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MMT(現代貨幣理論)提唱者が日本の失業に言及|迷想日誌

MMT(現代貨幣理論)を提唱しているアメリカの経済学者ステファニー・ケルトン教授が来日し、講演と記者会見を開きました。
日本の失業率と賃金について見解を述べていたので、注目したいと思います。

ユーチューブで公開されている記者会見などをみますと、ケルトン教授は日本の完全失業率はまだ底に達していないために、賃金上昇の条件が整っていないとみています。
アメリカでいえば、2年前ほどの状況と似ているといいます。当時、まだインフレ率は2%に到達しておらず、追加投資が必要とされていました。

今から考えると、アメリカにおいても、当時経済学者が思っていたより改善の余地が大きかったとみています。
その後アメリカでは、財政拡大、大規模減税を実行し、それが失業率の改善につながり、ようやくインフレ率2%程度が達成されたわけです。
アメリカFRBのパウエル議長は、アメリカ経済の改善余地に関する見通しを誤り、一時不要な引き締めを行ってしまったと認めています。

現在になって分かったこととして、雇用情勢改善の上限や失業率の下限を予測することは極めて難しいということです。
日本において、賃金上昇圧力が乏しいということは、もしかしたらまだ失業率の改善余地があるのかもしれないと話していました。

「労働新聞」紙面や本稿でも、日本はほぼ完全雇用を達成しているので、間もなく賃金は上昇に転じるとの見方をしていましたが、実際にはまだその転換点に来ていないということなのでしょうか。
インフレに向けた好循環を実現するには、まだまだ実施すべき経済政策があるということです。

ところで、アメリカのリベラル派が支持しているMMT(現代貨幣理論)ですが、これは傾聴に値します。
日本の現在の財政政策では、プライマリーバランスに象徴されるように、財政支出は税収の範囲内に収めるべきというのが原則となっています。
なぜかといえば、税収以上の財政支出は「赤字」として捉えるからです。
MMT(現代貨幣理論)は、そもそもこれを「赤字」と位置付けません。単なる通貨発行量の履歴であり、返済する必要はないものとしています。

ケルトン教授の講話を聴いていると、やはり「常識とは覆されるもの」という思いが強くなります。MMT(現代貨幣理論)については、今後も話題にしていきたいと思います。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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