見出し画像

世界ではヘッドライナー級!何故日本では人気がない?バンド3選

今回は、世界的には様々なフェスでヘッドライナーを務めるほどの人気があるにも関わらず、なぜか日本では世界に比べて不釣り合いなほど人気が低く、来日公演もあまり行われなくなってしまった。そんなバンドを3組ご紹介したいと思います。

少しでも日本での人気向上の一助になれば幸いです。

Arcade Fire

「エモーショナル」と云う言葉 彼らの為にあり

画像1
グラミー賞受賞時の写真

最初に紹介するのはArcade Fireです。2013年デビュー、2014年リリースの1stアルバムが主要メディアで平均90点と極めて高い評価を得るなど、華々しく迎えられた彼ら。

ライブバンドとしての実力も高く、世界中のフェスでヘッドライナーを務め、多くの観客を虜にしてきました。

何を隠そう筆者(ロココ)の最も好きなバンドの一つで、このバンドを紹介するためにこの記事を書いたと言っても過言ではありません。(約1500文字を操作ミスで消してしまうという悲しみを乗り越えて)

それでは、その1stの紹介から行きましょう。

1stアルバム「Funeral」

画像3

上述のように世界中で高評価を獲得した本作。様々なメディアの00年代ベストアルバムでTOP10にランクインしている大名盤です。

先ずはその本作から、彼らの代表曲を聴いてください。

同作収録「Wake Up」

画質が悪いのはご愛嬌。観てもらうと分かる通り、かなり大所帯のバンドです。大好きな筆者ですら、メンバーが何人いるのかよく分かっていません。

Alternative rockを基調としながらも、アコーディオンやヴァイオリンなど様々な楽器を駆使した、祝祭的でクラシカルなアレンジが特徴的ですね。序盤の「あ~あ~あぁあぁ~」が、ライブでは大合唱になることでも人気のこの曲。日本で言うサビもこのシンプルなワンフレーズで押し切ってしまいます。

Somethin' filled up
My heart with nothin'
Someone told me not to cry

何かでいっぱいになった

僕の心が無でいっぱいになった

誰かは言う 僕に泣くなって

悲しくも印象的な歌詞ですね。その後に続く歌詞も大好きなのですが、全編紹介しているとそれだけでいっぱいになってしまうので、止めときますね。

その後も悲しみを綴りながらも、”Children, wake up”と高らかに宣言します。そして、この曲を締めくくる歌詞がまた良いんです。

With my lightnin' bolts a-glowin'
I can see where I am go,goin'
You better look out below!

僕の稲妻が光り輝いて

見えたんだ 僕の進む道が

でも足元には気をつけな!

前も見えないほど暗く、雷の鳴り響く様な嵐の中、それでもその稲妻の輝きによって、自分の進む道が見えるようになる。とてもいい歌詞ですね。

何度この言葉にこの曲に救われたことか。今も様々な状況で苦しんでいる、そんな人々に贈りたい音楽です。

同作収録「Neighborhood #1 (Tunnels)」

筆者の3本の指に入るくらい好きなアルバムなので、全曲紹介したいくらいな気持ちなんですが、長くなるのでこのアルバムからはもう一曲だけにしようと思います。

「Neighborhood #1 (Tunnels)」では、静かにアルバムの幕開けを飾りますが、鳴らされる楽器が増えていくのに合わせて、徐々にボルテージは上がっていきます。煌びやかながら哀愁漂う曲調にメロディ、この一曲だけでもこのバンドの魅力が詰まっていますね。まるで「エモーショナル」と云う言葉がこのバンドの為にある言葉かのようです。続く「Neighborhood #2 (Laika)」では、その上がったボルテージを引継ぎ、印象的なアコーディオンのメロディとスタッカートするストリングスが跳ねるように曲を駆動していきます。それに負けじと叫ぶ様に歌うボーカルがカッコいいです。Laikaとはソ連によって世界で最初に宇宙に飛ばされた動物である犬の名前です。宇宙船の設計上生きて帰ってくることはありませんでした。「Une Année Sans Lumière」は、美しいギターのフレーズに癒される箸休め的な曲かと思いきや、最後には激しいギターでちゃんと盛り上がって次の曲に繋ぎます。「Neighborhood #3 (Power Out)」疾走感のあるビート、跳ねる鉄琴、エモーショナルなボーカル、かき鳴らされる数々の楽器。このアルバムのハイライトの一つでしょう。「Neighborhood #4 (7 Kettles)」は、一転してまた美しい一曲です。背後では複数のケトルの鳴るような音が鳴り続けています。「Crown of Love」こちらも美しいバラードです。ピアノのメロディ、オルガンとバスドラムの刻むビートに誘われて、メロウなストリングスがやってきます。徐々に盛り上がってきたかと思うと、突然のダンスパートへと雪崩れ込んでいきます。次は「Wake Up」...

はっ、危ない危ない、全曲語ってしまう所でした。大好きなアルバムなのでつい熱がこもってしまいました。気を取り直してもう一曲だけ。

同作収録「Rebellion (Lies)」

こちらもライブで盛り上がる人気の曲です。「Power Out」からこの曲へと雪崩れ込む様は最高です。躍動感あふれるライブバージョンも、是非聴いてもらいたいです。彼らのライブバンドとしての実力を実感できるでしょう。

シンプルながら秀逸なベースライン、打ち鳴らされるドラムにピアノ、MVのように一緒に行進したくなりますね。徐々に盛り上がりながら頂点へと達します。ハーメルンの笛吹き男を題材にしたMVですが、曲にも魔術的な魅力が宿っていますね。Lies! Lies!

先ほどから何度も述べているように評価のとても高い本作。ほぼ全曲紹介してしまったほど名曲ぞろいの名盤なので、是非全編聴いてみてください。

その後、パイプオルガンを使用するなど、1stを発展させながらもダークな2nd「Neon Bible」(こちらも高評価)に続いて、2010年に送り出された3rdアルバムがこちらです。

3rdアルバム「The Suburbs」

画像3

本作も各種メディアで高評価を得たほか、なんとインディバンドとしては異例の、グラミー賞の数ある部門の中でも最高賞である年間最優秀アルバム賞を獲得という、快挙を成し遂げました。

00年代を通じて数多くのインディバンドが登場しては活躍しましたが、本作がその頂点として語られることも多いです。その言葉が示す通り、Arcade Fireを筆頭に様々なバンドが引っ張ってきた00年代インディシーンの隆盛は、残念ながら10年代には下火になってしまいました。

同作収録「The Suburbs」

本作の表題曲。その「郊外」というタイトルの通り、郊外(日本人には田舎と言った方がイメージしやすいでしょうか)とそこで育った子供時代をテーマにしたアルバムです。

イントロのピアノの楽し気なメロディが良いですね。哀愁的で牧歌的な曲ですが、中盤から少しづつ不穏な空気が漂ってくるアレンジになっています。序盤ポップに聴かせつつ、終盤には不安な気持ちにさせる。いいアルバムの導入になっていますね。

同作収録「Ready to Start」

アルバムでは「The Suburbs」の不穏さを引き継ぐ形で始まるこの曲。冒頭のギターとピアノのフレーズが不穏さを掻き立てます。印象的な歪んだベースリフによって駆動され、疾走感のあるカッコいい曲ですね。"Now I’m ready to start"と郊外からの脱出を宣言します。

同作収録「Rococo」

こちらはライブ映像です。例によって、静かに始まりますが徐々に盛り上がって行きます。なんだか厳かで怪しい雰囲気が漂っていますね。

アコースティックギターとオルガンによって鳴らされるコード進行が良いです。シンセでしょうか、途中で「ムーン」とベンドするのが可愛らしいですね。前半装飾的に挟まれるヴァイオリン、終盤主旋律を担うヴァイオリンが素晴らしいです。最高に気持ちいいですね。

若者達によって歌われているという、繰り返される”Rococo”と言う不思議な言葉が印象的ですね。バロックポップ的名曲です。

現代の若者の体制順応主義についての曲。大きなテーマは、若者たちが「ロココ」などの言葉を使って、その意味を知らずに教養や芸術性をアピールしていることです。ロココとは、18世紀にフランスで流行した芸術様式のことです。この時代は、フランスの市民が芸術品に多額の費用を投じるほど裕福であったにもかかわらず、実際には趣味や教養があまりなかったと批判されることがあります。その延長線上にあるのが現代であり、自分の楽しみのために美術品を鑑賞するのではなく、外見のために美術品を消費することが奨励されています。

GENIUS

郊外に嫌気がさして脱出し、時がたちそこで育った子供時代を懐かしみつつ、アルバムの最後はこんな言葉で締めくくられる。

If I could have it back
All the time that we wasted
I’d only waste it again

The Suburbs (Continued)

もしあの頃に戻れるのなら

僕たちが全て無駄にしたあの頃に

やっぱりもう一度ただ無駄にしたい

無駄に思えた子供時代も、かけがえのないひと時だったと気付き、もう一度戻って無駄にしたい。子供時代が懐かしくなりますね。

このアルバムも素晴らしいコンセプトアルバムなので、是非全編聴いてみてください。

さあ、まだ一バンド目だというのにだいぶ長くなってしまったので、そろそろ締めたいところです。

続く4thアルバム「Reflector」は音楽性を刷新し挑戦的な作品だったため、これまでの作品より多少賛否は別れたのですが、こちらも評価の高い作品となっているので、最初の三作品を聴いた後に聴いてみてください。

2022年には新作のリリースが目されているので、そちらも楽しみですね。(一部ファンの間では5thは無かったことにされていますw)

来日公演に関しては3rdの時には行われず、4th時に2014年のフジロックにヘッドライナーとして出演したのですが、この年の動員数は例年より低かったようで(Kanye Westのキャンセルによる影響も大きかったと思われるが)、5th時には来日公演は行われず、今後も来日が危ぶまれる状況です。

是非日本でももっと人気を獲得し、現在最高峰のライブバンドの一角である、Arcade Fireのライブを生で体感したいものです。


Florence + The Machine

美しさとカッコよさを兼ね備えし壮大なバンド

画像4

さて、続いて紹介するのは2008年デビューのFlorence + The Machineです。バンド名がもうカッコいいですね。このバンド名から皆さんは、どんな音楽性を想像しますか?(+はAndと読みます)

ここまででだいぶ記事が長くなってしまっているので、手短に行きたい所ですが、このバンドも筆者の大好きなバンドであるため、どうなることやら。

2009年リリースの1stアルバムはUK、US共に徐々に人気を広げ、UKでは最終的にチャートで1位を獲得しました。

彼女達も今や世界中のフェスでヘッドライナーを務める程の大人気バンドであるにも関わらず、残念ながら日本での人気はほとんどありません。

日本で大人気のゲームシリーズ「ファイナルファンタジー15」で主題歌を務めたことも話題になりましたね。おっ、これで日本でも人気が出るか!と思ったらそうでもなかったですね。残念です。

1stアルバム「Lungs」収録曲「Rabbit Heart (Raise it Up)」

冒頭からハープの音が聞こえることからも分かる通り、このバンドも大所帯なのですが、ボーカルのFlorence Welchが前面に立つことが多く、The Machineの方はバックバンド的立ち位置となっています。

Florenceのパワフルな歌声とパフォーマンス、様々な楽器を駆使した美しく壮大な曲調が特徴のバンドです。ポップでありながらパワフルに歌い上げることでカッコいい曲に仕上がってますね。陰で支えるバンドの力も大きいでしょう。

同作収録「You've Got the Love」

この曲もバラードでありながらも、とても力強くカッコいい曲ですね。ここまで聴いて頂いただけで、彼女のボーカルとしての力量の高さと魅力に気付いてもらえたと思います。そして、ここでもバックを支えるバンドの力量が光ります。タイトで力強いドラムに、幻想的な雰囲気を醸し出しているハープにストリングス、そこにからむギター。美しい。

2ndアルバム「Ceremonials」収録曲「Shake It Out」

彼女達の代表曲です。失恋の歌ですね。

And it's hard to dance with a devil on your back
So shake him off, oh whoa

背中に悪魔を背負ったままじゃ踊れない

だから振り払うの彼を

失恋の歌でありながら、曲調、歌詞共に力強く前へ進むことを促すエンパワメントソングですね。Shake it out! Shake it out!

3rdアルバム「How Big, How Blue, How Beautiful」収録曲「Ship To Wreck」

ここに来てロック色が強くなりました。彼女のしなやかでパワフルな歌声が活きてますね。バンドも大活躍です。鉄琴をはじめ様々な楽器によって鳴らされるリフが印象的ですね。ロックに傾倒しながらも持ち前のポップさ美しさは失っておらず、良いバランスで進化してくれました。

同作収録「What Kind Of Man」

MVが年齢制限で使えなかったので、ライブ映像をご紹介。彼女達のライブバンドとしての魅力も伝えたかったので、ちょうど良かったです。

彼女の美しくもカッコいい立ち姿に、激しいライブパフォーマンス。惚れ惚れしますね。

静謐で美しい冒頭を経ての、荒々しいギターリフ、鋭いホーンが入ってきて、徐々に演奏のボルテージも上がっていき最高潮に達して終わります。最高にカッコいいですね。

4thアルバム「High As Hope」収録曲「Hunger」

つい沢山紹介してしまいましたが、目下の最新作からこの曲を紹介して締めたいと思います。筆者の一番好きな曲です。

美しさとポップさ、カッコよさが高水準にまとまっています。躍動するボーカル、それを優しく包み込む演奏。聴いていると多幸感に溢れてしまいます。彼女の衝動的なダンスも魅力的ですね。一緒に踊りだしたくなる曲です。

ここまで、歴代アルバムからそれぞれ数曲づつ紹介して来ました。一番気に入った曲の入っているアルバムから聴き始めると良いでしょう。と言いつつも、筆者のおすすめは3rdアルバムです。是非聴いてみてください。

そして彼女達の来日公演ですが、2ndリリース後の2012年に一度行われたっきりです。聞くところによると、人入りがあまり良ろしくなかった様です。

その後世界中のフェスでヘッドライナーを飾るようなビッグバンドに成長した今、海外と日本での人気差がここまで開いてしまうと、今後も来日公演は難しいのでは無いかと危惧しています。

この記事を通して一人でもファンが増えることを願います。


The Killers

踊れるアンセム盛りだくさん

画像6

最後に紹介するのはThe Killers。2003年デビュー、2004年リリースの1stアルバムがUSのバンドながらUKを中心に世界中で大ヒットしました。

このバンドも世界中のフェスでヘッドライナーを飾り始めて随分経ちますが、スモールインジャパンの筆頭格ですね。なんと不名誉な。

恥ずかしながら筆者もこの記事で取り上げると決めるまでは、あまり聴いて来ませんでした。しかし、今回改めて聴きなおしてみて良いバンドじゃんと思ったので、紹介したいと思います。

1stアルバム「Hot Fuss」

画像5

こちらが大ヒットした1stです。名盤と名高いですね。

同作収録「Mr. Brightside」

彼らの1stシングルであり、大ヒットを記録した彼らの代表曲です。曲、MV共に煌びやかですね。デビュー時からこのスケール感。印象的なギターのアルペジオに、ダンサブルなドラム、手堅いベースがしっかりと曲を駆動しています。途中から入ってくるシンセも曲に華を添えていますね。素晴らしいニューウェーブサウンドです。

同作収録「Somebody Told Me」

こちらも素晴らしいロックソングです。パワフルで野心的なイントロに続き、カッティングギターとベース、ドラムビートが疾走感を誘います。セクシーなボーカルもいい味出しています。サビは日本でも人気の4つ打ちドラムですね。

さて、世界中で大人気の名盤である本作。是非全編聴いてみてください。

2ndアルバム「Sam's Town」収録曲「When You Were Young」

あらっ、カッコいいですね。Bruce Springsteen風でしょうか。2ndではだいぶUSのバンドらしくなりましたね。1stより重層的になり、更にスケール感を増すことに成功しています。

筆者は2ndの方が好きですね。1st紹介したし、もういいかなと内心思っていましたが、これはもっと掘ってみたくなって来ました。

同作収録「Bones」

なんだかシュールなMVですが、ロマンチックな曲です。冒頭のシンセが可愛らしいですね。伸びやかなボーカルに、賑やかな演奏で楽しい気持ちになります。派手なホーンセクションに耳が行きがちですが、バンドの演奏も情熱的で良いです。

もっと紹介したい曲があるのですが、2ndの曲で紹介したい曲の良い動画がことごとく公式で上がっていないので、紹介した2曲にピンときた方はアルバム本編を是非聴いてみてください。一曲目の表題曲から壮大でカッコいいですよ。「This River Is Wild」もお気に入りです。

1stも名盤ですが、2ndも負けず劣らずの名盤です。筆者は2ndをよりお勧めしたいと思います。

さて、彼らのキャリアは長く、アルバムもコンスタントに出し続けているため、もっと沢山紹介したい気持ちは山々ですが、かなり長くなってしまったので、そろそろ締めに向かいたいと思います。

その後もバンドはヒット作を送り出し続け、その人気バンドとしての地位を確かなものにして行きます。

3rdアルバム「Day & Age」収録曲「Human」

一方日本での人気はあまり伸びず、不幸なことに来日公演も度重なるキャンセルで、更に日本での人気獲得のチャンスを逃してしまう結果となりました。

直近では2018年に武道館での公演があり、前述のバンドよりは来日公演が行われているので、それだけでも羨ましい限りですが、客入りが良ろしくなかったらしく、今後も継続的な来日公演は危ぶまれる状況です。


以上、「世界ではヘッドライナー級!何故日本では人気がない?バンド3選」でした。いかがでしたでしょうか?長い記事となってしまいましたが、ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

この記事を通して、素晴らしいバンドであるにも関わらず、残念ながら日本では埋もれてしまっている。そんなバンド達を発見していただけたら、とても嬉しいです。

そして、既にファンの皆さんは、取り上げたバンドの布教用記事なので、もっともっと日本でのファンを増やす為にも、どんどん拡散していただけると幸いです。

まだまだ未熟ですが、好評でしたらこれからも執筆していきたいと思いますので、スキ、シェア、フォロー等していただけると嬉しいです。

お読みいただき、本当にありがとうございました!

お金はいらないので、スキやリツイート、いいね等のシェアで、記事と筆者を応援して頂けると、とても有難いです。よろしくお願いします。