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令和元年の安全衛生を振り返る|「ちょっと言わせて」

平成が終わり、令和が始まった2019年。今年も産業安全衛生界では、さまざまな出来事がありました。本誌のバックナンバーを眺めながら、思いつくままに所感を述べていきたいと思います。

まず、本年のはじめに大きなエポックとなったのは、安全帯に関する規格の改正です。
2月1日から6.75mを超える高さで作業する場合は、原則としてフルハーネス型の墜落制止用器具を使用することになりました。
ここで問題となったのが、特別教育です。最初のことですから、教育の対象となる人がたくさんいたようでした。事業場では順次、教育を実施していきましたが、対象者が多いため渋滞があったと聞いています。

マスコミ的には「墜落制止用器具」という耳慣れない言葉に戸惑いを感じたものです。とくに「見出し」では誌面にスペースがあり、「墜落制止用器具」では7文字も使ってしまいます。
短い言葉で分かりやすく伝えるのがマスコミの使命ですが、どう縮めようかと記者間で議論となり、「墜制」とか「墜制器具」とか今考えると、突拍子もない案もでたものです。
墜落制止用器具はあくまで法令用語なので、安全帯のままでいいという意見もでましたが、できるだけ法律に近づけたいと悩んだものでした。結局は「安全帯」で落ち着いていますが…。

また、ダイバーシティが叫ばれる時代、外国人や高齢者といった労働力が求められる時代となりました。
建設現場では、いまや外国人の力なしでは、現場がまわらないとさえいわれています。少子高齢化から高齢者も貴重な戦力です。
ビルメンテナンス業など産業によっては、労働者の多くが高齢者となっています。企業は教育の充実など対策を図っている一方で、災害防止団体でも力を入れています。一例をあげると、中災防、建災防では安全標識を刷新しました。図記号を中心としたデザイン、他言語表記の記載など見やすいものとなっています。
今後、さまざまな労働力に対しての安全対策の充実が求められていくでしょう。高齢者の災害防止のガイドライン策定については、議論が進められているところでもあります。

少子高齢化といった労働力不足の問題は、働き方改革に通じます。
今年度から本格的に始まった働き方改革ですが、まずは「一段階」といったところでしょうか。
今後中小企業にも広がることから、労働災害防止の面にも大きく影響することは論をまちません。

最後に今年議論が白熱したのが、「手すり先行工法の義務化」です。
来年も引き続き、話し合いが進むことと思いますが、その行方は非常に気になるところです。

来年も皆様によりよい安全衛生情報をお送りできるよう、編集部員一堂、精進して参りたいと存じます。

安全スタッフ編集長 高野健一

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