休眠会社への融資
[要旨]
事業を始めようとするときに、会社の設立費用を節約するための、きちんとした手続きをせずに休眠状態にした会社を買い取ることをしようとする方もいます。しかし、そのような会社は、きちんと財産が残っているか、簿外債務がないかという懸念があることから、銀行は融資に慎重になるので、注意が必要です。
[本文]
最近、何人かの税理士の方に、休眠会社の事業を再開させたとき、融資を受けることができるかというご質問を受けました。単刀直入に述べれば、不可能です。実は、一般的に、休眠会社といわれている会社は、ほとんどの場合、本当の休眠会社ではなく、休眠状態の会社のようです。
本来、会社は解散せず、事業だけを休業する場合、税務署や自治体に対し、「異動届出書」に休業することを記載して提出します。このような会社は、休眠会社ですが、休眠中であっても、確定申告の義務は残り、また、地方税の均等割は、原則、納税しなければなりません。(なお、自治体によっては、休眠していることを伝えることにより、地方税の均等割の納税を免除してもらえる場合もあるようです)
ところが、前述の、いわゆる休眠会社は、異動届出書の提出や、確定申告などは行わずに、単に、事業を停止したまま放置されて、結果として休眠状態になっている会社のようです。(事業活動をしていないのに、確定申告を行うことは、会社としては意味がないと感じることは、私も理解できますが、この記事の本旨ではないので、その良し悪しについては触れません)
このような会社に対して、融資をする側の銀行としては、きちんと、前回作成された財務諸表通りの資産が残っているか、簿外の負債がないのかということを懸念することになり、融資の判断に慎重になります。仮に、異動届出書を提出し、確定申告を続けていた、本当の休眠会社であれば、そのような懸念は少なくなることから、事業を再開することになった場合、休眠会社に融資できる可能性はあります。
一方、単に、事業を休業しただけで、何の手続きも行っていない会社を買い取り、融資を受けようとする方は、会社を新設せずにすませることで、費用を節約しようとしたり、その会社が持っていた許認可を、手間をかけずに取得しようとすることが狙いのようです。しかし、前述のような理由から、もし、融資も受けることを考えているのであれば、設立費用が比較的少ない合同会社を設立するか、または、個人事業主として事業を始め、融資を申し込むことをお薦めします。
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