見出し画像

会社は愛社精神を求めてはいけない

[要旨]

会社の中には、従業員に愛社精神を持って欲しいと働きかける場合がありますが、そのような活動は、従業員に会社を評価する立場に立たせてしまい、懸命に働こうという意思を持たなくなるなどの弊害が起きます。従業員に会社に所属したいと思ってもらうには、会社の業績を高めることが、最も効果的です。


[本文]

今回も、組織マネジメントコンサルタントの安藤広大さんのご著書、「伸びる会社は『これ』をやらない!」を読んで得た気づきについてご紹介したいと思います。安藤さんは、本の中で、経営者は従業員に愛社精神を求めることは弊害を生むと述べておられます。これは、従業員に対して、愛社精神を持たせてはいけないという意味ではなく、愛社精神を持ってもらうことを目的化した活動を、行ってはいけないという意味のようです。別の言い方をすれば、従業員に対して気を使い過ぎて、おもねってはいけないということです。

会社が従業員へ配慮することはよいことのように感じられますが、安藤さんは、会社が従業員に対して愛社精神を持つよう働きかけることは、従業員を、会社を評価する立場に立たせることになり、事業の本来の目的を果たせなくなると指摘しています。すなわち、事業は、本来は、顧客に会社が評価されるために活動をしているのであって、その結果に応じて、経営者や従業員が評価されるものであるので、会社が従業員から評価される相手となってはいけないということのようです。

もちろん、会社は、個々の従業員に対し、引き続き雇用したい相手か、逆に、個々の従業員は、引き続き会社の一員であり続けたいかという面で、それぞれを評価することは当然です。しかし、お互いによい評価を得るための努力は、業績を上げるために向けられるべきということを、安藤さんは述べているのでしょう。このような、当然のことと思えることを、安藤さんがあえて指摘した背景には、経営者が、従業員の管理や育成を上手に行える自信がない場合に、従業員におもねるようなことをしてしまうからだと思います。

でも、従業員を会社に引き付ける最大の要因は、会社の業績をよくすることだと思います。もちろん、従業員を犠牲にして業績を高めるというブラック会社は別ですが、業績のよい会社であれば、従業員は、自らがその会社に所属していることを誇りに思えるでしょう。そして、事業の将来性を期待できれば、多少、苦しいことがあっても、事業を発展させて行く一員であり続けようと思うでしょう。

2021/10/27 No.1778

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?