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Label pick up! Orindal Records

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2011年に、Casiotone for the Painfully Alone、Advance BaseのOwen Ashworthが立ち上げたアメリカ、シカゴのDIY・インディペンデント・レーベルOrindal Records

主宰オーナー、Owenのバックグラウンドでもあるエレクトロニカな実験的な音楽から、インディーロック、アンビエント、フォークなど、幅広いジャンルの音楽をカセットやレコードでリリースしています。

Orindalリリースの音楽たちを聴いていると、ぼんやりとそのレーベルカラーが浮き上がってきます。穏やかで、懐かしい感じがして、それでいて新しくて… 。また、こだわりのパッケージも愛らしいものが多く、つい手元に置いておきたくなるようなものばかり。当店でもレコードやカセットを取り扱っています。

そんなOrindal Recordsの音楽たちを少しだけ、Rodentia Collective 目線でピックアップしてまとめてみました。(各見出しをクリックすると、商品ページを見ることができます。)

Our Cat / Advance Base

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Owen AshworthのプロジェクトAdvance Baseの2011年発売7inch。2013年にボーナストラック”Christmas In Prison”(カントリーミュージシャンJohn Prineのフルバンド・カヴァー)を追加して2013年にリイシュー。

エレキピアノ、ドラムマシン、ヴォーカルという非常にシンプルなサウンド。それがまた人懐こい猫のようで一度聴くだけで虜になってしまう。 
可愛らしいワルツの「Our Cat」は彼の飼っていた猫がいなくなってしまった時の実話。MVもぜひ見て欲しい。

Is it really a secret? / Moon Racer

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エレクトロニカ・プロジェクトCasiotone for the Painfully Aloneの意思を継いだといっても過言ではない、アメリカはノースカロライナ出身の宅録アーティストautumn e.によるベッドルーム・ポップ・プロジェクトMoon Racerの2018年発売作品。

”from my bedroom to yours”というメッセージとともに、彼女のカシオトーンから産まれた、チープでファジー、そしてlo-fiなそのサウンドは、ふわふわと浮かんでは消える雲のよう。ジー…とかザー…とかうノイズが小さく入っているのもアナログの醍醐味。なんだかアナログな音って不思議な安心感がありますよね。

カセットは、キュートなマゼンタカラーにホワイトのインクで印刷されている。歌詞カードは両面カラー、色使いやデザインからもこだわりが感じられるような作品。

Delicate / Hello Shark

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シカゴのSSW、Lincoln Halloranのインディーロック、ソロ・プロジェクトHello Sharkの2016年発売の3rdアルバム。インディーロック、アコースティックそしてフォークトロニカな柔らかいサウンドに、彼の日常を描いた歌詞。温かさ、癒し、そんなワードが頭に浮かぶ。チープでローファイな音って、なんとなく懐かしさを感じますよね、そして安心感も一緒に連れて来てくれる。

タイトルの『Delicate』が表しているように、丁寧に、繊細に、柔らかな音楽が集まって出来上がったレコード。時折使われているカシオトーンのビートが心地よく、全身の力が抜け、ゆったりとした時間が流れる。音楽って派手さだけが全てじゃない。一生聴き続けることのできる音楽ってこういうもの。

There’s Always Glimmer / Gia Margaret

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アメリカはシカゴのインディー・フォーク系SSW、Gia Margaretの2018年にOrindal Recordsよりリリースした1stアルバム。レコードに針を落とし再生ボタンを押したら、あなたは必ずGia Margaretと、このレコードを好きになるでしょう。

フォークトロニカ、シューゲイズ、スロウコア。ピュアなフォークにこのようなエッセンスを散りばめ、どこか影のある美しい歌声で丁寧に歌をのせる。自身の音楽を”Sleep Rock”と呼び、それぞれ個性の違った色で光る宝石のような曲が収録された、美しくも苦みのある12曲。

綴られた歌詞には、愛する人が去ってしまった後の物語があって、単純に美しいだけで語りたくないのが彼女の音楽。

Mia Gargaret / Gia Margaret

シカゴのインディー・フォーク系SSW、Gia Margaretの2020年発売作。フォークやエレクトロニカを中心とし、美しい歌声で丁寧に歌を乗せ作られた前作『There’s Always Glimmer』とは全く異なる、ほとんどの曲がインストという作品。シンセサイザー、ギター、ピアノ、そしてフィールドレコーディングなどにより構成された。

彼女は病により1年近く歌う事ができなかったのだ。そのため、シンセサイザーを中心に曲を製作。イギリスの哲学者アラン・ワッツの講義をサンプリングするなど、かなり精神世界へと近づいた内容。また、このレコードはどんなセラピーよりも彼女自身の不安を和らげてくれたそうです。

Rooms With Walls and Windows / Julie Byrne

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ニューヨークのフォーク・アーティストJulie Byrneの2014年発売作品。
フィンガーピッキングが織りなす優しい音色のアシッドフォーク。それとは対照的に、落ち着いているが強さを感じさせる低めのヴォーカル。ふわりとしたリヴァーヴ感に、全てが包み込まれる。声の深みと表現力に、思わずため息が出る。

アンビエント・ミュージックのようなあまりの静寂さに、聴いていると時間を忘れてしまいそうなレコード。

録音は全曲ライヴ音源、彼女が自らギター、キーボードを演奏したものだそう。彼女の息遣いがリアルに聴こえてくる。是非、レコードでどうぞ。

Everything Pale Blue / Annie Hart

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アメリカの3人組インディーポップバンドAu Revoir SimonのキーボーディストAnnie Hart の2021年発売作。4トラック約32分の生粋のアンビエント・ミュージック。

アナログシンセサイザーの良さを最大限に感じる音ができるのが「Sun in the Dark」。電子音に、「温かい」という言葉をつけるのはおかしいか?いや、おかしくはない。私たちはそれをBrian Enoで体験しているし、では言いたいことは、じゃあイーノを聴けば良いのでは?というつもりも一切なく、インディーポップバンドのキーボディストが言わば正反対のこのようなアンビエント・ミュージックを2021年にソロで制作しているという所が非常に面白いのだ。

time is being / Jill Whit

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アメリカのソルトレイクシティのクリエイティヴ・アーティスト(SSW、タトゥアー)、Jill Whitの2021年作品。1年間の隔離生活を記録した写真、ドローイングを記したフルカラー128ページのZINE付き。

ベッドルーム・アンビエントと表現できるサウンドは、常に生物(いきもの)たちが穏やかでいられるテンポで、ゆるやかに流れていく。シンセサイザー、ギターの音色が、頬に触れる風のように心地よい。


息を吸って吐くように。自然の流れに身を任せて聴いてほしい。内側に籠り切りたくなるのは、自分だけじゃないのだ。私たちも、Jillのように前を向いて、歩き出そう。少しずつ取り戻していこう。

Waking the Dreaming Body / Karima Walker

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アメリカ、アリゾナ州ツーソンのSSW、Karima Walker の2ndアルバム。Karima Walkerは、フォークとアンビエント・ミュージックを行ったり来たりしている。まるで現実と夢を行き来するかのように。アンビエントという名の橋は、現実から夢へと繋がる掛け橋だ。

ヴォーカル入りの曲と、インスト曲が交互にやってくる。まるで、波が寄せては返すように。彼女の歌声の余韻は、このアルバムを再生しているあいだ、ずっと残っている。

ヴォーカル曲は、優しく、でも彼女の強い意志を感じるようだ。これは瞑想に近く、 心がゆっくりと浄化されていくような感覚。特にタイトルトラック「Waking the Dreaming Body 」は、クラシックフォークの影響を垣間見せ、あたたかな心の安らぎを与える。

I Was Trying to Describe You to Someone / Wednesday

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アメリカはノースカロライナ、アッシュビルのシューゲイズ・インディーロックバンドWednesday。最初、Orindal Recordsが取り扱うには珍しいサウンドだな…と感じたが、よくよく聴いてみるとOrindalらしい、フォークやカントリーさも見え隠れしているサウンドであった。レーベルに、新しい風が吹いた瞬間。

ギター・ヴォーカル、リードギター、そしてペダル・ギター、ベース、ドラムというとてもユニークな構成。シューゲイズやノイズ、インディーロックと混沌としたサウンドだが、柔らかさも持ち合わせている。

ギターの不協和音や歪みが響く中、ヴォーカルのなんとも言えない柔らかさがクセになる。グランジ気味に攻めた曲もあれば、ゆるやかに穏やかに流れる曲もある。あれ、もしかしてこのレコード、とても良いのでは…?と、気がつく。地元アッシュビルのインディー・シーンでは多くの支持を得ているそうなので、これから外の世界に名が知られるのも時間の問題。

いかがでしたか?8月には、上記で紹介したWednesdayの新作がリリースされるとのアナウンスがありました。とっても楽しみです。これからも、Orindal Recordsの音楽を取り扱っていく予定なので、是非楽しみにしていてください!

Orindal Records公式ページはこちら
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