「模範的な性被害者像」から外れると疑われるの?

うろ覚えだが、ある性被害者の裁判で、加害者側の弁護士が被害者に対し「性被害のあとに加害者に、『お疲れ様です』というようなメッセージを送っているが、そんなことはあり得るのか?」と問うシーンがあったと思う。

性被害者が加害者に「迎合」してしまうのはよくある反応だし、それ以外にも、性加害者が権力者や目上の人であった場合には、被害者は事件後も加害者に礼儀正しい態度を取ってしまうかもしれない。

「自分ならこうするはずだ」という思い込みや「被害者というのはこういうものだ」という決めつけなど自分の主観に基づいて被害者に質問をすることは、セカンドレイプやガスライティングにあたる。

人間の心は複雑な仕組みであり、また、社会の中には権力構造がある。被害を受けるとその後加害者に服従してしまうこともあるし、嫌なことをされてもノーと言えないこともある。そういった物事の複雑さをすっとばして物事を単純化(被害後はこういう行動をとるはずだ)するのは、真実を見極めようとする努力を怠っていると言わざるを得ない。


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