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【日本ワイン ‘’小布施ワイナリー” ワイナリー情報】

2017/3/10

〒381-0207 長野県上高井郡小布施町押羽571

小布施駅下車、徒歩20分。
小布施栗を使った菓子の名店小布施堂、観光向けのお土産通り、日本酒蔵、葛飾北斎のまちとして知られ色んな発見がある。
のどかなリンゴ畑そばに感じ眺めながら、畑に囲まれた落ち着いた環境にあります。

一度ワイナリーに足を踏み入れれば、頭から足の先まで、木造建てと穏やかな照明の世界観に引き込まれます。

毎日毎日、ブドウとワインのことを考え悩み、時にのめり込みすぎて分からなくなる…
自分たちの表現したいワインとは?ということに、こだわりとことん真面目に造り上げる。
という4代目曽我彰彦氏は新潟県のカーブドッチで栽培醸造を学び、フランスブルゴーニュのドメーヌ・デュ・クロ・フランタン、ドメーヌ・ロン・デパキで修業。

創業1867年、初代は曽我市之丞氏。
日本酒蔵の「小布施酒造」が起源です。
第二次世界大戦直前に一部の日本酒蔵の醸造免許が没収された当時、小布施酒造も例外なく没収されてしまう…
そんな状況下、1942年からはワイン製造免許を使いシードルをメインに造りはじめ、無事に免許が復活したのは64年。
今も長野県の酒造好適米「美山錦」のみ使用し、長野の極寒の畑に出れない時期の趣味で…日本酒を醸造しています。
と言いつつも日本酒へのこだわりはワインと同じく、びっしりと裏ラベルに書ききれないほどに。
そして味わいにその思いが詰められています。

【Sogga pere et fis Le Sake Erotique Numero Six 】
”辛い恋慕や狂おしい恋愛を経た男女にしか解らない”小布施のsake
「間違ってオコチャマに飲まれないように」とした作品名にもかかわらず間違って買ってしまいました。
しかし、本当に美しい味です。

【ムラサキ農場第一東 メルロ】
収穫まで毎日畑に出て肌を黒く焦がし、全ての畑に愛情を注ぐという彰彦さんですが、溺愛してやまないというのがこの畑。
そこだけ特上に美しく、気が付かないうちに大切にしてしまう。
好きな人に思いを伝えすぎて上手くいかないように。
ブドウにその強い思いが伝わってしまうのか、手をかけすぎ時に失敗してしまう。その思いに背けば、また更に好きになる。
平常心では醸造できない…
つまり偏愛している区画だというのです。

そしてそのサンシミのメルロをリスキーな方法の天然酵母で。
その愛が成就しない場合は「ルミリアシオン」つまり「屈辱」と命名。

この愛に毎年葛藤し、考え抜き醸造に向き合った体が12月に必ず悲鳴を上げるそうです。
でも、ただ好き勝手やって自分の表現をしたいわけではない。
自分の造りが上手くいかなければ大事な家族もスタッフも養えない…
だから責任を背負うことになる仕事は全て彰彦さん一人でやり、一人でその責任を背負い、ワインのことだけを考え向き合います。

2005年~少しずつはじめていたというサンシミ。
転換するきっかけとなったのは、2009年の雹被害に直面し壊滅状態になった時。
「有機栽培がいいのでは?」と始めたそうです。

サンシミにこだわる理由は、「地球にやさしい」ワインでありたいということ。
有機栽培で欠点の感じない香り、味わいのワインを造り、後に続く人への責任も同時に背負いながら。
そしてぶどう畑を引き継ぐ後世のために、負の遺産を遺すわけにはいかない。
「もう人生半分は終わり。年一回のチャンスしかないワイン造り。もう余計なことは考えないでやろう」

※サンシミ(Sans chimie)とは
”Making wine without chemical.”
sansがwithout、chimieがchemicalを指し、「ワイン畑で化学的な農薬、肥料を
一切使わない」という意味。
有機栽培または、無化学農薬栽培

そして小布施ワイナリーを少し複雑に感じるのは畑の細かな区画化。
フランスで修業していた時代の影響かと思いきや、区画ごとのボトリングは考えていなかったとのこと。
たまたま植えた区画のメルロがおいしく、またブレンドして味を決めていくことが面倒くさく、区画ごとのボトリングになったという意外な理由。

彰彦さんの弟のタカヒコさんは北海道余市でピノ・ノワールのみを栽培しワインを造るドメーヌ・タカヒコの当主。
独立当時、もし何かあればその責任は長男である自分(彰彦さん)が受けると覚悟を決め支えていました。
今でも年二回ほど逢い、ワインを飲みながら世間話をするそうです。

【Sogga pere et fis ソッガ ペール エ フィス】
小布施の考えにも共感し、高品質のブドウを提供するのが、建設会社の角藤が2006年に開園した角藤農園。
ブドウ栽培40年以上の経歴を持つ佐藤宗一さん。
上高井郡の高山村 日滝原地区 標高450mの地に、トラクターも入れる集約化した効率的な圃場から、彰彦さんとの強い信頼関係でワインになります。
同村 福井原にある標高830mの北斜面、キリっと爽やかさ印象の地でピノ・ノワールの可能性を信じながら小布施にブドウを提供するのが宗一さんの息子さんの明夫さん。
ドメイヌカクトウ、ドメイヌアキオとしてそれぞれ彰彦さんの手でワインになっていきますが、それらのワインの評価も非常に高いことで知られます。

「減産宣言」「脱ワインコンクール宣言」「サンシミ」「限定流通」。いつも時代に流されることなく、信念を思いをボトルに詰め込む。

几帳面で職人気質で難しい造り手なのではないか…
というのは、お会いしてみてちょっと変わりました。
こだわりや愛情がブドウ畑(第一東メルロは溺愛)やワインだけでなく、家族やスタッフへも。本当に温かい人でした。
そして悩んで悩んで、静かな情熱を常に燃やしています。

″ムラサキ第一農場 レゼルヴ プリヴェ ドメイヌソガ サンシミ メルロ2012″
「私が死ぬまでにお披露目したかったリューディごとでボトリングしました」
「最低でも5年、15年くらいセラーで寝かしてほしい」
いつ、どんなときに開けようか。

時に悩んでしまう。
簡単に寄り添うワインではない。
人の気持ちのようにまるで抑揚する難しい心境も表すかのような。
まさに″人間味の溢れる″複雑なワイン。
すべてひっくるめた結果に思う、小布施ワイナリーの素晴らしいと感じる魅力の1つです。

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