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SAPコンサルタント数上位10社に見る、市場構造と各社の個人的な評価

事業会社IT部門で業界歴20年の私が、独断と偏見でSAPベンダーを評価します。あくまで個人的な感想ですし、コンサルタントはその個人の能力やパーソナリティによるところが大きいため、必ずしもその会社全体のサービスを表現しているわけではないと思います。しかし、これから新たにSAPを導入される会社さんや、既存のサービスに疑問を持っておられる会社さんには、一つの視点として参考になるかと思います。

日本のSAPコンサルタント数上位10社

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日本全国のSAP認定資格取得数は18,000とのことです。内アビームコンサルティングが4,000以上を取得しておりダントツの1位です。アクセンチュア、IBMと続きますが、その差は2倍以上ありますね。上位10社にあがるこれらの企業はグローバル展開しており、ベースとなる従業員総数が多いです。

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次に割合ですが、上位10社で全体の66%以上を占めており、大手とその他中小が鮮明になっています。SAP社公表のリストに上がってる企業は90社で、リスト外の企業を考慮するとおそらく数百社存在していると推測します。

プライムかサブコンか

業界用語でプライム(一次受け)かサブコン(二次受け)かという言葉があります。大企業のプロジェクトの場合、たとえ大手コンサルが受注しても、稼働可能なコンサルタントが限られているため、補充するために他社にサブコンという形で依頼することが多いです。

おそらくこれら上位10社+αがプライムでプロジェクトを受注し、その他の中小はサブコンで稼ぐことが多いと思います。また、大企業のプロジェクトを受注するためには専属の営業部隊を抱える必要がありますので、おのずと大手がプライムを受注する構造になっています。

費用を抑えたい場合

この構造から費用を安く抑えたい場合、主にサブコンで入っている中小の会社に発注することで大幅に費用を抑えることが可能です。プライムの見積もりには当然営業部隊の人件費が乗っているためです。

ただし以下の注意点があります。
 1.グローバル案件には対応できない(場合が多い)
 2.大規模プロジェクトの知見がない(場合が多い)
 3.プロマネの能力が低い傾向がある(場合が多い)
 4.大手と過去付き合いがある場合には関係性に注意

中小においては、海外拠点にロールアウトしていくようなグローバル案件についてはほとんど対応できる会社がないと思います。特に導入後の保守を対応してくれる中小会社はないと思います。

事業会社側にプロマネの負荷を負える人材がいる場合は、中小の業者さんをうまく使って、プロジェクト費用激安で進めることが出来ると思います。私も過去このやり方で、導入だけ中小の業者さんを使って、保守フェーズから大手に頼むという進め方をしたことがあります。

個人的には中小の業者さんはモチベーションが高いので好きです。事業会社側も一緒に頑張る気持ちになります。

大手におんぶにだっこで行く場合は、金を払えばOK!

全てを揃えたアビーム

SAP認定資格取得数にもあるとおり、ダントツ1位はアビームだと思います。以下が私の評価です。
 1.コンサルタントの能力が高いし、ばらつきが小さい
 2.グローバル案件OK
 3.NEC母体なので日本的な雰囲気
 4.言うほど高くない

迷ったらアビームに頼んでおけばSAP案件は間違いないかなと感じています。ただやはり大手なので料金は高めですが、結構価格交渉に応じてくれます。

とんがっているアクセンチュア

チャレンジングな案件を成功させたい場合はアクセンチュアだと思います。
以下が私の評価です。
 1.コンサルタントの能力がべらぼうに高い人がいるが、低い人もいる
 2.グローバル案件OK
 3.アメリカ式の弱肉強食の雰囲気、チャレンジング
 4.値段が高い、とにかく高い

高くても難易度が高い案件をとにかくクリアして欲しい場合は、依頼するのも手だと思います。ただ費用が高い(泣)

日本的経営の富士通、日立、NTTD、SCSK

しっかりとコミュニケーションをとりながら、確実に物事を進めていきたい場合は、やはり日本の会社がいいと思います。
以下が私の評価です。
 1.コンサルタントの能力は全員平均的
 2.グローバル案件OK
 3.浪花節の雰囲気
 4.値段もリーズナブル

ただ、海外ロールアウトや短期集中の難しいプロジェクトの場合、まどろっこしく感じると思います。また営業部隊が日本的なので充実している(つまり接待)ので、それらが好きな会社さんはおすすめです。

会計ファーム系(PwC、EY、デロイト)

最近はKPMGもERP部隊を創設したようで、会計ファーム系もERPに力を入れているようですね。おそらく会計監査や会計コンサルがAI/自動化で稼げなくなってきているのと、AI/自動化導入のためにERPの知見が必要になってきているためだと推察します。したがって、会計コンサル絡みでの導入以外はあまり強みがないと思います。

まとめ

日本のSAP市場は寡占市場である。プライムに依頼せざるを得ない場合はしかたないが、中小業者さんの活用は面白いチャレンジ。大手のSAPコンサルにも色があるので、使い分けるのが良い。

最後にコンサルに食い物にされないように、強いプロマネとIT部門の醸成が大事だと思います。

以上

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