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何と!厚労省が履歴書様式例を作成|迷想日誌

厚生労働省は、従来、一般財団法人日本規格協会がJIS規格として示していた履歴書の様式例の使用を推奨していましたが、このほど独自に「新たな履歴書様式例」を示し利用を呼び掛けています。

令和2年7月に同協会が、様式集から履歴書の様式例を削除したため、厚労省自ら公正な採用選考を確保する観点から検討を行っていたといいます。
厚労省が履歴書様式例を示すのは初めてではないでしょうか。

JIS規格からの修正箇所は、性別欄について〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄としました。
同欄には「性別」とだけ記載されています。注記として、性別の「記載は任意です。
未記載とすることも可能です」と書かれています。

また、「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の各項目は設けないこととしました。
採用選考でよく問題となるのが、「通勤時間」です。これには通勤交通費がかかわってきますので、本来明確にしてほしい部分です。

性別欄に関しては、LGBT当事者を支援する団体から、厚労省と同協会に対して性別欄の削除なとを求める要請があったとされています。
昨今、性別がよく分からない?応募者もいるのではないかと思います。
女性と考えて採用したら男性だった、というマンガのようなこともないとは限りません。

いわゆるトランスジェンダー側の問題もあります。
履歴書やエントリーシートで性別欄があると戸籍性で書くべきか、自認している性別で書くべきか、問題となるケースがあるようです。
一般報道では、履歴書記載の性別と外見が異なることを理由に内定を取り消されたケースがあるらしく、性別欄をなくす署名活動が行われたとされています。

性別、通勤時間、配偶者の有無などは、確かに人物本人の職務能力とは直接的にはかかわりがないかもしれませんが、採用担当者としては収集しておかなければならない情報です。記入欄がないからといって、確認しないわけにはいかないでしょう。

今回の厚労省の履歴書様式例は、当然にして利用についての法的拘束力はありません。
どの様式例を使用するかは個別企業が判断して良いとしています。
つまり、公正な採用選考の周知・啓発は法律に基づくものではなく、企業の理解に基づいて行っています。
ただし、就職差別につながる項目を含めないよう留意が必要です。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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