明るいキッチン

 スイッチをつけようとするともうついていた。
 押そうとして押されていたものを発見した後では、押しかけた指の行き場はもうなくて、当惑した指先がしばし犯人を探しながら宙を泳いでいるが、勝手にスイッチを押してみせるささやかに霊的なものの存在を除外すれば、家の中にいる人間は一人だけなのだから、名探偵の到着を待つ必要もなく犯人は今ここに立っているこの指の持ち主に違いなく、明らかにそれは限られた人生における余計な一手間であるのかもしれないが、ついてないなと下を向く日がある一方で、ついているのかと天井を仰ぐこの日の夜のようなこともあるというのは事実だ。
 いずれにしろキッチンにあるささやかな明かりの下で、洗うべきものはすぐに洗うべきであって、それを先延ばしにして得られるものは何もないのだと思う。


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