭が下がる思いです。そして、相撲界には、稽古三年ということばがあるそうです。
これは、毎日の稽古が、あす、すぐに成果となって表れないが、3年後には成果となって表れるので、日々、精進しなければならないという意味だということは、誰でも容易に理解できるでしょう。照ノ富士関が、このことばを意識していたかどうかは、直接は確認できていませんが、長く力士として活躍してきた方がですから、稽古三年の精神をもって復活を目指してきたことに間違いはないでしょう。そして、当然のことながら、この考え方はビジネスにもあてはまると、改めて感じています。
正直なことを言うと、私も、コンサルタントとして、事業改善のお手伝いをしている会社に対しては、即効性のある改善策を提案しなければ、コンサルタントとしての能力を疑われると考えていた時期が、長くありました。もちろん、即効性のある改善策は大切なのですが、それは、効き目も短いので、長期的な視点では、あまり意味がないという面もありますし、もっと重要なことは、即効性だけで勝負していては、ライバルとの差別化が進まないということを実感するようになってきました。この点については、私以外にも、たくさんの方が気づいています。
例えば、ホッピービバレッジ社長の石渡美奈さんは、「技術は真似できても、育てた社員は真似できない」というご著書に書いておられるように、会社の競争力を高めるために、技術力だけでなく、従業員の育成にも力を入れておられます。すなわち、競争力を高めるには、技術力をつける必要がありますが、さらに、そのためには、人材育成が必要であり、このような遠回りと感じられるような方法をとっておられるということです。正に、稽古三年の精神といえるでしょう。
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