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2022J1第33節 横浜F・マリノスvs浦和レッズ プレビュー 〜Last HOME GAME~

大学院生の赤松先輩と20歳の青人は同じフットサルサークルの先輩後輩。マリサポの同志である2人は、会うといつもマリノスの話をする。

【プロローグ】


青人:
今季最後のホームゲームですね!

赤松:
早いもんだな。

青人:
そして相手は浦和です。

赤松:
うむ。

青人:
現在8位ですね。ACLではFINALに進んでいます。

赤松:
ようやくメンバーが固定されて成熟してきた8月っていう時期的なめぐり合わせもあったかなと思うよ。リーグ戦でも点が取れていたしね。ただ、それがなかなか連勝に繋がらなかったよね。

青人:
一時期はACL圏内が狙える位置にもいましたよね。

赤松:
だけど、目先の結果が出なかった。原因として、怪我人で選手がそろわなかったりとか色々あるんだろうけど。

青人:
ホーム開催だったとはいえ、かなりハードスケジュールだったじゃないですか?あのACLも。

赤松:
うん。

青人:
そういうのが蓄積されてたりするんですかね?

赤松:
あるかも。でも、成績が振るわないのは、それだけじゃない理由があるかなと。

青人:
まあそうでしょう。

赤松:
シーズン通してみると、縦に速く攻めたいっていうのは一貫して感じるところ。ここはどの試合も攻撃方法として共通している。
高い位置で奪ってショートカウンター、後ろから繋いで前後分断の速攻って感じで。

青人:
だけど、それが得点に結びついていないですよねぇ。

赤松:
そう。まあユンカーの稼働率が上がらなかったとか、どうしようもない問題はあったと思うけど、とにかく難しいシーズンになっちゃったよね。

青人:
そんな中でシーズンも終わりが近づいています。この試合って彼ら的にはどんなモチベーションで臨んでくるのかってところが難しいとは思うんですけど。

赤松:
目の前で優勝決められたくないとかはあるだろうけど、一つ重要な要素があるかなと。それは彼らにとって、ACL FINAL前の公式戦がこのマリノス戦と最終節の福岡戦しかないってこと。

青人:
たしかに、だいぶ遠いですけどねw

赤松:
だけど、ボールを持って押し込んでくる相手とのアウェイゲームって意味ではかなり貴重なテストマッチになるはずなんだよ。

青人:
そうか、、"仮想アルヒラル"みたいなことですよねw

赤松:
だいぶおこがましいけどなw

青人:
でも公式戦でそれをテストできる機会はもうないと考えると、その位置づけはありますよね。

赤松:
んね。必然的に選手起用もACL FINALを見据えたものになるだろうし、そうするとややチャレンジングなトライもしてくるかなと。
この要素は、実際そこまで表面化するものではないかもしれないけど、浦和がやってくることを読み解くうえで一つヒントになると思ってる。

青人:
そうですね!



【最近の浦和レッズ】


青人:
それを踏まえて、最近の浦和はどうです?

赤松:
直近の試合でユンカーとリンセンを2トップに置いているんだけど、これがまさにACLを見据えていそうだなと。

青人:
中東の屈強フィジカル持ちセンターバックと伍せるアタッカーを並べているってことですかね?

赤松:
そうそう。それに伴って、前進方法が少し変化した。

青人:
変化ですか?

赤松:
今までは前線がポジションチェンジを繰り返す中でズレを作るやり方をしてきたけど、よりシンプルになった印象がある。長いボールを使って2トップに当てるケースが多いな。

青人:
より現実的になったのかな、、

赤松:
というよりは、起用する選手の特徴に応じたマイナーチェンジの範疇だと思う。2トップに当てるときはロングボールってだけ。あと、サイドハーフに入る大久保と小泉もポイントなのよね。

青人:
ほうほう、と言いますと?

赤松:
大久保はドリブルが得意な選手だから大外で受けて運ぶのに対し、小泉は中央寄りの立ち位置を取ってゲームメイクを担う。実質アシンメトリー構造の4-3-3っぽくなるのかなと。

青人:
なるほど。

赤松:
特にこの小泉が中央寄りの立ち位置を取るのがポイントで、2トップめがけたロングボールから生じたセカンドボールの回収役にもなる。

青人:
ただ闇雲にロングボールを放り込むわけじゃないんですね?

赤松:
そうね。というか、ロングボールの頻度自体は自分の想定よりもかなり少ないよ。闇雲じゃなくて、ちゃんとした設計のもとにロングボールを使う。
そのためか、むしろ後方で時間を作って確実性の高いビルドアップを試みる志向はかなり強い。逆に広島戦は、それができなくて苦しんだ部分が大きかった。

青人:
えーっと、、後方で時間を作れなかったってことですかね?

赤松:
そう。広島のオールコートマンツープレスに対して、メンバーも江坂と小泉を最前線に置くことで前線でズレを作りたかったんだけど、結局ゾーン1から脱出することができずに失点を重ねた。
それはなぜかというと、GK+DF陣のとこで時間を作れなかったから。

青人:
でもあの試合って、時間を追うごとに浦和が押し返したように見えたんですが、、前半もチャンスを作れていましたよね?

赤松:
うん、時間の経過とともに広島のプレス強度が弱まって、GK西川らが多少余裕をもってボールを持つことができるようになった。その状況になってやっと本来やりたいことが形になり始めた。

青人:
本来やりたいことっていうのは?

赤松:
江坂と小泉が降りてきて、空いたスペースにボランチの伊藤やサイドの大久保が顔を出すことで広島のプレスを掻い潜ること。

青人:
なるほど。

赤松:
んで、2トップがユンカー&リンセンになってもそこは変わらない。
プレスをかけられても、サイドバックが降りたりボランチの岩尾が降りながら後方で時間を作るために繋ごうとする。相手を引き込むことで、前後分断を引き起こさせるためにね。

青人:
前回対戦時も浦和のビルドアップをなかなか捕まえられなかった記憶があります。

赤松:
そうね。あのときは、左サイドバックの明本の立ち位置を動かすことで見事にマリノスのプレスを空転させてきた。あれを見て、明本はリカルドにとって外せない選手だと思ったんだよ。何かを変えたいときに便利な動かしやすい存在というか。

青人:
ピッチ上の監督みたいなことですか?

赤松:
まあ極論言うとそんなとこ。めちゃくちゃ信頼してる存在ね。

青人:
だけど、最近明本はベンチスタートが続いていますよね?

赤松:
そう。まあ岩尾憲がいるしね。あと今の浦和はメンバーを固定しがちで、各ポジションにスペシャリストを置いていてその相互作用や練度が高まっているのもあって、明本がなかなか出られない状態ではある。まあ途中出場で必ず起用してくるし、相変わらず信頼は厚い。

青人:
そうなんですね。逆に守備はどうです?

赤松:
全般的にはさっきも言ったように、速攻で差しきるスタイル。だから、そのための守備、というか非保持の考え方は、なるべく高い位置でボールを奪って速く攻めたいってところになるんだと思う。

青人:
なるほど。だけど、わりと自陣に引いて守る場面が多くないですか?

赤松:
そうだね。高い位置で奪いたい志向は持ちつつも、そこの執着は強くない。奪えそうだったら行くけど、あまりリスクは冒さない。伊藤が前に出て行っても、岩尾は必ず後ろに残っているとかね。

青人:
じゃあ撤退で守ることも込みで考えているんですね。

赤松:
むしろ、ゾーン2以降の撤退守備ブロックの落とし込みもしている。
同じ濃度で。

青人:
☆☆☆の単語と☆の単語を同じ熱量で覚えるタイプですねw

赤松:
わかりやすいようでわかりにくい喩えだなw

青人:
すみませんw

赤松:
このチームのプレッシングは、中切り外誘導が原則。特徴としては、人に付く傾向が強いから、相手のビルドアップ時の陣形に当てはめる形になる。

青人:
陣形に当てはめるとは、、?

赤松:
後方に4枚が並ぶ陣形に対しては、2トップ+2人のサイドハーフが一直線に並ぶとかね。

青人:
なるほど。

赤松:
例えば鳥栖の3バックに対しては、2トップ+ボールサイドのサイドハーフが前に出て奪いにいくとかやっていた。この試合の2点目は、そういう形から高い位置で奪って小泉が仕留めたゴールだったんだよ。

青人:
まさに狙い通りですね!

赤松:
あとは、ゾーン2からゾーン3への移行の部分も興味深い。

青人:
ほう。

赤松:
ゾーン2では、かなり前向きな守備をする。

青人:
前向きな守備というと?

赤松:
自分の目の前にいる相手に対して喰いつくってことだね。

青人:
なるほど。

赤松:
マンツーベースの守備だとこうなりやすいのはある。この段階では、コンパクトな4-4-2。面白いのはそこから先。

青人:
ゾーン3ってことですかね?

赤松:
そう。ゾーン3に入るとボールサイドのサイドハーフが最後方まで下がると。

青人:
5バックになるんですか?

赤松:
うん。背景にあるのは、特にルヴァンカップ準決勝のセレッソ戦でかなり大外からのクロスでチャンスを作られた結果、大敗を喫したこと。その後の広島戦も同様に。

青人:
明確なトラウマ体験があったってことか、、w

赤松:
まさしく。それもあってリカルドは、センターバック2枚をボックス内に残したいらしい。ちゃんとクロスを跳ね返すための枚数確保だね。あとは、ゴール前のニアゾーン・ポケットを空けたくないのもかなり強く感じる。

青人:
前回対戦時のマリノスの1点目ってまさにそんな形じゃなかったでしたっけ?
小池龍太が走り込んで左のニアゾーン攻略→クロスから水沼宏太が決めるっていう、、

赤松:
あ、そうそう!アレをされたくないのよ!

青人:
なるほど。

赤松:
あとは大外からのクロスも防ぎたい、というかフリーで足を振らせたくない。このように、各レーンに人を配置することで、相手のあらゆる攻撃パターンを封じたいんだと思う。

青人:
かなり神経質ですね。

赤松:
ちょっとすごいよねw



【試合展開の予想】


青人:
さて、どんな試合になりそうですか?

赤松:
まずこれまでの浦和戦と同様に、基本的にはマリノスにボールを持たせてくるよね。

青人:
ああ見えてボール保持にはこだわらないですからね。

赤松:
ただし、2つのチャレンジはしてくると思っている。

青人:
2つのチャレンジですか、、

赤松:
まずはビルドアップのところ。これまでの試合と同様に、後方で時間を作ろうとする。

青人:
なるほど。ユンカーやリンセンにシンプルに当ててはこないだろうってことですね?

赤松:
いや、当ててくるよ。当ててくるけど、その前段階としてマリノスを引き込みたいはずなんだよ。これは攻撃の成功率を上げるためでもあるし、自分たちがある程度保持する時間を作ることで、押し込まれる時間を短くできるメリットがある。

青人:
そうか、、一石二鳥ってわけですね。

赤松:
ただし、これはマリノスにとってもチャンス。高い位置でボールを奪えれば一気にショートカウンターで刺せる。

青人:
となると、相当な圧力が必要ですよね?
浦和に落ち着いてビルドアップをさせないために。

赤松:
そうだね。ここの注目ポイントは岩尾の立ち位置。ここが状況を見て試合中に変わるから、岩尾を見ていれば浦和が準備してきたものや狙いがわかる。DFライン中央に降りるのか、ボランチの位置にとどまるのか。

青人:
わかりました、岩尾をガン見しておきますw
で、もう一つのチャレンジとは?

赤松:
プレッシング。外に誘導して奪うっていう狙いでここはかけてくるかなと。

青人:
マリノス的にはそれってどうですか?

赤松:
まあ奪われたら即刻大久保やユンカーに走られると考えればリスクは大きいよね。マリノスが望む押し込み攻撃の時間を長くするためにって考えると、ゾーン1ないしはゾーン2であまりわちゃわちゃしたくない。

青人:
早くゾーン3にたどり着いて、そこから無限に即時奪回を繰り返したいですよね。一生俺のターン!みたいな。

赤松:
問題は、ゾーン2からゾーン3への前進方法をどうするか。
ここがマリノス視点の、この試合の鍵になるわけで。

青人:
エウベルのカットインじゃないんですか?

赤松:
名古屋戦以降の文脈で言うと、ちょっと変わってきているね。
例えば名古屋戦では、①中央前進→②左チャンスメイク(アシスト)→③右フィニッシュっていう3段階だった。

青人:
ほう、なるほど。

赤松:
これが夏場の連勝期だと、①左前進→②右チャンスメイク(アシスト)→③中央フィニッシュの3段階。

青人:
シーズンの中で、攻撃の形が変わっていると?

赤松:
そう。これが単一の型のままシーズンを過ごしていないからこそ、マリノスはこの位置にいる。相手の対策に遭いながらも、時期ごとに異なる型を会得してそれを上回ってきた。

青人:
今回はどんな型で挑むのでしょう?

赤松:
わからない。なぜなら磐田戦敗戦後、17日間のインターバルがあったから。

青人:
そうか。また新しい攻め方を落とし込んでいる可能性があるわけですね。

赤松:
うん。こればかりは練習を見ていないからわからないw

青人:
まあでもパイセンなら予想つくでしょう?

赤松:
無茶を言うなw
まあでも浦和がやられたら嫌なことって観点で予想してみようか。

青人:
そうしましょう!浦和のブロックの特徴ですよね。

赤松:
さっきも言ったように、浦和は押し込まれると5バック気味になるから、その手前のスペースは使えるかなと思うよ。

青人:
いわゆるペナ角付近ですか?

赤松:
そうそう。

青人:
じゃあサイド起点で攻めたいってことですね。

赤松:
うん、浦和がクロスからの攻撃を怖がっていることを考えても、チャンスメイクはサイドにするのが無難だね。

青人:
チャンスメイクはどっちのサイドが良いのでしょう?

赤松:
直近で右前進の練度を高めていることを考えると、そこから逆サイドに振って左でチャンスメイクかな。
右サイドで密集を作って突破→左に展開して永戸のクロス→西村のシュート!ゴール!!みたいなのが理想だねw

青人:
あー良いですねぇ。妄想が捗る、、w

赤松:
とにかく直近2試合勝てないどころか、点すら取れてないからな、、
こういう妄想でもしていないと本当に点の取り方を忘れそうだよw

青人:
たしかに。まあ2試合分溜まってますから、点が入ったら思いきり喜びましょう。

赤松:
そうだね。今季ホーム最終戦だし、良い締め方をしたいね。

青人:
あと、今年はどんなステキなスピーチを我らがキャプテンがしてくれるのか、楽しみです!

赤松:
心して偉大な言葉に耳を傾けよう!!

青人:
はい!!



To Be Continued・・・

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