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U.K. 80s〜 Folk & Irish Celtic

Capercaillie - Sidewaulk (1989)

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 ちょっと島を離れたスコットランドでも伝統音楽は存在しており、距離的な近さからアイルランドと似てくるが、スコットランド伝統音楽からアイルランド(ケルト音楽)に近づいて洗練されたサウンドを生み出し、スコットランドの旗手になったバンドのカパーケリー。こちらも紅一点ボーカルのカレンを配した素晴らしい音楽集団。

 デビューは1982年なのでもう24年やってるが、初期~中期と90年代半ばからのサウンドとは割とかけ離れている。初期は実験的精神が旺盛で面白いが、例えばフィドルとピアノとフルートやギターとの掛け合いの基本的な楽曲のバランスは変わらないから毎回少しづつ変わった事を取り入れたらいつしか大きく変わっていた変化。

 一般的な名盤「Sidewaulk」は1989年の作品で、スコットランド出身を知らなければアイルランドかケルト音楽に聞こえるレベルでかなり良質な作品。アルバムジャケットだけはもうちょっと洗練してほしかったけど、中身はバンドの過度期と遭遇して実にエキサイティングな曲に仕上がっているケルトサウンド。

Capercaillie - Delirium (1991)

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 寒々しいサウンドこそがアイルランド的の図式はU2で証明されているが、当然それだけでなく様々な音楽との融合を果たして進化している。それでも根底にはその寒々した音だから、芸術的側面が強く深みを実感できる。音楽的にも文化的にもじっくりと取り組めるヨーロッパ音楽の面白さ。必ずそこに歴史的背景があり、文化があっての音楽。

 Capercaillieの1991年リリース作「Delirium」。美しいジャケットの通りにアイルランド、ケルト民謡を主軸とした寒々しさが強調されたサウンド。そこを無視すると人間味はあるけど無機質なデジタルサウンドだが、あまりにも民族的要素が強いからそうも思えない。久々に聴いて思うが、アイルランド特有の雰囲気を、80年代のニコが奏でていた無機質な世界で包んでいるようにも聴こえるから、とんでもなく革新的な音楽を奏でていたかもしれない。そんな風に形容している批評もないので、その言い方が合っている自信も無いが、いわゆる民族楽器で奏でているサウンドではなく、シンセサイザーで作り上げた寒々しさが耳につく。

 それでも人間味を感じるし、繊細な音色や楽器の使い方が聴こえてくるから不思議。それに加えてゲール語だから宗教的なムードで貴重なサウンドだし、その意味ではジャケットが音楽を表している。

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