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生涯現役社会実現へ企業がすべきこと|気ままに労働雑感

弊社は12月7日、労働政策審議会会長の清家篤氏を講師に招き、労働新聞創刊70周年記念オンラインセミナー(第3部)を開催しました。

少子高齢化が急速に進むなか、生涯現役社会を実現するための雇用慣行の見直しや社会保障制度改革の方向性などについて解説していただきました。

清家氏は、少子高齢化の最大の問題として、経済社会の支え手となる労働力人口が減少する点を挙げました。
労働力人口が減ると、生産と需要が減り、所得も減るとしています。
さらに、社会保障制度の財源となる保険料を相当高くしない限り、同制度が縮小していくと指摘しました。
問題解決の方向性として、労働力率を引き上げるための生涯現役社会の実現を提言しました。

生涯現役社会の実現を図るうえで、それを阻害する要因になっている定年退職制度と年功賃金制度の変革が重要といいます。
現在多くの企業が60歳を定年年齢に設定していますが、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられることを考慮し、「少なくとも2025年までにすべての企業が定年を65歳に引き上げていただくことが望ましい」と訴えました。

ただし、年功賃金のまま定年を65歳に引き上げると、賃金の高い高年齢者が企業内にたくさん発生し、労務費の負担が重くなるとしました。
「したがって、年功賃金をもう少しフラットにしていく。できれば、定年までは年功的に賃金が上がって、再雇用で賃金がそれまでの6~7割に落ちるということではなくて、もう少しスムーズに65歳まで引き上げていく仕組みが必要になる」としています。

職業生活の長期化を踏まえ、能力開発制度の変革も企業に求めました。
継続的に能力開発を繰り返しながら、仕事能力の維持が欠かせないとしています。

企業が存続・成長していくためには、戦力となる人材を確保し続けることが重要になります。
高年齢者にも戦力として長く活躍してもらいたいと考えている企業は、清家氏が提言した3つの変革の実施を検討してはいかがでしょうか。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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