見出し画像

アルゼンチンで見たアジア

こんにちは、いとさんです。

アルゼンチン人の友達が、以前女子会をした時に行った“barrio chio(中華街)“の中華レストランが気に入ったので、あなたを連れて行きたいと言って食事に誘ってくれました。中華街はいつも観光客や地元の人が沢山いて大いに賑わっています。訪れたのはお昼時でしたので、お店は混雑していましたけれど、彼女が事前に予約してくれていたのですぐに席に着くことができました。

周りをそれとなく見回してみましたら、家族連れや私達のように友達同士で来ている人達の他に、明らかに一人で食事をしている人もいました。日本でも「お一人様」で食事をしたり趣味を楽しんだりする人の姿が見られますけれど、こちらアルゼンチンにもお一人様がいるようです。きっとこの方々は他の人よりもアジアに興味があって、こうして文化に触れているのでしょう。自分の国や周辺の地域に興味を持ってもらえるということは、どうして嬉しいと感じるのでしょうか。不思議に思いながらもやっぱり喜ばしいことだと感じている自分がいました。

メニューはスペイン語と英語で併記されていますけれど、さっぱり料理のイメージが頭に浮かびません。しかしさすが中華街です。メニューの端には漢字表記がありました。多少日本での使われ方と異なる部分はあれど、こちらの方がよっぽど頼りになりました。友人は以前訪れた時と同じものが食べたいと言ってさっさと注文を決めてしまいました。私は小籠包の字に猛烈に惹かれてしまったので、それを頼むことにしました。

画像1

メニューには確かに小籠包と書いていた気がしたのですけれど、現れた大きなボールのような物体に驚きました。見た目はさておき、久しぶりに口の中に広がったアジアの味に舌が懐かしさを感じて満たされていく感じがしました。体に入っていく時にすんなり入っていく感覚と言いますか、これを体が求めていたんだなということを感じました。

画像2

お友達が気に入ったというお料理は鶏肉を丸めてホットドッグの生地のようなもので包んで揚げたものに甘酢のあんがかかったものでした。盛り付け方は少々独特でしたけれど、酢豚のような味付けでこれも美味しかったです。

食事を楽しんでいた時に友人が脈絡もなく「私達から見れば東洋の女性ってフェミニンで可愛いのよ。」と言いました。そういう風に東洋人を見ているとは思ってもみませんでした。どこか東洋に生きる私達の方が西洋に対して憧れを持っているところが多いように感じていたからです。彼女は東洋人女性を総じてそのように表現しましたけれど、まるで自分が褒められたかのように嬉しく思いました。

一方で私がアルゼンチンに来てからこちらの女性に対して思ったことは、彼女達は強くあらねばならない状況に身を置いているんだなということです。日本にも多少危険があれど、道を歩いていて突然突き飛ばされ鞄をかっさらわれたり、銃を突きつけられて車を奪われるということはほとんど起こりません。彼女達はそういうところで暮らしていますから泣いてばかりいられないようになっていくのではないかと思います。

遠く遠く離れた地球の裏側から見れば、日本という小さな島国は中国と同じに見えるようです。時々ですけれど中国語を話せるか?と聞かれます。私は中国語どころかもっと近くの韓国語でさえ分かりません。日本語というのは本当に独特であると改めて思います。お返しにアルゼンチン人達にイタリア語は話せるか?と聞くと、若い人は大体全員NOと言います。お父さんやおじいさんの世代は話せる人がいるようです。話せなくてもポルトガル語、イタリア語、スペイン語の聞き分けは出来るようです。もっとお互いの国の往来があるヨーロッパではもしかすると二カ国語、三カ国語を話せる人が多くなるかもしれませんが、ここアルゼンチンも言ってしまえば日本と同じ島国みたいなもので、世界から切り離されている感じがします。

アメリカ合衆国のものは王道の「かっこいい」ですけれど、アジアのものはどうやら通な感じの「かっこいい」という風に認識されているのか、少しこだわりのある若い方の興味を引くようです。今時のとてもおしゃれな女性は家に仏像を飾っていました。と言っても、信仰の対象ではありません。あくまで庭のオブジェと化しているのです。他の方のお宅でもインドを思わせるようなものなどアジアを意識したデコレーションがされた一角がありました。美しいアルゼンチンの女優さんの中には日本にルーツを持つ人がおり、それを誇りとしているかのようにSNSで自身を紹介しています。日本の女子会ではイタリアンに行くところ、アルゼンチンでは綺麗に着飾った女友達と集まって食べるのはお寿司です。このお寿司は恐らくアメリカを経由してやってきたのでしょう。チーズやアボガドがふんだんに使われており、カリフォルニアロールにルーツを感じます。

またベトナム料理のお店を見つけて行ってみましたら、確かにベトナム料理らしいものでしたけれど、少々カスタマイズされている感じがしました。アルゼンチンで手に入る食材で代用している部分もあり完全再現とはいかないようです。ここアルゼンチンで見つけるアジアはどれも物理的な距離を舌や見た目の違和感で感じざるを得ませんけれど、それでもアジアに興味を持ってそれを楽しんでいる彼らを見ていると、私も自分が大好きな日本を掘り下げてもっとディープな一面を紹介することが出来るようになりたいと思うのです。

いとさん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?