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就業者数は90年代後半の水準を維持――厚労白書|迷想日誌

令和2年版の厚生労働白書が作成されましたので、注目点をご紹介します。

まず、「人生100年時代」がすぐそこまで来ていることを指摘しています。
このまま推移すると、2040年に高齢者となった男性の約4割が90歳まで、女性の2割が100歳まで生存するとみています。

しかし、そう悲観?すべきことではありません。人々の意思も大きく転換しているためです。
「高齢者とは何歳以上か」という質問に対して「65歳以上」とする人は1割に満たないのが実情です。
「70歳以上」と「75歳以上」がそれぞれ約3割、「80歳以上」が約2割という状況で、元気な高齢者が膨れ上がっています。
身体機能が若返り、健康寿命が延伸しているのです。高齢でも実質的に労働力として生活を送ることができれば、高齢社会の概念も転換していくはずです。

もう一つ良いデータがありました。ご承知の通り、日本の人口は2008(平成20)年をピークに減少に転じています。
しかし、何と労働力人口や就業者数は、1990年代後半の水準を維持しているというのです。

この背景には、女性の活躍推進や高齢者の就労促進等に関する各種施策の推進があります。
長期間にわたって、厚労省を中心に法律や制度改正を根気強く進めてきた結果が、功を奏しているといえます。
厚労省の先見性を称賛したいと思います?

1989(平成元)年と2019(令和元)を比較した労働力調査では、25~39歳男性が大きく減少しているのは致し方ないとして、同年齢層の女性は約1割増加、65歳以上の男女についても大きく増加しているのが分かります。
この間、15~64歳の人口は8500万人から7500万人と1000万人減ですが、就業者数は6100万人から6700万人へと拡大しています。

「人生100年時代」が近いとする2040年代といえば、技術革新が極度に進む「技術的特異点」(シンギュラリティ)が到来するといわれる年代です。AIなどが人間の頭脳を凌駕するとみられ、その時どのような社会が形成されるか、
今からは想像ができません。高齢者概念も大きく進展し、現在の常識が常識ではなくなっているはずです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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